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イタリアで武者修行。行則啓太のモスワールド参戦記

 8月30日から9月7日まで、イタリアガルダ湖マルチェージネで開催された「モスワールド2021」に参加しました。8月30、31日はワールドプレ大会、9月2、3日にワールド予選シリーズでした。その後5〜7日に上位と下位半分に分かれて、ゴールドとシルバーフリートで決勝レースを行いました(レポート/行則啓太)

日本からモスワールドにひとりで参戦した行則啓太選手

 私は今年5月に進水したMakey Boat社のBiekerで参戦しました。最終結果はゴールドフリートにて58位/140人でした。
予選シリーズ / UFD-49-30-18-31-29
決勝シリーズ / 53-55-37-49-54-37-56-49

プレ大会でのスタートの様子
私の船JPN4769

 予選シリーズでは、第1レースのリコールで後方発進となってしまいました。ボートスピードだけなら30番前後の選手と同じようだったので、タック、スタート等で大きなミスをしないようにレースして、ゴールドフリートに進出することができました。

 ゴールドフリートのレースは、1つでもミスをすれば簡単に最下位に落ちてしまうとてもハイレベルな戦いでした。上位の選手が30、40番台を走っている瞬間もありました。

 特に難しかったのは、スタート後に岸よりの有利な海面(両岸が崖に囲まれてるガルダ湖の特性で、岸際にしか風が吹いていないのです)に向かうスターボードのドラッグレースです。ここで負ければ次がありません。

山に囲まれたガルダ湖特有の風の吹き方があります

 上の写真はハーバーから撮影したスタート後の様子です。この後、全員ハーバーの目の前でタックしていきます。フォイルタック(飛んだままタックすること)ができなければ、10人、20人に抜かれてしまいます。

 僕自身、スタートで出遅れたり、タックで沈したりとミスが多かったですが、常に周りに船がいる環境で、どうセールトリムをしたらいいのかなど、沢山のことを学ぶことができました。トム・スリングスビーやポール・グディソンとも沢山話して、色々試すことができました。

ワールドではフォイリングの調整について悩みました。バウ先から伸びる細い棒状のパーツがワンドで、フォイリングの高さ等を調整します

 モスの場合、バウに付いているワンドというパーツで飛んでいる高さを計り、メインのフォイルに働かせる揚力を調整します。セールトリムはもちろんですが、これらの機構をどうセットするのかがとても難しく、まだまだ勉強中です。

◎2019年大会に続き2連覇のトム・スリングスビー
 優勝スピーチで、「全ての選手がchallengingでinnovativeで常に前を向いている。また、困っている人がいたら助け合う文化がある。こんな素晴らしいクラスは他にない。モスが大好きだ」と話していました。本当にその通りだと思います。

2連覇を達成したトム・スリングスビー(AUS)
トムの船自身も、他のBiekerとは異なっていました。少し短いバーティカル、セールもNorth Sailの新型。Biekerもこれからモデルチェンジがあるようです
こちらは大会前から話題になっていたエクスプローダー。ACボートで見たような、ボトムの出っ張りが特徴的です。まだまだテスト段階で問題も抱えているようですが、いずれ世に出回ってくるでしょう。特に、他の船よりもコストダウンすることに注力しているようです

 モスワールドには、オリンピック、SailGP、アメリカズカップ、その他クラスのチャンピオンが沢山出場します。このセーラー達が一堂に会し、同時に仲良くなれるのもモスの魅力です。

 さらに詳しく知りたい方、モスに興味がある方、ぜひご連絡下さい。また10月2、3日には浜名湖ビーチスマリーナにて全日本選手権も開催予定です。こちらも楽しみにしていてください。

オープニングセレモニーでプラカードを持つ行則啓太
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