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連載第20回 空飛ぶ日記「完治したはずのティラーエクステンションがまたしても骨折」

 押忍、編集長です。本日の相模湾は南西の強風により地獄っているので、モス練はお休みとさせていただきます。「この冬は気合いでがんばる」と宣言しておきながら、ほとんど有言不実行。風がありすぎたり、なさすぎたり、船が壊れたり、長期出張が入ったり、この冬はどうも歯車が合いません。(BHM編集部)

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ふにゃーんと折れたモスのティラーエクステンション。本来はカーボン製ですが、もったいないから自作しています。どうせまた折るし。上手になったらカーボンに戻そうかな。。。photo by Junichi Hirai

  船が壊れる、といえば、今期の〈バルクヘッド号〉はよく壊れています。モスの場合、激しいセーリングゆえ船の故障は日常茶飯事。しかも、故障やトラブルは、得てして「そうなって欲しくない」時に起きてしまうものです。

 さて、先日いつものようにひとりで海上練習に出たときのこと。北東風10ノット前後の予報でしたが、海に出てみると予想以上に吹いています。相模湾の陸寄りの北東風はブローの強弱が激しく、スポットに入ると20ノット近い風が襲ってくるではありませんか。

 これは、参りました。乗れない風域ではありませんが、編集長には試練の風です。モスの場合、風が強いほうが飛びやすいのですが、困ったことに強すぎると勝手に飛び上がってしまうのです。

 「飛んじゃっていいじゃないか」という意見もありそうですが、良いときと悪い時があります。飛んだはよいけれど、威勢よく吹き倒されまくっていては、体力がもちません。

 編集長だけでなく、だれにでも休憩は必要です。休むことも出来ないとなると、まわし車のなかを走り続けるねずみ、のように飛び続けなければなりません。実は、モスでは、海上で休むためにも、ちょっとしたテクニックが必要になるのです(※注1)。

 休憩できないセーリングって、考えるだけで恐ろしくないですか? 恐ろしいついでに付け加えると、モスは、だれも乗っていなくても、走り出しちゃうことがあります。沈起こしでミスって、船から離れてしまったら、無人のモスがフォイリングして走り去ってしまう。。。ああ怖い。

 ちょっと話がズレました。そんなよく飛ぶ風のなかでハードに練習していたら、あれれ、急に飛び方が不安定になりましたよ。それに、んんん? ティラーエクステンションが短くなっていますよ? ティラーエクステンションがグギッと折れていて、ハイトコントロールのブロックがなくなってしまっています。

 ティラーエクステンションは、さきほどメインシートをつるっと手放してしまい豪快に沈した際、背面に落水したと同時にエクステンションがトランポリンのエッジに当たって、編集長の体重で折れてしまったのでしょう。

 落水する時に、ティラーを手放せばよかったんですが、未熟者ゆえにそれができなかった。代償として、修理したばかりのティラーエクステンションを折る始末になったです。以前の連載記事で、沈をするにも美学がある、と書きましたが、なかなかどうしてむずかしいものです。

 そんなこんなで、やっぱりひどい目にあってハーバーに戻った編集長でした。ハイトコントロールシステム(デッキにたくさんあるシーティング類)は、いろいろ考えながら修理するとして、ティラーエクステンションは、また折ると思うので、ホームセンターで1000円のアルミパイプで代用することにします。

 ティラーエクステンションは前回修理した後、2回目の練習で再び骨折。あたらしいエクステンションを作り、今回は予備も作っておくことにしました。

 海に出ても、まだまだできないことばかりです。ふと「編集長は何をやってるんだろう?」という疑問がわくこともありますが、くじけず新発見を楽しみたいと思います。

※注1:モスの休憩方法は、メインシートを出して、傾き(ヒール)を調整して、ちょうどよいバランスを保ちながら微速前進します。しかし、その状態でもブローを受けて吹き倒されることも少なくありません。なので、沈したままでいる方が休憩に適しているのです。

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ティラーエクステンションの作り方。2mのパイプを買ってきて長さを調整します。モス(MACH2)のエクステンションは18mm経、長さ1380mmですが、編集長はちょっと長いほうがいいかなぁ、と思うところがあって1400mmにしてみました。使いにくかったらあとで切ればいいし。photo by Junichi Hirai

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接続部分の穴あけにポンチで位置取りします。モスのティラーエクステンションはくるくるまわるして、ラダーフォイルの傾斜度を調整します。竹材や塩ビパイプだとまわしくにそうなんで、たぶんよくないと思われます。photo by Junichi Hirai

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ティラーのジョイント部分にドリルで穴をあけます。photo by Junichi Hirai

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ありゃ、位置取りしたのに、まったく別の部分に穴が空きましたよ。大失敗。photo by Junichi Hirai

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持ち手部分にはロードバイクのハンドルに巻くバーテープを巻いてみました。予備ティラーエクステンションも作ったので、次に折れてもすぐ交換できます。photo by Junichi Hirai

連載 バルクヘッドマガジン編集長の空飛ぶ日記
第1回「編集長の空飛ぶ日記、はじまります」
第2回「神様ありがとう、編集長は空を飛んだよ」
第3回「海に出たいのに出られない」
第4回「ものすごいスピードでドカーンと飛ばされる」
第5回「肩の靭帯が切れて凹む」
第6回「編集長、沼から地獄に流される」
第7回「海外のモス野郎にパーツを奪われる」
第8回「ペットボトルがつかめない」
第9回「飛べばハッピー。フォイリング幸福論」
第10回「スターボードタックで飛び続けたら江の島に着いた」
第11回「モスに乗り始めて1年が経ちました」
第12回「ジュニアヨットからヒントを得た、かもしれない」
第13回「ノーズダイブを繰り返した後、天国への扉をノックする」
第14回「この風、飛べるの? 飛べないの?」
第15回「ネイサンのポートアプローチに漢気をみた」
第16回「海でひとり遭難したらマジどうする?」
第17回「コロッケを食べ、ジャイブ成功を祈願する」
第18回「考えるな、感じろ!フォイリング試乗会やったよ」
第19回「セーリング前にスイミング。冬の修行がはじまりました」

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