連載第15回 空飛ぶ日記「ネイサンのポートアプローチに漢気をみた」
押忍、編集長です。アメリカズカップが終わり、1カ月続いた寝不足も解消されました。結果は、みなさんご存じのようにニュージーランドの圧勝です。すごい戦いでしたねー。編集長はアメリカズカップの事前記事で「華麗なフォイリングタックを見たら感動して泣いちゃうかも」と書きましたが、まさに現実になりました。ボートの進化、セーラーの成長、適応能力にびっくりです。(BHM編集部)
個人的には、対ソフトバンク・チームジャパン戦だったか、アルテミス・レーシングがみせたポートアプローチからの接触ギリタック〜マーク回航がいちばん印象に残っています。スピードボートで場数を踏んているネイサン・アウタリッジでなければできない気合いの芸当であり、緻密な計算と練習で培われた技術、仲間への信頼、そして勇気に満ち溢れていたシーンだったと思います。
さあ、興奮のアメリカズカップが終わり、空飛ぶ編集長も鼻息荒く再始動です。モスに乗るのはひさびさで、4月以来、BULKHEAD号のオーニングは閉められたままでした。実は編集長、海外出張で体調を崩し、しばらく病に伏せていたのです。1年中日焼けして健康そうに見えますが、ちょいちょいダウンします。なんと言ったら良いのか。。。弱くてすみません。
そんな状況はさておき、気持ちだけ一人前の編集長はフォイリングに復帰するべく葉山港へ向かいました。季節は夏。太陽が燦々と降り注いでいます。ハーバーの日陰に陣取って、ヘッドフォン大音量でヴァン・ヘイレンを聴きながら艤装開始。風もそよそ吹いてきていい感じです。
2月は死にそうなほど冷たかったスロープの水がひんやり気持ち良い。いい季節になりました。軽やかにモスに乗り込み、赤灯台をまわって南風をつかんで颯爽とフォイリング。うんうん、いい感じ。きょうはジャイブ練習をしようと企んでいたところ。。。
えーと、本日のフォイリングはここまで。もう終わり? そう、終わりです。風が徐々に落ちてきてしまいました。6ノットぐらいでしょうか。アメリカズカップのレース最低風速は6ノットと決められていましたが、編集長がこの風で飛ぶなんて無理無理。10ノットぐらいないと飛べません。
風はさらになくなって、海の上でのたうちまわっているだけになりました。不思議なことに、風のない中でも油断するとバランスを崩して沈します。モスは風があってもなくても沈するんです。なんて不便な乗り物でしょう。
相模湾のシーブリーズを待ちましたが、結局、風が東にまわってジ・エンドです。フラストレーション満タンで帰着することになりました。
貴重なサマーフォイリングのチャンスでしたが、残念無念です。さらに、船をかたずけていると、メインセールのラフ部分が破れているのを発見して、うぐぐぐぐ。なんとも悔しい1日を終えたのでした。編集長の漢気は次回におあずけです。そんな日もあるよね。
モスで出艇するには半沈させたまま、フォイルが底に当たらない場所まで泳いでいきます。だいたい足がつかなくなるぐらい。夏はいいけど冬はしんどい。photo by Junichi Hirai
いつ破いてしまったのか。心当たりなし。その後、短パンに入れておいたヘッドフォンを洗濯してしまったりして、よいところなしの1日でした。photo by Junichi Hirai
わお、オラクルチームUSAでタクティシャンを務めたトム・スリングスビー(AUS)は、さっそくモスワールドに出るみたいですよ(フラストレーションたまってるだろうなぁ)。モスワールドは今月イタリア・ガルダ湖で開催されます
連載 バルクヘッドマガジン編集長の空飛ぶ日記
第1回「編集長の空飛ぶ日記、はじまります」
第2回「神様ありがとう、編集長は空を飛んだよ」
第3回「海に出たいのに出られない」
第4回「ものすごいスピードでドカーンと飛ばされる」
第5回「肩の靭帯が切れて凹む」
第6回「編集長、沼から地獄に流される」
第7回「海外のモス野郎にパーツを奪われる」
第8回「ペットボトルがつかめない」
第9回「飛べばハッピー。フォイリング幸福論」
第10回「スターボードタックで飛び続けたら江の島に着いた」
第11回「モスに乗り始めて1年が経ちました」
第12回「ジュニアヨットからヒントを得た、かもしれない」
第13回「ノーズダイブを繰り返した後、天国への扉をノックする」
第14回「この風、飛べるの? 飛べないの?」
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