連載第11回 空飛ぶ日記「モスに乗り始めて1年が経ちました」

  • 17
  • Jan

 押忍、新年早々、みなさん乗りまくってますか? 編集長の身体は悲鳴をあげています。ボロボロです。「おじさんは、つかれたよ」。そんな弱音を吐きたくなります。泳ぎすぎで全身筋肉痛、ときどき流血。20ノットの風で海に出るには、まだ早かったみたいです。(BHM編集部)

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アメリカズカップのフィニッシュ直前は、写真に映らない恐怖がありました。それほど特長のない写真に見えますが、フォイルボートを正面で待つのは心臓が飛び出るほど怖いのです。photo by Junichi Hirai

 モスに乗り始めて1年が経ちました。あらためて言うまでもなく、このじゃじゃ馬を乗りこなすのは、容易なことではありません。その難しさがおもしろいわけですが、思い通りにいかないことばかりで、挫折感をたっぷり味わっています。

 もし自分を褒めてあげるとすれば、「よくやめねーで続けてんな!」ってことぐらいでしょうか。ふー。ため息をついても何も始まらないので、笑って前に進むことにします。

 こんな編集長ですが、スピードはさておき「飛んでいる感覚」は理解できた気がしています。簡単に言うと、うっと来てふわっとしてズキューンときてドバーンで終わる感覚、とでも言いましょうか。すみません、よく分かりませんね。フォイリングの感覚を言葉であらわすのは、とても難しいのです。

 世界のフォトジャーナリストのなかで、フォイリング修行している野郎はいないはずなので、その点、編集長は一歩リードする貴重な体験をしていることになります。えっへん。(だれも後を追ってこないのも分かっています)。

 しかし、フォイリングを知ったことで、仕事上、困ったことが出てきました。いや、困るというか、知ってしまったからできなくなってしまった、というような…。実は、撮影艇からフォイルボートを撮影するのが、怖くなってしまったのです。

 セーリングの撮影は、フォトグラファーが乗るボート(撮影艇)のポジションが重要になります。これは、風域や艇種、コースによって変わってくるもので、微妙な違いがあります。

 ウインドサーフィンなら、パンピングなのかプレーニングなのか。スピネーカー艇かジェネカー艇か。スキフかキールボートかカタマランか、でもそれぞれ動きが違います。つまり、フォトグラファーは撮影対象となるボートの動きを予想して、撮影位置を決めているのです。

 で、フォイルボートの場合は…。ハイスピードかつ動きが挙動不審のため、ポジショニングがむずかしく、さらに、もしもを考えて、逃げることも考えなければならない。つまり、乗る方も真剣なら、撮る方も真剣。ハイスピードゆえ撮影のタイミングも限られているので、まさに真剣勝負の戦いなのです。

 昨年、福岡で開催されたアメリカズカップ・ワールドシリーズで、編集長は撮影艇でカメラを構えていましたが、実は、怖くてレース艇に近寄れませんでした。どんなに屈強で上手なセーラーだろうと関係ありません。危ないのものは危ない。

 でも、もし編集長にフォイリングの経験がなければ、無鉄砲にも近寄って撮影しようとしたかもしれません。良いのか悪いのか。近寄らないのが正解ですが、もう数秒(逃げないで)待ったほうが良かったかも、と思わなくもありません。経験が邪魔したということでしょうか。なかなか、むずかしいものです。こんちくしょうめ。


フォイルボートの動きを知らないとこういう事故がおきてしまいます。気をつけないと…

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先週は壊れたパーツをいろいろ修理しました。これは、バウにあるメカっぽい部分(名称は知りません)。ワンド(=バウ先から出ている触覚)の可変箇所です。ここがガタガタいうので。photo by Junchi Hirai

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分解して合わせの金属をヤスリでゴリゴリ削ってピッタリ合わせました。風のない日でもやることがいっぱいあって楽しいものです(すぐ壊すから)。pohto by Junichi Hirai

連載 バルクヘッドマガジン編集長の空飛ぶ日記
第1回「編集長の空飛ぶ日記、はじまります」
第2回「神様ありがとう、編集長は空を飛んだよ」
第3回「海に出たいのに出られない」
第4回「ものすごいスピードでドカーンと飛ばされる」
第5回「肩の靭帯が切れて凹む」
第6回「編集長、沼から地獄に流される」
第7回「海外のモス野郎にパーツを奪われる」
第8回「ペットボトルがつかめない」
第9回「飛べばハッピー。フォイリング幸福論」
第10回「スターボードタックで飛び続けたら江の島に着いた」

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