4月25日、フランス・イエールで開催されている「ラストチャンスレガッタ」５日目。最終戦となるメダルシリーズがおこなわれたiQFOiL男子の富澤 慎は、準々決勝を勝ち抜きパリ五輪出場国枠を獲得。同時に５大会連続となる日本代表に決定しました。（BHM編集部）

　富澤 慎は人生最大の勝負の場面で最高の走りを披露しました。メダルシリーズは微風から一気に風があがり、イエールらしい20ノット前後の強風へ。準々決勝で７艇中２位に入らなければ、オリンピックの夢が絶たれてしまうという場面です。メダルシリーズは１レースあたり５分程度のスピード勝負です。これ以上ない緊張のレースが始まりました。

　風下からベストタイミング、ベストスピードでスタートした富澤は１マークを密集する艇団のなか４位で回航します。ここからの追い上げは見事でした。風下マークで２位へ浮上するとアップウインドで右海面を選択した富澤はトップへ上がりました。

　トップグループは至近距離の戦いを繰り広げますが、富澤はギリシアに続いて２番目にフィニッシュ。富澤は、一世一代の大舞台で最高のパフォーマンスをみせてくれました。

　富澤 慎は北京、ロンドン、リオ、東京、そしてパリと５大会連続で日本代表を獲得。ウインドサーフィンの艇種が東京五輪後にRS:XからフォイリングのiQFOiLに代わり、乗りこなすことがむずかしく結果が出ない日々が続いていましたが、ラストチャンスレガッタという最後の重要な場面で勝利の女神が微笑みました。

「正直にいうと今はホッとした気持ちです。成績が出ないなか（所属するトヨタ自動車東日本に）３年間も続けさせてもらって、国枠が取れたことでホッとしています。きょうは絶対に退いてはダメだという気持ちでした。スタートは自分のなかでは早いタイミングでしたが、攻めの姿勢で突っ込みました。５回目の五輪はどうなるのか、今は想像ができません。でも、上位陣に全然かなわない、というレースではつまらないものになる。たのしいと思えるオリンピックになるように準備をしていきたい」（富澤 慎）

　iQFOiLメダルシリーズは引き続きレースがおこなわれ、富澤は「リラックスして走ることができた」という準決勝、決勝でも快進撃を見せ、国枠獲得＋日本代表決定＋ラストチャンスレガッタ優勝、という最高の形でラストチャンスレガッタを終えました。

　また、49erFXの田中美紗樹／永松瀬羅は26日のメダルレースを前に後続国が逆転できない得点差をつけたため、パリ五輪出場国枠／日本代表を確実に。ナクラ17の飯束潮吹／西田カピーリア桜良は、国枠獲得のボーダーラインとなる４位でメダルレースへ進出。最終日の決勝メダルレースでパリ五輪出場を掛けて戦います。

◎ラストチャンスレガッタ 5日目成績
ナクラ17（国枠3＋1カ国）参加15艇 15R終了時
1 DEN 35p
2 TUR 59p
3 BEL 74p …… Developing Nation
4 飯束潮吹・西田カピーリア桜良（一次選考得点 30点） 82p …… 国別3位
5 CAN Galen RICHARDSON / Madeline GILLIS 85p
6 BEL Arthur DE JONGHE / Janne RAVELINGIEN 92p
7 SGP Justin LIU / Denise LIM 105p
8 SUI Axel GRANDJEAN / Noémie FEHLMANN 107p
9 BEL Kwinten BORGHIJS / Lieselotte BORGHIJS 109p
10 GRE Iordanis PASCHALIDIS / Myrto PAPADOPOULOU 111p
13 渡部雄貴・植田 実（44点）

49erFX（国枠3＋2カ国）参加17艇 15R終了時
1 POL 41p
3 FIN 70p …… Developing Nation
2 POL 71p
4 GER 77p
5 GER 80p
6 田中美紗樹・永松瀬羅（一次選考得点 31点）89p …… 国別4位
7 SGP Kimberly LIM / Cecilia LOW 112p
8 GER Sophie STEINLEIN / Jill PALAND 113p
9 CZE Zofia Antonina BURSKA / Sara TKADLECOVA 127p
10 松苗幸希／畑山絵里 130p
17 市橋愛生・後藤凛子

iQFOiL男子（国枠5カ国）参加50艇 最終成績
1 富澤 慎（一次選考得点 63点） …… 国別1位
18 池田健星（79点）
40 倉持大也（109点）

49er 参加33艇（国枠3＋1カ国）15R終了時
12 古谷信玄・高柳 彬（一次選考得点 48点）
23 嶋倉照晃・上園田心太浪

iQFOiL女子（国枠5カ国）参加33艇 最終成績
15 須長由季（一次選考得点 60点）
15 新嶋莉奈（53点）
20 大西富士子（65点）

ILCA6（国枠3カ国） 参加33艇 9R終了時
11 冨部柚三子（一次選考得点 76点）
24 山本佑莉（94点）
29 ハムリンたりあ（93点）

ILCA7（国枠3カ国）参加61艇 10R終了時
17 鈴木義弘（一次選考得点 66点）
21 黒田浩渡（84点）
25 瀬川和正（94点）

フォーミュラカイト男子（国枠5カ国）参加40艇 最終成績
37 岩城拓海

フォーミュラカイト女子（国枠5カ国）参加22艇 最終成績
21 梶原紗希

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