ヨットレース繁盛記・初島ダブルハンド前編

  • 03
  • Jul

 6月29日、相模湾で開催された初島ダブルハンドヨットレース。この大会は、逗子から熱海沖の初島という小さな島をまわって戻る48マイルのヨットレースです。普段と違うのは、ダブルハンド、つまり二人乗りという制限があること。さて、今回のヨットレース繁盛記は、スミコ姉さんが、マッキー姉さんと組んで初島ダブルハンドに挑みます。(BHM編集部)

連載ヨットレース繁盛記
初島ダブルハンドヨットレース2013・前編

 2013年も後半に突入しました。今年前半を締めくくるレースは、毎年6月の最終週におこなわれる初島ダブルハンドヨットレースです。このレースは、いつからか、とても思い入れのあるレースになっていて、参加するのは今年でちょうど10回目。そして普段は僚艇〈Gaia〉に乗る相棒マッキー(松石万希子さん。ディズニー好き)と出るのは6回目となりました。今年も唯一の女子×女子コンビで「二人de初島」にチャレンジです!(文/石丸寿美子)


がんばれ、ホビーホーク号!

シート咥えたら、歯が全部折れちゃったりして

 チキンなわたしにとって、エントリーしてからスタートラインに立つまでこんなにもソワソワするレースは他にありません。何が起こってもどんな風が吹いても、二人だけで対処して絶対無事に帰ってこないといけないし、セールチェンジもスピンの上げ下ろしもジャイブも、色々考え出すと毎年頭がいっぱいになります。

 「必殺!股ティーラーほいほいジャイブ」とか、「らくらく靴下ジャイブ」とか、色々あるんです。海の上でコソ練もしたけど、電車の中や布団の中でも妄想ジャイブや妄想セイルチェンジを繰り返してるうちに、手が塞がっていて思わず口にシートをくわえたら、歯が全部折れちゃったりとか、妄想が飛躍しすぎて、もうソワソワ死寸前。

 当日の朝は、マッキーがトイレに行っているのを忘れて一人で出航しちゃった夢を見て、えー!どうしよう〜!? となったところで目が覚めました。さーて、レース行ってきますかね。

 レース当日、5時50分にドックアウト。今のところ北東のそよ風です。どうやら雨はなさそうだけど、南が入ってくる前にいったん風がやみそうな予報です。それまでになんとか初島にとっつけるといいんだけど。

 往路は初島までの240度23マイル。風軸は30度くらいでスタボーのスピンスタートになりそうです。風速は4〜5ノットと頼りないけれど、なんとか走れるくらいは吹いています。

 風が弱いのでラインから離れないようにして、本部船寄り1/3くらいのところを陣取って、午前7時、スタートラインを切りました。92艇の一斉スタートは壮観です。行ってきまーす!日没までに帰ってこれますように。


壮観です!午前7時、92艇がスタートしました。photo by キワムの写真館(J.Sakurai)

秘密兵器「靴下」登場! でも…、あれれ?

 周囲はそれほどカツカツすることなく、皆さん一呼吸おいて落ち着いてスピンアップです。わたしたち〈ホビーホーク〉も程なくしてアップ。女二人でマストヘッドスピンを扱うのは色々たいへんで、特にテイクダウンとジャイブが厳しいので、今回も一番大きいスピンに靴下(=ソックス。スピンをラクチンに上げ下ろしするスナッファーです)を履かせてあります。なので、棒状になったスピンをするする上げて、あとは靴下を上までクシュッときれいにたためばOKなのです。フフフ。

 いずれ南に変わる予報ですが、まだ岸の風がしばらく残りそうなので、ラムラインを大きく外れないよう、ほぼ初島に向けてプロパーコースで走ります。

 そのうち北〜北西のパッチが入るようになって来るとアパレント(編注:見かけの風)はかなり前になり、ラン用のスピンで難儀し始めます。おまけに風弱く、一度潰れるとピークにぶら下がっているスナッファーの重〜いFRPの筒が左右にぐわんぐわん振り子みたいに暴れて、バウを落として風を入れても一向にはらみません。二人ともイライラ度マックス!

 スナッファーが微風でこうなるのはわかっていた事だけど、それでも昨年はなんとか騙し騙し飛ばせたし、走り負けてもいなかったので、最初は耐えるしかないと思っていました。でも今年は違いました。そのうち下のクラスの何艇かにカミ突破され始めたので、諦めざるを得なくなってきました。ふー、スピンチェンジする?

 相棒マッキーの顔色を暫くうかがっていたけれど(本人曰く、2分くらい迷ったとのこと)、あまりにも走らず、いいスタートを切ったハズが前を数えたら45艇! もいたので気絶しそうになり、このままだと二人ともストレスで寿命が縮まるかもしれないので、スタートして1時間、スピンチェンジを決断! 遅い?

 レースの前に去年のブログを読み返したら、ダブルハンドのテーマは、「気を抜かない、諦めない、でも欲を出しすぎない。慢心せずにとにかく基本に忠実にやる!」って書いていました。今年もそれで行くことにします。

 レースだから、ベストを尽くすのは当たり前だけど、普段7〜8人で乗っているフネを2人だけで操船するワケだから、あまり欲を出しすぎると失敗して大惨事になるし、かといってただ漫然とやっていたらイイところは走れないし、なかなか難しいところです。

 でもスピンチェンジは大正解でした。前に見えるフネの数が、35艇、30艇と順調に減っていきました。そして、25艇くらいになった頃、ついに風があやしくなってきました。スピンではのぼり一杯になり、その後風がやみ、だら〜んと垂れ下がってしまいました。初島手前3マイルくらいだったかなー。

(※だらーんとなったまま後編へ続く!)


マッキーとおれ。photo by Koji Ueda

◎ヨットレース繁盛記
(13)「小田切杯」ガテン系セーリング?
(12)「SHUGYOKU CUP」毛根から脂汗が噴出
(11)大島レース・後編
(10)大島レース・前編
(9)「京急カップ」春の珍事なのです
(8)「テーザースプリングレガッタ」春テーザーに久々参戦
(7)「SportsCode CUP」ブローチング祭りだ!
(6)「MUSTO CUP」春っていいよね!
(5)「HMYC会長杯」春の嵐で退散です
(4)「SAILRACING CUP」クラブレースで悲鳴
(3)「Sailors for the Sea Cup Clean Regatta」心臓が剛毛で覆われる
(2)「新春烏帽子岩レガッタ」烏帽子岩へゆく!
(1)新連載「ヨットレース繁盛記」スタート!

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ