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フランスで外洋ヨットレースを学ぶ國米 創インタビュー・前編

 フランス北西部ロリアンを拠点とするDMG MORI セーリングチームには、ふたりの若い日本人セーラーが所属しています。三瓶笙暉古選手(さんぺい・ふぇでりこ。26歳)と國米 創選手(こくまい・はじめ。28歳。愛称:アレックス)です。(BHM編集部)

國米 創。1994年7月21日、ハワイで生まれですぐさま日本へ。夏休みのサマースクールでトッパー級でセーリングを覚える。岡山県邑久高から福岡第一高へ転校しインターハイ出場、法政大ヨット部1年時には470クルーで全日本インカレ出場。その後、ヨット部を退部してマッチレースやキールボートで活躍。2017年ユース・アメリカズカップ挑戦。2021年東京五輪フィン級代表選考で敗れる。その後、白石康次郎/DMG MORI セーリングチームへ

 現在、ふたりはDMG MORI セーリングアカデミーの研修生として外洋ヨットレースを学んでいます。2023年大西洋横断ミニトランザットに挑戦する三瓶選手については、これまでMINI6.50のレースを通じてバルクヘッドマガジンで紹介しました。今回はDMG MORI Global Oneのデッキ・ハードウエアを担当する國米選手をインタビューしました。

編集長:國米選手は子供の頃からセーリングに親しみ、高校(岡山県邑久高、福岡第一高)、大学(法政大。途中退部)ではヨット部に所属していました。その後、ユース・アメリカズカップを経験して、東京五輪にはフィン級で挑戦。外洋ヨットレースとは別の舞台にいたわけですが、外洋のどんなところにひかれたんですか?

國米:子供の頃、日本の夏休みにハワイへ行って現地のサマーキャンプに参加して、そこでセーリングを知りました。といっても、レースするような環境ではなく楽しくヨットに乗っていただけです。それから学校のヨット部でレースをするようになったんですが、いつも「ヨットをうまくなるには、ディンギーだけではなくキールボートにも乗るべき」という気持ちがあったんです。

編集長:それはどうして?

國米:ハワイは太平洋横断ヨットレース「トランスパックヨットレース」のフィニッシュ地なんですが、このレースに出た船が港に入ってくるのを見て、子どもたちは「乗せて〜」といっていろんな船に遊びに行くんです。だからキールボートや外洋ヨットには、子供のころから興味がありました。

編集長:國米選手のユース・アメリカズカップ、フィン級の活動は編集長もよく知っています。それが、どうして白石康次郎さんとつながっていったんですか?

國米:白石さんと出会ったのはユース・アメリカズカップ(2017年)が終わった後で、横浜で「ジャパンインターナショナルボートショ」を手伝っていて、その帰りの駅で偶然白石さんを見かけたんです。これはチャンスと思って声をかけました。ハワイで船に声を掛けて乗せてもらっていた子供の頃からの性格なのか、つい声を掛けてしまうんですよね(笑)。そこで「今度、船に乗せてもらいたいです」って言いました。

編集長:そのとき、船(スピリット・オブ・ユーコー)が日本にあったんですか?

國米:はい。船を回航するというので乗せてもらいました。ただ、その時にはフィン級の活動が決まっていたので、ぼくはオリンピックキャンペーンの道へ。いっしょに手伝いをした、ユース・アメリカズカップ仲間の三瓶笙暉古と鈴木シモンがチームに加わることになりました。

フィン級に乗る國米 創。2021年5月に葉山で開催された東京五輪フィン級日本代表選考より

編集長:では、國米選手は五輪活動が終わってあらためてチームの門をたたいたということですか? 

國米:うれしくも2021年の五輪日本代表選考で敗けたあとで、チームに誘っていただきました。だから4年前に駅で白石さんに話しかけなければ、いまのぼくはここにはいなかったかもしれません(笑)。

編集長:國米選手は〈DMG MORI Global One〉のジャパンツアー(2021年)に参加したあと、今年2月にフランスへ拠点を移しました。いま毎日の仕事はどんなタイムスケジュールなんですか?

國米:午前中は8時30分にヤードに行って12時ぐらいまで作業します。フランスの昼休みは結構長くて13時30分、14時まで休憩。それからまた作業して18時に終わりというパターンです。基本的に土日休みですが、レースが近づいてテストセーリングする時期は風次第で休日も海に出ます。(後編へ続く)

2017年6月にバミューダで開催されたユース・アメリカズカップ
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