2020年度バルクヘッドマガジン・セーラー・オブ・ザ・イヤー発表
12月31日、2020年バルクヘッドマガジン最後を飾るのはセーラー・オブ・ザ・イヤーの発表です。年に一度、日本で最高の選手に贈られるセーラー・オブ・ザ・イヤーは、編集部が選出する日本で唯一のセーラーのためのアワードです。(BHM編集部)
別名ヨット馬鹿大賞と呼ばれるこの賞は大会の成績だけを基準にしているものではありません。成績よりもどれだけセーラーに刺激を与えたのかを重要視しています。馬鹿と呼ばれるほどセーリングに熱中した、単純に「すごい!」と思わせるセーラーが対象になります。
馬鹿、馬鹿、馬鹿、と書いていて気分を悪くした方がいたら申し訳ありません。編集部では選手を尊敬する最高の言葉として使わせてもらっています。でも、セーラーのみなさんなら理解してくれるのではないでしょうか。人からヨット馬鹿と呼ばれるほどセーリングに打ち込んだとしたら、これほどうれしいことはありません。
さあ、2020年のセーラー・オブ・ザ・イヤーの発表です。この賞にトロフィーや賞状はありません。みなさん、彼をハーバーで見かけたら「ヨット馬鹿大賞、おめでとう」と祝福してあげてください。
早稲田大学に在籍する松尾選手は同大学ヨット部の主将を務め、11月に開催された全日本学生ヨット選手権では、両クラス、総合優勝を飾り、さらに全日本学生ヨット選手権個人戦では前人未到の三連覇を達成しました。
編集部が注目したのは、もうひとつの活躍です。松尾選手は個人戦三連覇などスナイプ級での活躍が際立ちましたが、11月に開催された470級全日本選手権ではクルーとして出場し、市野直毅選手と逆転準優勝を獲得しています。
その内容も素晴らしく、最終日の決勝メダルレース(2レース実施)で連続1位。ライトウインドでしたが冷静に風を読み、五輪代表チームを抑える見事なレース展開を見せました。
これまで松尾選手はスキッパーとしてだけではなく、クルーとしても実績を残しています。高校時代は小泉維吹選手(東京五輪49er代表)のクルーとして420級の国際大会に出場し、韓国アジア大会では銀メダルを獲得。また、東京五輪の470級日本代表選考では小泉颯作選手のクルーを務めました。
松尾選手はスキッパーもクルーでも活躍できる国内一級のセーラーです。2人乗りヨットの場合、どうしても(特に日本では)スキッパーに注目が集まりがちです。でも、スキッパーがクルーの動きや考えを知っていたほうが、チームのパフォーマンスは高まるし、その逆も同じです。
彼のようにマルチに活躍できる選手が海外にはたくさんいるし、49erのように2人が同等の技術を持っていなければ乗りこなせない船もあります。松尾選手の活躍は、普段クルーをしている選手にもスキッパーにも刺激になったことでしょう。
2020年度セーラー・オブ・ザ・イヤーは松尾虎太郎に決定します。おめでとう!
※ヨット馬鹿(YB)エンブレムは、大坪明ヨット馬鹿デザイン事務所に制作していただきました。毎年ありがとうございます!
- 大晦日に発表!2020セーラー・オブ・ザ・イヤーhttps://bulkhead.jp/2020/12/79538/