ヨットレース繁盛記・大島が大好きです!
さて、人気連載「ヨットレース繁盛記」です。パールレースで180マイルのロングレースを走った翌週は、8月3日に伊豆大島で開催されるトウキョウズカップに出場です。今回は、クルーズ&ヨットレースの慰安旅行。ホビーホーク号、夏休み恒例のイベントです。(BHM編集部)
トウキョウズカップ
パールレースでヨレヨレになった翌週ですが、今週はトウキョウズカップに参加しました。わがホビーホーク号では、もう十うん年、ずっと参加している8月第一週の恒例イベントで、レースというよりは、チームの夏休み慰安旅行みたいな感じ。そう、トウキョウズカップに行かないと夏休みが始まらないのです!(文・写真/石丸寿美子)
8月2日(金)朝8時、葉山マリーナをドックアウト。平日の朝からオトナ8人てんこ盛りでウキウキヨットです。ヒヒヒ。ホビーホークが参加するのは、伊豆大島滞在型のトウキョウズカップBコースです。
金曜から伊豆大島・波浮港に入ってゆっくり滞在し、翌朝出港して、大島岡田港沖をスタート。風早崎を越えて元町、千波崎を通過して波浮港にフィニッシュするという、一日で大島をぐるっと一周するコース。
その晩もゆっくり滞在し、レースの翌朝は葉山まで帰りのクルージングを楽しみます。いつも、時間に追われて世知辛く暮らしている都会モンにとって、時間がたっぷりあるって幸せなことです。たまにはのんびり滞在しながらのユルユルレースもいいものです。初日はマイルドなお天気の中、順調に走り、午後、波浮港に入港しました。
伊豆大島をぐるっと一周、トウキョウズカップ
レース当日、朝方の雨も止み今日もそこそこマイルドなお天気です。今年のBコースはさびしく8艇しかいないけれど、同型艇でホームポートでは隣同士の〈アデレード〉もいるし、初島ダブルハンド、パールレースと最近何かと一緒に走っている〈ダナ〉(Farr31)もいます。この辺りの艇に絡みながら、願わくば前を走りたいところです。
スタートはピンエンドでジャストで出る事ができました。少し風を当てて加速したところでスピンアップ。風早崎を横目に艇団の沖側を進みます。風、ちょっと弱めだけど、順調なスピンランです。景色イイぞ〜!
次は風早崎の先、乳が崎をかわしてジャイブ。このあたりではまだ、その後やって来るひっちゃかめっちゃかな展開なんて知る由もなく、島回りピクニックレースを楽しんでいました。
島の北端をぐるっと回り込んで西側を南下した頃、ん?気のせい? なんだかプレッシャー弱くなってきましたよ。まぁ、トウキョウズカップは毎年本当に風が気まぐれなので、このまま終わるとは思っていないけど。
最初に岸の何艇かが止まり、絵のように動かなくなりました。〈ホビーホーク〉は沖側に位置し最後に残ったブローラインのエッジぎりぎりをしぶとく走り続けましたが、しばらくして、ハイ、風おしまい。
そこからは、吹いてきては消える頼りな〜いパッチを拾って何とかつなぎ合わせながら走らせます。こっちが頭を出と思ったら、今度は逆が走ったりと、全艇シマシマの海面でのたうち回ります。
わたしの船、まじめにバックしてますよ
元町の手前に差し掛かります。さっきから真横に見える赤い屋根の家がちっとも動きません。ここはまさに先週のパールレースで北に流れる強烈な潮に乗ったエリアです。先週は追い潮だったけど、今週は反対向きに走っているので思いっきり逆潮です〜。COGはなんと、逆! 大まじめに走っているのに1ノット弱のスピードでバックしています。ガーン!
ようやく赤い屋根の建物が後ろになったので、今度こそ「赤い屋根の家通過記念!バンザイ!」などと言っていたら、いつの間にかまた赤い屋根の家が前に見えてきました。ギャー!
Sail-Visionの航跡によると、この恐怖の逆ドリフト走行は1時間程続き、1マイル近く北に流されたのち、ようやく潮に逆らって前に進める風が吹いてきたのは午後になってからでした。
千波崎をかわす頃にはのぼり一杯のしっかりした南風が入って来ました。そして、千波を超えるとお約束の反流に乗って一気に加速です。うぉー、前に進むって素晴らしい〜!
風はそのままあがっていき、ついにライトからミディアムにセールチェンジ。ようやくフルハイクの風になりました。得意の風域になり、先に走り始めてしまった先行艇をグイグイ追いかけます。
竜王崎の手前のフィニッシュラインが見えてきた頃、またまた潮目が現れ、フルハイクで走っているにもかかわらず急激にスローダウンしてしまい、なんともヤキモキします。
おもりを引きずりながら走っているみたいで難儀しますが、14時56分、ようやくフィニッシュ。最後はAコース(三崎スタート)のファーストホーム〈コンステレーション〉(IMX40)にキャッチアップされながらのフィニッシュでした。
結果は惜しくもBクラス2位でした。残念! 両クラスとも強烈な潮に悩まされ多くの艇がDNFになってしまったようですが、優勝はAコース〈アンディアーモ〉(J/V9.6R)、Bコース〈波勝〉(Y-30SII)でした。おめでとうございます!
今年も大島は潮も風もめまぐるしくて、岸ベタはブランケと思いきや吹きおろしだったり、沖出し大正解! と思ったら回り込んだ先は巨大カームだったり。ハンパないぜ、大島! 全部のせ大満喫レースとなりました。
毎年のことだけど、どんだけ好きなんだ大島。
コミッティーがフィニッシュの灯台から撮った大島の断崖写真です。photo by Masaki Nakamura
◎ヨットレース繁盛記
(18)パールレース・後編
(17)パールレース・前編
(16)ティンバーランドレガッタ・熱海レース
(15)初島ダブルハンドヨットレース・後編
(14)初島ダブルハンドヨットレース・前編
(13)「小田切杯」ガテン系セーリング?
(12)「SHUGYOKU CUP」毛根から脂汗が噴出
(11)大島レース・後編
(10)大島レース・前編
(9)「京急カップ」春の珍事なのです
(8)「テーザースプリングレガッタ」春テーザーに久々参戦
(7)「SportsCode CUP」ブローチング祭りだ!
(6)「MUSTO CUP」春っていいよね!
(5)「HMYC会長杯」春の嵐で退散です
(4)「SAILRACING CUP」クラブレースで悲鳴
(3)「Sailors for the Sea Cup Clean Regatta」心臓が剛毛で覆われる
(2)「新春烏帽子岩レガッタ」烏帽子岩へゆく!
(1)新連載「ヨットレース繁盛記」スタート!
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