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太平洋上、信じられない事故が続出。ヴァンデ・グローブ、トップ艇はケープホーンへ

 世界一周ヴァンデ・グローブ45日目。トップを走るArmel LE CLÉAC’H(FRA。39歳)は、南アメリカ最南端ケープホーン(ホーン岬)へ向かっています。カーム地帯を避けるため一旦チリ西方へ北上し、ここから南下してケープホーンを目指す戦略のようで、2位のAlex THOMSON(GBR。42歳)との差は530マイルに広がり、独走態勢に入っています。(BHM編集部)

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - KERGUELEN
UFOとの衝突でリタイアを余儀なくされた〈LE SOUFFLE DU NORD POUR LE PROJET IMAGINE〉Thomas Ruyant。photo by Marine Nationale / Nefertiti / Vendee Globe

 ケープホーンまで600マイル。Armel LE CLEAC’Hがケープホーンを回航するのはクリスマス明けになるでしょうか。前大会(2012-13年)のArmel LE CLEAC’Hは12月21日の時点でオーストラリア南方、年が明けて大西洋に入り、〈Macif〉François Gabartとの大接戦トップ争いが思い出されます。前大会は約3時間差で優勝を逃しました。

 航程の中盤を過ぎたヴァンデ・グローブは、信じられないトラブル、事故が頻発しています。

 17日、STÉPHANE LE DIRAISON(FRA。40歳)がディスマスト。28ノットでサーフィングしていた時の出来事で、その恐怖心は計り知れません。バックステイ根本の取付金具(プレート)が飛んだことが原因のようで、その後、12時間かけてジュリーリグ(応急リグ)を作り、オーストラリア・メルボルン方向へ向けて走っています。

 また、18日にはThomas Ruyant(FRA。35歳)が、本大会で連続しているUFO(未確認物体)と衝突、バウセクションを大きく破壊される事故に見舞われました。マストにダメージがなかったのが不幸中のさいわいで、セーリング+エンジンの機帆走でニュージーランドへ向かいリタイアを発表しました。

 4位を走っていた〈SMA〉Paul Meilhat(FRA。34歳)はカンティングキールを動かす油圧システムに故障を見つけ、現在、キールをカンティング(傾斜)できない状態で走っているとのこと。

 さらに、〈Great American IV〉Rich Wilson(USA。66歳)は電気系統の故障からPCとほとんどの電子航海計器が使えない状態です(AIS=自動船舶識別装置も使用不可)。自艇の位置が分からないため、30マイルの至近距離を走っているEnda O’Coineen(IRL。61歳)と無線で連絡を取り、位置情報を確認しながら走っているようです。

 大西洋上で事故が多発しています。UFOとの衝突事故は回避できず、想像できない恐怖心があるでしょう(もしくは彼らは恐怖心を克服しているのでしょうか?)。ヴァンデ・グローブに出場する超人たちは、いまも地球を走り続けています。

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - SKIPPERS Pics
UFOとの衝突で破損したフォアデッキ。Photo by Thomas Ruyant

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - SKIPPERS Pics
ハルの縦軸にも亀裂が入っています。Photo by Thomas Ruyant

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12月22日現在のレース艇ポジション

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - SKIPPERS Pics
ディスマストの失望の中、STÉPHANE LE DIRAISONは12時間かけてジュリーリグを立てました。photo by TÉPHANE LE DIRAISON

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - SKIPPERS Pics
使えるリグを集めて作ったジュリーリグ(マスト)の支点部分。photo by TÉPHANE LE DIRAISON

SAILING - VENDEE GLOBE 2016 - SKIPPERS Pics
トップを走るArmel LE CLÉAC’H。ケープホーンまで600マイル。全航程の約7割を走破しました。photo by Armel Le Cleac’h


ヴァンデ・グローブ43日目ハイライト。Thomas Ruyantのコメントが胸を打ちます

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