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ライブ中継もあり!第35回アメリカズカップを予習しよう(2)

 5月26日、さあ、アメリカズカップ開催初日です! と勢いをつけたいところですが、現地バミューダでは強風が吹き荒れ、なんと大会初日のプログラムがキャンセルされることになりました。そのため、26日分のレースを27日に追加しておこなうべく、前後1時間レース時間を増やしておこなうようです。というわけで、アメリカズカップ予習復習の第2弾!(BHM編集部)

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25日におこなわれたプレスカンファレンス。各チームのヘルムスマンが壇上に並びました。photo by ACEA 2017 / Ricardo Pinto

Q. 日本でアメリカズカップを観戦するには?
A. 「スポナビライブ」でアメリカズカップが無料配信されます。日本との時差は−12時間。放映時間は午前2時からの予定です。このアメリカズカップの中継にバルクヘッドマガジン編集長も解説として登場します。編集長の登場は、日本時間29日、31日、3日。おたのしみに!

スポナビライブ(PC、スマホ、タブレットで視聴できます)
https://sports.mb.softbank.jp/

Q. 使用されるアメリカズカップ艇は?
A. 全長15メートルにサイズアップしたフォイリングカタマラン、アメリカズカップクラス(ACC)で戦います。ワールドシリーズで使用されていたAC45Fは使用されません。最高速は50ノットに達するといわれ、まったく別の乗り物として考えたほうがよさそうです。ETNZのグレン・アシュビーは「カローラ(AC45)とF1(ACC)ぐらいの差がある」とコメントしていました。

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約1カ月のアメリカズカップ期間だけのために作られたアメリカズカップクラス。photo by ACEA 2017 / Ricardo Pinto

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ニュージーランドのグラインダーは足こぎ(ペダリング)システムを搭載。脚力に長けた自転車競技選手も乗り込むといいます。photo by ACEA 2017 / Ricardo Pinto

Q. アメリカズカップのコースは?
A. レースがおこなわれるバミューダ・グレートサウンドは大きな湾になっていて、そのなかにコースが作られます。レースコースは、ワールドシリーズまでのコースを周到していて、ダウンウインドスタートからアップ・ダウンを数回繰り返して、フィニッシュラインへ向かいます。コースの四方には、バウンダリーと呼ばれるレース艇が越えてはいけない境界線があり、戦術に大きく影響します。6月の風予報は南〜南南西12〜15ノットが期待できるとのこと。1レースは20分程度の短時間勝負となります。

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グレートサウンドのレースコース

Q. バルクヘッドマガジン編集長のマニア的注目ポイントは?

1. 各チームが選択したハイドロフォイルの答えあわせ
 今回のACCは、これまでのアメリカズカップ艇のコンセプトから大きく異なり、グラインダー(油圧)やステアリングは各チーム独自のシステムを採用していますが、ワンデザインの要素が強くなりました。しかし、水面下のハイドロフォイル(ダガーボードとラダー)は、フォイリングに最も影響を与えるパーツで、チームごとに開発が進められた部分です。さらに、ダガーボードは2セットしか保持できないルールがあります。ポイントは、各チームがどの風域で最大のパフォーマンスが出るフォイルを開発、チョイスしたのか。その選択の正誤を含め、ボートスピードにどう影響が出るのかに、編集長は興味があります。

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フォイルは水面に向けて上げ下ろしされます。前(船体中央)にあるのがダガーボード(ダガーフォイル)、後ろにあるのがラダーボード(ラダーフォイル)。photo by ACEA 2017 / Ricardo Pinto

2. チームのコンビネーションと仕上がり具合
 スピードレースのアクションで重要になるのは、タック・ジャイブの方向転換です。特にアメリカズカップのようなフォイルボートの場合、ボートアクションで、水面にタッチするのか、しないのかは、勝敗を決める要因のひとつ。つまり、タッチしないでフォイリングを長時間続けられるチームが勝利することに間違いないでしょう。しかし、そのためには、チームのコンビネーション、ボートコントロール、トリムが完璧であることが必至条件です。フォイリングマニアの編集長は、華麗なフォイリングタックを見れたら絶叫してしまいそうです。泣いちゃうかも。

3. オリンピック・スター選手の活躍とプロフェッショナル化
 今回のアメリカズカップでは、直近の五輪で活躍したトップ選手がセーリングチームのメインポジションを務めます。金メダルを4つ持つベン・エインズリーを筆頭に、49er級の金メダリストであり、モス級のワールドチャンプでもある、ネイサン・アウタリッジ、ピーター・バーリング。フランク・カマもナクラ17級でキャンペーンをしていました。彼らの中には五輪とアメリカズカップを同時進行する選手もいれば、ベンやイアン・パーシーのように五輪卒業生もいる。また、残念なことですが、本当ならオーストラリアチームとして、470王者、マット・ベルチャーも出場する予定でした(オーストラリアは出場表明したものの途中辞退)。こうしたオリンピック・スター選手が大量投入され、プロセーラーとしての「道しるべ」が作られたのも、第35回大会の特長かもしれません。

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ディンギーの国際大会で長らく彼らを撮影してきた編集長は、ちょっとうれしい気分です。写真はネイサン・アウタリッジ/イアン・ジャンセン。photo by Junichi Hirai

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編集長が2008年にオーストラリアの470ワールドで撮影したピーター・バーリング。クルーを担当していて、当時17歳でした。photo by Junichi Hirai

4. ソフトバンク・チームジャパンの真の実力は?
 バルクヘッドマガジン読者のみなさんは、日本から4度目、17年ぶりに出場するソフトバンク・チームジャパンの活躍に注目していることでしょう。もちろん編集長も同じです。2回のラウンドロビンで競われるクオリファイヤーズでは、実質1チームだけが敗退します。現実的な予想としては、まず、ワールドシリーズで2得点を持って挑むランドローバーBARが有利でしょうが、これもレースがはじまってみないとわからない。というのは、過去のアメリカカップを見ていても、また、ハイスピードで戦うボートの特長を踏まえても、ワンサイドゲームになる可能性が高いからです。事前に、バミューダで練習レースをやっていましたが、編集長はその内容を信じていません。本番前に手の内をさらすことなどありえないからです。つまり、真の実力はレースがはじまってみないと分からない。ソフトバンク・チームジャパンの真の実力は、、、初戦となるアルテミス戦を楽しみにしましょう!

※他にもあるのですが、ダラダラ書いていたらキリがないので、アメリカズカップ記事のなかでお伝えすることにします。

◎アメリカズカップ
https://www.americascup.com/

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