サルでもわかる?アメリカズカップ(2)

  • 04
  • Jul

 今回のアメリカズカップは3チームの挑戦艇(チャレンジャー)と1チームの防衛艇(ディフェンダー)で戦われます。出場艇は少ないものですが、それでもモンスターカタマランを使ったパワフルなセーリングは一見の価値あり。編集部もそれを見るために来たわけです。(BHM編集部)


サンフランシスコ湾では72フィートがブンブン飛び回っています。陸から見学していても超速いのが分かります。全速力のパワーボートが追いつかず、ものすごい長い引き波で、数秒で視界から消えてしまう。近くで見てみたい! ※バルクヘッドマガジンの小ネタ写真集はフェイスブックページで公開しています

◎アメリカズカップのAC72ってどんなボート?
 今回のアメリカズカップでは、カタマランのボックスルールAC72が採用されています。ボックスルールとは、インターナショナル14やモスが採用している限定規格級とよく似ていて、条件を満たせば、ルールの範囲ならOKというもの。その条件を追求していった結果、水中翼(飛行機の翼のようなもの)が取り付けられ、72フィートが空を飛んでしまった、というわけです。

 AC72の基本スペックは次のとおりです。重量約6トンですが、最後のモノハル対決で採用された2007年アメリカズカップ艇〈アリンギ〉が「78フィートで24トン」だったことを考えると、とんでもなく軽量化されているのが分かります。


AC72
全長:22m
最大幅:14m
マスト高:40m
吃水:4.40m
重量:5900kg
ウイング面積:260m2
ジブ面積:80m2
ジェネカー面積:320m2
クルー:11名
最高スピード:約43ノット(時速50マイル、約80km)

◎アルテミスの事故、安全規定とラダーエレベーター問題
 ここから先は、少々面倒でむずかしい話になりますが、ご了承ください。もしかしたらアメリカズカップは開催できないかもしれない、という話です。

 さて、このカタマランAC72に水中翼(フォイル)が付き、約6トンが浮き上がって走ることになりました。水中翼というのは、水中部分で揚力を作りだすダガーボード、ラダーのことで、これを操作して「浮きあがる」状態を作りだします。

 AC72では、まずエミレーツチームニュージーランドがフォイリング(フライング)に成功。それからオラクルが改良を進めて、後を追ってフォイリングに成功しています。

 しかし、ボートを改良していく課程とトレーニングの中で、AC72は二度の大きな事故を起こしてしまいます。ひとつは昨年10月にオラクルがノーズダイブでウイングを大破したこと。

 もうひとつは、みなさんの記憶にもあたらしい悲しい事故です。今年5月、アルテミスレーシングの練習中にボートが大破して、スター級金メダリストであるアンドリュー・シンプソンが下敷きになり亡くなるという事故が起こりました。アルテミスのAC72は、フォイリングに成功していたわけではなく、試行錯誤を重ねている最中でした。

 この事故があってから、アルテミスレーシングは参加・不参加を含めて活動が一時休止。約1カ月後、この事故を乗り越えて出場の意志を表明しましたが、遅延のためAC72のセカンドボートができあがっていないという状況です。つまり、現時点では、ルイヴィトンカップにアルテミスは参加できず、後半から出場することになっています。

 また、アメリカズカップ組織(アメリカズカップ・レースマネジメント)は、あらたに37個の安全規則を規定することで、安全性を確保することを決めました。また、この安全規定を定めることでサンフランシスコ沿岸警備隊からレースの開催許可がおりるという計画でした(沿岸警備隊の許可がなければレースは開催できません)。

 しかし、その安全規則の中にある「ラダーエレベーター」の変更について、オラクルが有利な状態(幅が広い・重い)であるとして、ルナロッサ、チームニュージーランド(幅が狭い・軽い)から抗議が出されたのです。

 開幕前日の7月3日、レガッタデレクターであるイアン・マーレーは、記者会見をおこないましたが、「ラダーエレベーター問題が解決していない」「沿岸警備隊の開催許可が下りていない」ようで、いったい、アメリカズカップは開催されるのか? ということになっています。

え? 始まんないかもしれないの!?


開幕前日、プレス発表するイアン・マーレー。とどのつまり、まだ解決していないということのようですが…


ラダー問題について説明するオラクルのトム・スリングスビー

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