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最新ミニに乗ったら驚くほど速かった!フランスで人気のMini6.50を取材(後編)

 5月初旬。ヨーロッパで取材を続けているバルクヘッドマガジン編集長は、フランスの「ポルニシェ・セレクト6.50」を取材後、三瓶笙暉古選手の回航に同乗してMini6.50(プロトタイプ)のセーリングを体験してきました。(BHM編集部)

満面の笑みでセーリングする編集長とフェデこと三瓶笙暉古選手。この写真の編集長、実はMini6.50のスピードにびびってます。ジェネカーでズバーンと走る感覚はキールボートというよりもディンギーに近いもの。編集長の右手はスタンションをギューッと握りしめているのでした(怖いから)

 ジェネカーをあげて走り出した第一印象は「こりゃ速いぞ!」でした。49erのようなハイスピードボートの感覚、クルーザーではメルジェス32のようなエキサイティングなダウンウインドの感覚が近いかもしれません。

 ただし、風に対する反応は敏感ではなく、突発的なブローには「ズン」と耐えるという印象です。ひとり乗り仕様のMini6.50ではオートパイロット(自動操舵装置)を多用するため、瞬時の判断でラダーやセールトリムでボートをコントロールすることがむずかしくなります。

 感覚としては、ターゲット風域、角度に沿って走るハイスピードモードは怖さを感じるほどのスピード感があり、ブローや波による一時的な失速と立ち上がりは、外洋艇らしい重厚で堅牢な動きを感じました。ただし、ひとまわりサイズの大きいJ/24や一世代前のMini6.50とはまったく違う乗り物といえます。

 そのスピードの理由は、船の全長に対して不釣り合いに見える巨大なセールです。セールから得られるパワーをダガーボードとカンティングキールで抑えこみスピードに変えています。〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉の場合はマストを含めて全てカーボンで建造されているため、極めて軽量化されているのも特長です。

セーリング時の風は陸風20ノット前後、波はフラットめですが、風により小刻みな波が立つという状況でした。このコンディションでトップスピードは時速19ノットを記録しました。写真手前のポールはジェネカーシートのリーチ角度を決め、安定させる役目のジョッキーポールです

 Mini6.50はバウスプリットがあり(これも船のサイズに対して不釣り合いに長い)、スピードがあがると前方の波に突き刺さりそうになります。これが怖い。最近の船は、なるべく波に刺さらないようにバウを丸くしたラウンド型(スコウタイプ)が主流になっています。

 乗員の体重を最大限後方に移動させても、バウスプリットが波に刺さりそうになる感覚が続きます。ひとり人乗りの〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉ではウォーターバラストを使用して、風上側後方のタンクに水をためてバラストをつくります。

 編集長が乗った〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉は、一瞬も気を抜けない、そんなスリリングな印象を受けました(編集長は必死にスタンションにしがみついてセーリングしていたので、手がしびれていたのでした)。

 「このスピードでもキャビンで寝たり、ご飯食べたりするの?」とフェデリコ(三瓶笙暉古)選手に聞くと、「余裕で寝れますよ(笑)。食事はデッキでかんたんに食べられるものを用意しておきます。あたらしいオートパイロットが調子良いので、安心して寝られるようになりました」とのこと。

 スピードは慣れるもの、なんですね。それでは、Mini6.50プロトタイプの秘密を写真で紹介していきましょう!

Mini6.50では一定のルールのもと、プロトタイプ(制限のないオリジナル艇)とシリーズ(制限あるプロダクション艇)に分けられます(単純な見分け方は、マストがカーボン/黒はプロトタイプでアルミ/銀はシリーズです)。プロトタイプではフォイル付きでIMOCAのように飛んで走るタイプも登場しています。ただし、外洋ヨットレースゆえフォイルの有利不利はコンディションに左右されるため、どちらが優れているか判断はむずかしいもの。ただし、船の進化という意味では注目に値します。〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉はプロトタイプになります
スコウ形状のバウ。スコウとは幅広で平らになっている船体でプレーニングに適しています。ダウンウインドの走りが多い大西洋横断コースを意識していて、スピードが早く前方の波を乗り越えてしまうため、バウスプリットやバウが波に突き刺ささりにくくする意味もあります
設計面や素材でも自由度の高いプロトタイプ。〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉の船体はカーボンのサンドイッチ構造で極限まで軽量化して強度を保っています。マストもカーボン製です。セールは6枚積むことが許可されていて、メイン、ジブ、ストーム(荒天用)ジブ、それにスピン、ジェネカーが3枚。どのタイプのセールを選択するのかも勝敗を分ける重要なポイントです
船体の全長に比べるとやたら長い印象がある(船体の半分ぐらいありそう)バウスプリット(カーボン製)。根本で折れ曲がる可変式タイプで未使用時はバウ側に折りたたまれています
外洋航海ではオートパイロットや航海計器で使用するバッテリーが重要な役割を持ちます。〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉の発電装置はEFOY(エフォイ)製でメタノール(写真左上)から発電するというもの。天候に左右される太陽光発電に比べて安定して電力を確保できる利点があります
オートパイロットはMADANTEC(マダンテック)製。ウインドモード、コンパスモードに加えて、ウインドモードにプラスされるヒールモードがあり、船がブローに入った場合など自動的にラダーを動かしてヒール角度をコントロールしてくれる優れもの。改良が重ねられトラブルが少なくなったことも好成績につながっています
〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉のカンティングキール。風上側にキールを倒すことでキール効果をより高めます。キールのコントロールは手動です。わかりにくいですが、キール部分は袋状の中にあり、、、
袋を外してみると海水といっしょにキールのストラットがあらわれました。キールと船体との付け根にある金具はDMG MORIで制作したものです
ヒールをコントロールするためウオーターバラストを使用します。船体のミドル部分とスタン部分に海水が入るタンクがあり、それが両舷にありますミドル部分で約90リットル、スタン部分で約40リットル)。満タンになるまで3〜5分で窓枠(上写真)から水が入ってくるのが分かります。水を排出するには約10分掛かります
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