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バルクヘッドマガジン編集長はブルターニュへ。フランスで人気のMini6.50を取材(前編)

 みなさん、こんにちは。バルクヘッドマガジン編集長です。ゴールデンウィークが終わって一週間。今年は天候に恵まれ、全国でたくさんのヨットレースが開催されました。で、4月に海外出張に出た編集長はどこで何をしているのかと言うと、、、まだヨーロッパを転々としています。(BHM編集部)

DMG MORI セーリングチーム(アカデミー)では三瓶笙暉古選手とロール・ギャレー選手が今年9月に開催される大西洋横断ミニトランザットに挑戦します。目下Mini6.50の大会に出場して外洋レースを学んでいます

 4月後半に南仏イエールで開催された「フランス・オリンピックウィーク」の取材を終えた編集長は、 コート・ダジュールからフランス北西部のブルターニュへ移動しました。

 目的は、このエリアではシングルハンド外洋ヨットレースが盛んで、ちょうどDMG MORI セーリングチームも出場する「ポルニシェ・セレクト6.50」というMini6.50のヨットレースが開催されていると聞いたからです。

 Mini6.50は大西洋横断ヨットレース「ミニトランザット」で採用されている、ひとり乗りのキールボートです。今年9月の大西洋横断スタートに備えて、毎週のように300〜500マイルの外洋ヨットレースが開催されていて、しかも、毎大会80艇以上出場しているというではありませんか。その数を聞いて、びっくりです。

 さきほど「このエリアでは外洋ヨットレースが盛ん」と書きましたが、それは控えめな表現で、いまフランスは外洋ヨットレースのバブル期です。選手たちは、目標大会の出場資格となる「マイル稼ぎ」のために、こぞって外洋レースに出場しています。

 実際にすべての大会はエントリー満員御礼。フランスの外洋ヨットレースは安全面への配慮から参加艇数を限定していて、どうしても出場したい選手はキャンセル待ちで待機しているという状況です(キャンセル待ち間際の選手は、強引に現地に行ってしまい「来ちゃったけど出場させてくれない?」と交渉するんだそう)。

編集長はイエールで友人になったフランス人カメラマンの車に乗せてもらってマルセイユへ。そこからナントへ飛んでロリアンに移動して数時間睡眠。風が強くなったからフィニッシュ時間が早まったぞ!と聞いて真夜中にポルニシェへ移動。ここはどこなんだ?状態で朝6時到着(上写真)。しかしトップ艇はまだフィニッシュしないのでした。よくあることです

(上地図)外洋ヨットレースが人気のフランス北西部。ラ・ロシェル、レサーブル・ドロンヌ、ロリアン、コンカルノー、ブレスト、サン・マロといった外洋ヨットレースの拠点が点在します

 日本では考えられない現象なので、わたしたちにはピンとこない例かもしれません。フランスのセーラーにとってシングルハンド外洋ヨットレースに出場することは、人生の大きな夢でもあるようです。

 シングルハンド外洋ヨットレースの頂点が白石康次郎さんが出場する単独無寄港無補給世界一周「ヴァンデ・グローブ」で、さらにその先にはウルティム(100フィート前後のマキシ・トライマラン)による世界最短/最速記録の更新を目指す「ジュールベルヌ・トロフィー」となります。

 このシングルハンド、ダブルバンドの外洋ヨットレース人気は、フランスから世界に派生しているという段階です。みなさんご存知のように、現在開催されているフルクルー世界一周「オーシャンレース」で、ヴァンデ・グローブのIMOCA(60フィート)が採用されているのは記憶に新しいことでしょう。

ポルニシェ・セレクト6.50のスタート。プロトタイプ29艇、シリーズ艇58艇が出場しました。これが一斉スタートなので混乱はまぬがれません。大会は当初300マイル予定されていましたが風が弱いと予想されたため230マイルに短縮されました。
昨年4月に進水した2艇の〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉。このポルニシェ・セレクト6.50は2023年はじめてとなるシングルハンド外洋レースになりました
ポルニシェ・セレクト6.50の大会本部は防波堤の先端にあり、運営スタッフがフィニッシュした選手を拍手で迎え入れます。シンプルな歓迎ですが、とてもアットホームで微笑ましい光景でした
岸近くに設置されたフィニッシュラインの本部艇には3名。トップ艇からラスト艇まで24時間の差があったので長時間労働。交代していると思うけど大変な仕事です
Mini6.50はエンジンを所持してレースに出られません(そもそもDMG MORI セーリングチームのミニは船外機はなく、ブラケットすらありません)。大会運営艇が順番でえい航しながら港に入ってきます

 バルクヘッドマガジン編集長が急いで向かった「ポルニシェ・セレクト6.50」には、フィニッシュギリギリに到着。レース結果はDMG MORI セーリングチームのロール・ギャレー選手が総合2位、フェデリコ選手が10位を獲得しました。

 〈DMG MORI SAILING ACADEMY〉がMini6.50の大会に出場するようになって1年が経ちました。ロール選手は優勝経験もあり、毎レース安定して上位に入ってきています。フェデリコ選手も徐々に成績をあげてきていて、船の状態もかなり仕上がってきているようです。 

 DMG MORI セーリングチームは今年4月に正式にミニトランザットの出場権を獲得し、9月24日のスタートまでいくつかのレースに出場予定です。結果も大切ですが、準備の時間を大切に安全に大西洋横断を乗り切って欲しいと思います。

 さて、ポルニシェの後の編集長は、レース後、母港ロリアンに戻るフェデリコ選手の「ミニに乗れますよ」の誘いに乗って、ポルニシェ〜ロリアンまで約60マイルのセーリングに乗せてもらうことになりました。そこで、編集長はMini6.50のポテンシャルに驚かされることになるのですが、その話は次回で。

ポルニシェ・セレクト6.50の表彰式。ロール・ギャレー選手がプロトタイプ2位を獲得しました
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