Loading

大西洋横断へ向けてDMG MORI セーリングチームが好発進!

 4月、フランスで小型外洋ヨット「MINI6.50」のシーズンが始まりました。MINI6.50は、大西洋横断ヨットレース、ミニトランザットで採用されるボートで、選手たちは年間を通しておこなわれる外洋レースに出場して、ミニトランザット出場条件となるマイルを稼いでいます。(BHM編集部)

50+95マイルのプラスチモ・ロリアン・ミニに出場した三瓶笙暉古とノエミ・プロヴォスト。ノエミ選手は昨年行われたDMG MORIセーリングアカデミーの最終選考まで残った選手で2025年ミニトランザット出場に向けて活動しているセーラーです

 4月13日、フランス大西洋湾側で今年初となる「プラスチモ・ロリアン・ミニ」が開催されました。この大会はロリアンに本社を持つプラスチモ社が主催する250マイルのロングレースです。二人乗り(ダブルハンド)のヨットレースですが、今年から男女で乗ることがルールに加わりました。

 本大会のエントリーは、安全や開催地のスペースをふまて上限80艇と決められています。ミニの大会は人気で希望選手が殺到するため、キャンセル待ちになることもしばしば。日本では考えにくいことですが、選手たちはミニトランザットの出場権を獲得するため(規定マイルを稼ぐ)必死になってレースに出場しています。

 今年のプラスチモ・ロリアン・ミニは最終的にシリーズ艇61艇、プロトタイプ24艇の合計85艇が出場しました。本大会にDMG MORI セーリングチームから、三瓶笙暉古/ノエミ・プロヴォスト、ロール・ギャレー/アレクサンドル・デゥマンジュの2艇(プロトタイプ)が出場しました。

 大会は事前に低気圧の接近が予想されてたため、前々日にスケジュールが大幅に変更されました。レーススタートを2回に分け、強風が予想される1日目(4月13日)は50マイル、風が落ち着いた2日目(4月15日)に95マイルのコースが設定されました。

 こうした直前の日程変更は日本では考えにくいことですが、大会主催の「選手に安全かつ厳しい外洋レースを体験してもらい、ミニトランザットの出場権を獲得してもらいたい」という主催意図が伝わってくるエピソードです。

フランス・ロリアンにある外洋ヨットレースの拠点、ラ・バースにミニがずらりと並びました。ラ・バースは軍港を再開発して、外洋ヨットの基地になっています
プラスチモ・ロリアン・ミニのスタート。80艇の上限を超えて85艇がスタートラインに並びました。フランスのミニの人気ぶりがよくわかります
DMG MORI セーリングチームからは2艇のプロトタイプが出場。ミニトランザットではプロダクション艇のシリーズと開発自由なプロトタイプにクラスが分かれています

 荒天が予想された1日目(50マイル)は安定して20ノットの風が入り、ガストで35ノットを超えるハードコンディションになりました。三瓶/ノエミはワンポイント・リーフでアップウインド・スタート。海岸沿いのコース取りで途中10位まで順位を上げます。その後、スピントラブルもあって13位(8時間15分15秒)に。

 2日目の95マイルは最大20ノットから10ノット程度のコンディションでおこなわれました。三瓶/ノエミは安全なポジションからスタート。風が変化する中、コース選択に悩みながらレースを展開 しました。

 波が高く、ワイルドジャイブする場面もありましたが、大きなトラブルはなし。95マイルを16時間52分30秒(13位) となり、1日目と合算した成績は24時間53分46秒となり、総合12位で大会を終えました。

「ノエミ選手とは3回ほどセーリングをする機会がありましたが、強風でのレースでどうなるか多少の不安はありました。でも、無事に完走することができ、全体を通して良いレースができました。ただ、レース中の細かいミスがあります。このミスをなくしていきたい。それと昨年に比べるとレースに余裕が出てきました。次回はもっと順位を上げるようにがんばります」(三瓶笙暉古)

 また、同チームのロール・ギャレー/アレクサンドル・デゥマンジュは総合4位(20時間37分57秒)となり、これで両艇とも正式に今年9月に始まるミニトランザットの出場権利を獲得しました。

 とはいえ、安心している余裕はありません。DMG MORI セーリングチームは両スキッパーの経験を積み船をブラッシュアップするため、本番前までの外洋レースに出場していく意向で、次回は4月29日に始まる「ポルニシェ・セレクト6.50」(シングルハンド。300マイル)を予定しています。

 彼らの目標とするミニトランザットのスタートは9月24日です。DMG MORI セーリングチームの活躍を楽しみにしたいと思います。

 DMG MORI セーリングチームの僚艇ロール・ギャレー/アレクサンドル・デゥマンジュは総合4位。ロール・ギャレーは三瓶笙暉古と同様に本年度のミニトランザット出場権を獲得しました
DMG MORI セーリングチームのボスこと白石康次郎さんがチームを激励に訪れました。チームは世界一周ヴァンデ・グローブのIMOCAとミニ6.50で活動しています
CATEGORY:  KEELBOATNEWSOFFSHORE