バルセロナ沖で落水寸前!サンペイ・フェデリコ3,600マイルの旅
2023年秋に開催される一人乗り大西洋横断ヨットレース「ミニトランザット」に出場するため、フランスで修行している三瓶笙暉古(サンペイ・フェデリコ。26歳)。DMG MORI セーリングチームに所属するフェデリコ選手は、今春に船(Mini6.50)で外洋レースに出場してミニトランザットの出場規定マイルを稼ぎながら外洋航海を学んでいます。フランスにいるフェデリコ選手に今年経験したオフショアレース活動について尋ねました。(BHM編集部)
編集長:スペインで開催されたミニバルセロナが終わり、これで今年のミニのレース活動は一段落です。今年は公式レースに出場したり、無寄港チャレンジもあってかなりの距離を走りましたね?
フェデリコ:そうですね。4月のプラスチモ・ロリアン・ミニからはじまって5大会に出場しました。単独無寄港チャレンジを含めると3600マイルぐらいなります。
◎フェデリコ選手の外洋航海【合計3,600マイル】
4月 プラスチモ・ロリアン・ミニ(100マイル)
6月 トロフェMAP(200マイル)
6月 ミニファストネット(500マイル)
7月 単独無寄港チャレンジ(1,000マイル)
8月 単独無寄港チャレンジ・再挑戦(1,000マイル)
8月 マレ・ノストラム(500マイル)
9月 ミニバルセロナ(300マイル)
編集長:公式で3,600マイル(約5,800キロ)、回航を含めたら4,000マイル(約6,400キロ)を越えるんじゃないでしょうか。フェデリコ選手はヘルムスマンの経験はほとんどなく、外洋レースの経験も少なく、はじめての経験ばかりだったと思います。ひとりだけのセーリングには慣れましたか?
フェデリコ:だいぶ慣れてきたし、自信もついてきました。ただ9月のミニバルセロナは強風でずっと舵を持っていてほとんど寝られず、ブローチング(船が横倒しになる)もして、船酔いもひどかったです。落水しそうになり、はじめて怖い体験もしました。
編集長:落水しそうになったのはブローチングで?
フェデリコ:はい、ちょうど夜、キャビンで寝ていた時に突然ブローチング。飛び起きて外(デッキ)に出たら船が横倒しになって、すぐブームにつかまりました。ハードウエアを着る余裕もなく、Tシャツ、パンツだけだったんで、落ちていたらと思うとゾッとします。
編集長:ライフジャケットを着てPLB(遭難信号発信機)を身につけていても、落ちてしまったら危険ですね。
フェデリコ:夜中だったこともありますが、あせって外にでたのが悪かった。反省しています。原因はオートパイロットの誤作動で、もともと調子のよくなかった部分です。この冬はボートをしっかりリフィットします。
編集長:風が弱いときは余裕もでてきたと思います。4月にはじめて一人乗り外洋レースに出た時に20マイル寝過ごしてしまった、という笑い話もありましたが、経験から学んだことは多いのではないでしょうか。
フェデリコ:たくさん失敗しているんで、たくさん学んでいます(笑)。8月に1,000マイルチャレンジした時、海が荒れた翌日、風が弱くなったので濡れてしまったカッパやブーツをデッキに並べて干していたんです。風も弱いし、日差しの当たるいい角度に干していたら、船がカクンと揺れた。その拍子にブーツがコロン、コロンと。。。
編集長:笑。ブーツを片方だけ落としてしまった?
フェデリコ:はい。片方だけ。10ノットぐらいの風だったんで油断していました。風が振れてグラッと揺れたんでしょうね。金銭的にもショックだったんで、これからデッキに干す時はしっかり固定することにします(笑)。
編集長:2022年のレースやセーリング活動は一段落しました。この冬はどんな活動を予定していますか?
フェデリコ:今年はミニトランザット出場条件になる1,500マイルのレース経験と1,000マイルの単独無寄港航海を達成できました。これで12月に始まる正式エントリーができます。冬の間はおもにボート整備をします。使いやすいようにリフィットしたり、整備をしっかりやって来年のセーリングの準備をしたいと思います。
編集長:フェデリコ選手は成績もだんだん上がってきていますね。次回のレースを楽しみにしています。
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