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ヘミングウェイが愛したキーウエストの海

※サンケイビジネスアイ紙で連載していたコラムを紹介します。


エメラルドグリーンがまぶしいキーウエストの海。セーリングには最高の舞台だ。撮影 JOY / International Melges 32 Class Association

コラム(77)
ヘミングウェイが愛したキーウエストの海

 フロリダ州マイアミ国際空港から南へ向かって車で3時間。島と島をつなぐセブンマイルブリッジを渡った終着点、アメリカ最南端キーウエストを訪ねた。ここは、世界でも有数のセーリングゲレンデとして知られ、毎年1月中旬に『キーウエストレースウィーク』が開催される。1988年から続くこの大会は、極寒の北米から夏を求めてアメリカ大陸を南下してきたセーラーによる華やかなヨットレースだ。

 キーウエストは、小説家アーネスト・ヘミングウェイが住んでいた町としても知られている。ヘミングウェイの家は、繁華街となるダウンタウンからほど近く、現在は博物館として一部が公開されている。キーウエストは、30分も歩けば反対岸の海に出るほど小さな町で、海岸沿いにはホテルや長期滞在用のアパート、コンドミニアムがあり、ヨットやーボートとマッチする絵に描いたような海辺のリゾートである。ここでおこなわれるヨットレースは日本で例えるならば、沖縄に集結してヨットレースを楽しむ、といった雰囲気だろうか。

 さて、このキーウエストレースウィークには、アメリカだけでなく世界中のグランプリレースボートが集まる。リゾートでおこなわれるからといって、レース内容がおろそかになるわけではない。この大会は、『リゾートでおこなわれるシビアなヨットレース』が特長で、それが世界のグランプリボートがキーウエストに集まる理由でもある。今回は、インターネット電話サービス、スカイプの開発者のひとり、ニコラス・センストロム氏や、アムウェイコーポレーション社長のダグラス・デヴォス氏のグランプリボートも出場。日本からは3チームが出場し、5日間にわたって熱い戦いを繰り広げた。

 キーウエストの特長は、なんといっても海底の白砂が反射するエメラルドグリーンの海。はじめて写真で見たときは合成写真と勘違いしたほどだが、海に出てみると透明度の高い水に色付けされた淡いグリーンが実に美しい。また、風の影響で小刻みな波が立ち、さらに10〜20ノットというセーリングに最適の風が吹く。こうした海の特長は、地中海や欧州の海、オーストラリアにはないキーウエストだけのものだ。

 ヘミングウェイは、このキーウエストで暮らし、さらにキューバへと移住し、『武器よさらば』、『キリマンジャロの雪』、『誰がために鐘がなる』、『老人と海』といった名作を執筆した。釣りが趣味でもあったヘミングウェイは、エメラルドグリーンの海を船で走っていたことだろう。キーウエストには、世界のどことも違う海と風がある。(2012.1 文/平井淳一)

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