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ホバートレース開始直前!ベンガルレポート

 12月26日のボクシングデイ(クリスマスプレゼントをあける日という意味です)。シドニー湾をスタートして、タスマニア島のホバートまで628マイルを走る「シドニーホバートヨットレース」が開幕します。日本から出場する〈KLCベンガル7〉のショアクルー、寺尾まゆこさんから現地レポートが届きました。寺尾さんは日本からシドニーまでベンガルを回航し、そのままレースをサポート。彼女は日本〜ロスまでのトランスパック回航、今年の沖縄東海レースにも乗っている希有なヨット馬鹿ガールでもあります。

 さあ、スタートまであとわずか。今年のシドニーホバートレースもいい風が吹きそうな予報が出ています。みんなで応援しましょう!(BHM編集部)

◎シドニーホバートヨットレース(リアルタイム航跡公開中)
http://rolexsydneyhobart.com/


日本からは久々のシドニーホバート出場となるベンガル。チャートを広げて作戦を練ります

 いよいよ、シドニーホバートレースが本日スタートします。シドニーホバートレースは、ベンガルチームの邨瀬(むらせ)オーナーが40年前に外洋レースを始めたころからの夢。アップウインド仕様のHamphreys 54を今年の2月に購入したのを機に、夢のレースへ挑むことを決めました。(レポート・写真/寺尾まゆこ ベンガル)

 船が変わっても場所が変わっても、自力回航がモットーのベンガルチームです。11月9日に蒲郡を出発し、クルー5人で30日かけてシドニーまで回航。赤道通過後は灼熱の南半球かと思いきや、しとしと雨の続く梅雨の様な気候でした。

 少しだけ南半球に裏切られたような気分になりましたが、シドニー湾に到着するとそんな気分は吹っ飛びました。海から見るハーバーブリッジ、オペラハウス、シドニーの都心の摩天楼。いちばんの景色は、湾内を走る本当にたくさんのヨットです。セーリングが、普段の生活の身近にあるのを実感します。

 タフなレースとして有名なシドニーホバートレース。それだからこそ、安全関連でパスしなければいけないハードルがたくさんありました。その1つが安全講習会です。

 このレースには、チームの半数以上が安全講習を修了していなければならないというルールがあります。ラフト(救命いかだ)を開いて実際に乗ったり本格的な講習を日本で2日間受けました。スタンションも数ミリ高さを満たしていないということで交換。さらに、シドニーではインスペクター2人体制での細かなインスペクションを受けました。

 ライジャケ等のチェックはもちろんのこと、指定されたチャートを積み込んでいるか1枚1枚の番号のチェックまで。また、ラジオもきちんと使えるか、実際にマリンレスキューの局にテスト通信をします。もちろん先方がこちらの声を聞き取れないとパスできません。つまりレースに出られません。

 レース公示は14ページ、帆走指示書に至っては26ページものボリュームです。スタートラインのことから、1日4回のHF通信、安全に関する事までびっしりです。

 今回ベンガルはディビジョン1で出場します。ディビジョン0,1,2のスタートラインは北側。100フィートのマキシ他でっかい船といっしょにスタートです。ちなみに、ディビジョン3以下のクラスのスタートはたった0.2マイル南に離れただけです。


出港を待つベンガル

 さらに、噂によると(耳を疑いますが)5000隻の観覧ボートがスタートを見守るそうです(5000隻…はさすがに盛ってるような…)。

 マニューバリングエリアも狭い上に、スタート後はいっせいに観覧艇の集団がフリートを追いかけるため、しばらくは手に汗握るセーリングになりそうです。また、カンティングキールを持つ船も多く、相手との距離に非常に気を遣います。相手のキールに気を遣うことなんて日本では滅多にない!

 さて、回航で大きなダメージを受けることもなく、さらに、シド・フィッシャーさん(優勝候補〈Ragamuffin Loyal〉オーナー)経営の立派なヤードでプロの手でマストもしっかり整備されたベンガル7号。約3週間の現地での準備はスケジュール通りスムーズに進みました。後はスタート前にダイバーに潜ってもらって準備完了です。

 レースホストのクラブであるCYCAは、レースのフラッグをはためかせる船と多くのセーラーで賑わっています。そして関係者だけでなくメディアもたくさん。連日テレビでニュースを放送しています。スーパーの店員さんもタクシーの運転手さんも「あぁ、ホバートレースね、がんばって」と応援してくれます。シドニーの人々にとってボクシングデー(12月26日)の欠かせないイベントといった感じのようです。

 さて、レースクルーに続き、トランスパック同様、日本からの応援チームも現地入りし、チームの準備は万端。明日はクルーの奥様たちが手作りしてくれたサンドイッチとおにぎり(ベンガルの回航の最重要備品のガス釜で炊きました!)を積み込んで出港です。

 デックマンでのETAは28日22時。オフィシャルホームページで航跡図を見られるので、チェック&応援お願いします!

◎シドニーホバートレース2012 KLC Bengal7クルー
Owner/Skipper 邨瀬愛彦
Sailing Master 伊藤陽一
Navigator 森 治彦
Watch Captain 高木 裕、荒川海彦、原健
Trimmer 中村仁彦、荒川友紀彦、高須雅規
Pit 安藤康治、長尾正博、横山大助
Grinder 平野恭行、中根藤太
Bow 三島隆洋、伊藝徳雄

 オンボードは、5人×3グループの4時間ワッチです。16名と人数が多いので通し番号で管理。随時番号点呼で人数をチェック予定。使う時は来てほしくないですが、もしもの時はラフトに通し番号1-8と9-16に分かれて乗船。すでにパスポートをラフトごとにまとめてジップロックでまとめ済み! 準備完璧! 備えあれば憂いなし。パーソナルイーパブはオフで寝る時も肌身離さず持ちます。


スタート前には遠方から出場するチーム代表によるプレスカンファレンスが開かれました。出席した邨瀬オーナー(左から3人目)は「日本でこのレースの報道は少ない。優勝して日本へアピールしたい」とコメント。他には、リトアニアから回航してきた意欲的なチームもあります。photo by Rolex/Daniel Foster

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