オーストラリア選手権、ラジアル女子最終
レーザーオーストラリア選手権・レーザーラジアル級最終日。今日も1レース目は、軽風のスタートとなりました。最終日の今日、出発前に3名でミーテングをおこない、これまでの課題と成果を再確認し、残り2レースの取り組み方を打ち合わせて宿舎を出ました。(レポート・写真/佐々木共之 JSAFジュニア・ユース育成強化委員会委員長)
◎課題 1
・スタートの位置取りと加速のタイミング→ハードなハイクアウト
・集団に並走できる帆走→完璧なバランス、スピード維持、ハードなハイクアウト
土居……ボディアクション
多田……ハイクアウト維持
・タック後の加速→男子のような力でヒールを起こすタックへの取り組み
・第1マーク回航前後のスピード維持
・リーチング/フリー時の上半身を含めた前後移動→メインシートトリム→上半身のバランス取りと合わせたラフとベア
・最終レグのハードハイクアウト
◎課題 2
・コースプランを考える習慣→艇速が遅い状態でのコース取りの修正
・リーチングでの位置取り→守り方と抜き方
・第2マークでの位置取り→混戦状態での回航方法
・フリーの位置取り(混戦時の位置取り)→風の受け方
・第5マーク回航→位置取りと回航方法
・最終の上り(クローズ)の戦術とフィニッシュラインのアプローチ
※レース前のルーティーンは、チームとして士気を高めておこなう。
◎第11レース
このレースで、土居は中央から風下寄り、多田は風上寄りからスタートしました。スタートラインについてから徐々に風下に振れだし、左海面に向かう集団に軽いブローが入り始めます。昨日までの右上奥に陸を位置するエリアから離れたため、右に伸ばす集団には風も弱く陸ベンドも入らない状況です。
スタート位置から土居は左海面に、多田はスタートミスもあり右海面に逃げのタックを打たざるをえない状況。ここで明暗がわかれました。集団と共に並走しながら第1マークを目指す土居に対し、集団と並走すら困難な多田は第1マーク38位と出遅れます。
土居は接戦の10位でマーク回航、この風域ではスピードに負けていません。その後リーチングで好位置につけ、フリーでは混戦の中からも風をとらえ2艇を抜いていきます。特に上半身の使い方が上手くなって、リグは揺らさない丁寧な前後・円運動ができてきました。徐々に前に出られる走りにつながっています。
第2上マークまでは上位8艇に対しブローをつなぎながら長いレグを走り5位に浮上、その後は危なげなく他艇を離しました。多田は第1マークでの回航順位に加え、軽風下のスピードが少し足りません。ブローの強弱、シフトで前に出せない走りから苦しい34位でレースを終えました。
◎第12レース
風下有利の中、土居は風下集団12番手、多田は中央から最高のスタート。2人とも今大会いちばんのスタートを切りました。特に風上艇への位置取りは非常によく、走りだしも最高です。3分ほど走ったあたりから、左からのブローが入り風下のスターボード集団はそろってタックしていきます。土居も合わせて返せる位置をキープします。多田はスタート後の走りで少し遅れ、集団の後ろを通って左海面に出てからタックしてトップ集団を追いかけます。
左からのブローが入りだし風速も6mに上がりました。多田はスタート後の差をこの場面で挽回し、12位まで上がってきました。ファーストタック後の集団との位置関係では6位にいた土居は、集団と並走している中で「少し競り負け」振れに合わせたタックが1回できませんでした。11番で回航し、多田とそろってリーチングに入ります。
リーチングでは、先行艇に対して落とし目に走った土居、風上位置をキープした多田の順位が入れ替わりますが、そのまま混戦でフリーに入ります。フリーでの順位は変わらず土居11位、多田12位。6.5mまで上がった中、上マークを目指します。その後も課題であるハードなハイクアウトに挑戦し、土居14位、多田16位で最終レースを終えました。
総合成績は、土居愛実16位(女子4位)、多田桃子24位(同6位)でした。今回は3人の遠征でしたが、2人は一生懸命、ひたむきに走りました。それぞれにエールを送りたいと思います。
◎大会を終えて
決勝に入り、順位が落ち込むことがありましたが、それは「接戦状態が増えたことから、わずかに位置取りが困難になったこと」(スピード/ハンドリング)、その中で「自らのミスやロスが増えたこと」(帆走技術の完成度/思考能力)が原因でした。最終レースではそれらの抑えるべきミスとロスが最小限にとどめられ、先の艇団の動きと風を考える習慣を実行できたことで、実りある最終レースになったと思います。
今大会では上位陣のスピードと自分たちの差を客観的に理解し、認め、その中でもヨットレースができる判断力を学び習慣化することを目標にしました。ユースを卒業したばかりの両選手とラジアル世界選手権で活躍する女子選手との差は大きいと感じましたが、近い将来、必ず互角にレースができると確信しました。
最後に本大会への参加に当たり、各方面から多くのご協力ご支援を頂きましたことに感謝申し上げます。今後ともジュニア・ユース、U-22(NTホープ)選手を応援いただきますようよろしくお願いいたします。
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