【コラム】東京五輪を振り返り、ペットボトルを思い出す
みなさん、こんにちは。バルクヘッドマガジン編集長です。秋風がぴゅーっと吹き出し、すっかり寒くなりました。今年の夏ってどんなだったっけ? と思い返すこともしばしば。季節が変わると記憶がだんだん薄れていきます。今年の夏は忘れてはならないオリンピックがありました。(BHM編集部)
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新型コロナウイルスの影響で、異例づくしの厳戒態勢で開催された東京五輪。編集長は3週間ほど江の島に通って取材撮影していました。運営に関わっていた方の中には、オリンピック本番よりずいぶん前から会場に通って作業していた方も多かったと思います。本当にごくろうさまでした。
五輪全体を振り返った場合、開催されたことの評価はむずかしく、個人的には「ある部分では成功だったし、ある部分では間違っていた」と考えています。毎日江の島に通いながら、頭のどこかに「?」を思い浮かべていた方は少なくなかったのではないでしょうか。
編集長もその一人で、やるからには成功してほしいという気持ちがありながら、現場でおこなわれている縦割りで非効率に見える五輪特有の規則にうんざりしていたのも確かです。
無観客の観客席に向けて毎日制作されていたテレビ番組があったなんて、だれが知ることでしょう? ウン億円の費用を使って、たぶん世界で数名しかこの映像を見ることはできませんでした。でも、オリンピックだから仕方ない、という割り切りが自分の中にあったのも事実です。
いくつかの不条理の中でも、いちばん残念に感じていたのは、毎日大量に廃棄されていたお弁当と、大量に使われたペットボトルです。新聞記事によれば1カ月間で13万食が廃棄されたとのこと。開会式では1万食のうち4千食が廃棄されたそうです。当たり前ですが「われわれは、何をやってるんだろう?」と思わずにいられませんでした。
セーリング競技の現場でも大量のペットボトルが用意されていました。毎日、猛暑で特に屋外で働いていた方に水分は必須です。でも、あれほど大量のペットボトルを使う必要はあったのかな? と思っていました。
自分で用意したマイボトルを使っていた方も多かったと思います。ペットボトルを使っていたのはコロナ対策もあったのでしょう。編集長の勉強不足かもしれませんが、部署によっては外部から持ち込まれるマイボトルが禁止されていたかもしれません。
でも、そんなことを理解しつつも「?」が残ったのは事実です。わたしたちは、他の競技と違って自然と大きなつながりのあるスポーツをしています。プラスチックゴミ問題、海水温の上昇など問題は山積みで、海に出てセーリングするわたしたちには特に身近で重要なことです。
プラスチック製品はなくしていくべきだと思います。プラスチックゴミが浮いている海でセーリングするなんてだれも楽しくありません。ただし、これは個人的な考えですが、コンビニであれほどビニール包装された商品、ペットボトルが陳列されている現状で、全部を一気になくすことは現実的ではないと思っています。
でも、わたしたちセーラーが、使わない、減らすという意識を持つだけで、変化がちょっとずつあるのではないでしょうか。ペットボトルを手に取る代わりに水道から水を入れればいいだけの話です。海外のセーラーや運営スタッフでは常識となっているマイボトルやプラスチックボトルの再利用も、日本ではまだまだ少ないと感じています。
無理強いするつもりはありません。どうしてもむずかしい場面はあるし、編集長もこれだけプラスチック製品があふれている中で全部止めることなんてできないと思います。いまはそれぞれが「できることをやる」で良いのかなと思っています。
大量のペットボトルを使用した東京五輪を反面教師に「そういうのってカッコ悪いことだよね」の雰囲気をみんなで作り上げていけば、それが普通のことになっていくのかな、なんて考えています。