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スピードこそ正義!来たれ、流迅 RYU-JINスピードコンテスト

 スピードの重要性について異論を唱えるセーラーはいないでしょう。ヨットレースで勝つためにスピードアップは最重要項目。そのためにはセーリングの技術力、体力アップはもちろん、チューンナップのために船の構造を知り、セールを知り、風や波に対応するために気象・海象を学ばなければなりません。でも、そう簡単なことではないのは、みなさんご承知のとおり。スピードを出すことって実に奥が深いのです。(BHM編集部)

最速セーラーはだれだ? 葉山で開催されたスピードコンテストに腕に自信のある最速セーラー6名が挑戦しました

 そこで、普段の練習の中でスピードを意識したセーリングを(遊び心を混じえて)取り入れてみるのはいかがでしょう? ゆうこうマリンが企画する「流迅 RYU-JIN スピードコンテスト」は、さまざまな艇種で速度を競うコンテストです。老若男女、場所を問わずだれでも参加できるのが特長で、スマホアプリで測定したセーリングの速度を投稿することで、全国のセーラーとつながり競い合うことができます。

 2月27日、葉山でセーリングの速度を競う「流迅 RYU-JIN スピードコンテスト」が開催されました。このちょっと変わったイベントは順位を競うヨットレースではなく最速のスピード(数値)を競おうというコンテストです。

 参加した種目はモス、ウインドフォイル、ウイングフォイルなどスピード自慢のフォイル艇を中心に6種目。春が近いとはいえ、風の冷たい葉山沖は北東最大25ノットの強風が吹いています。スピードコンテストのコンディションとしては申し分ありません。

 葉山に集結したのはスピードに自慢のある6選手。艇種はバラエティに富んでいて、バルクヘッドマガジンではおなじみのフォイリングモス、2024年パリ五輪種目のiQフォイル、フォーミュラカイト、世界で一気に人気が拡大したウインドフォイル、スピードに特化したウインドスラローム、ツインチップ・カイトボードです。

午前中は風強く各選手たちに種目紹介してもらいました。異業種交流会のようで普段はなかなか見られないボードやフォイルに興味津々です。写真は穴見選手のウイング。空気入れポンプで膨らませて準備は簡単
日本でも一気に人気となったフォイル艇。2024年パリ五輪ではナクラ17級、iQフォイル(ウインド種目)、フォーミュラカイト(写真)の3種目がフォイル仕様になります

◎だれが一番速いんだ? 強風の葉山でスピードコンテスト

 セーリングのジャンルとしては異なる6種目が、いったいどうやって競い合ったのでしょうか? 実はバルクヘッドマガジンが「スピード競争」を取材するのは今回で2回目。2014年に葉山でおこなわれた異種格闘技戦『モスvsカイトvsウインドサーフィン』(欄外にリンク)以来です。当時はカイトもウインドサーフィンもフォイルは主流ではありませんでした。

 あれから数年が経ちフォイリングはスピードセーリングの代名詞として定着。ヨットの世界よりも早く、ウインドやカイトでフォイリングが手軽にできるようになりました。バルクヘッドマガジン編集長も普段海に出ていて世界が一気に変わったことを実感しています。

 さて、海上では三部泰誠レース委員長を中心にコースをセット。スロープから出る選手、砂浜から出る選手など出艇ゲレンデが異なるため、スタート時刻をあらかじめ各選手に伝えておき、それに合わせて海上に集合するというスタイルです。

 海上では選手たちが自由に走るフリーライド、マークを設定した上下コース、約2マイルのコースを同時スタートで競うスピードコースでおこなわれました。ターゲットアングル(走る角度)が異なるため「全艇が揃ってきれいにスタート」というわけにはいきませんが、高速で走るさまは迫力そのもの。あっという間に過ぎ去ってしまいます。

 コンテストは「流迅 RYU-JIN スピードコンテスト」に沿って選手たちがアプリで計測。参加6選手の中で最高速を記録したのは後藤浩紀(モス)の63.9km/h=34.5ノットでした。おめでとうございます!

当日の最高速を記録(63.9km/h=34.5ノット)した後藤選手のモス
流迅スピードコンテストの速度計測は共通のスマホアプリを使っておこなわれました

◎参加選手のコメント
・上下走るには風が強すぎた。走れていればiQフォイルと戦える(モス後藤)
・あらためて上には上がいるなと感じました。順風だったらもっと速かった。(iQ倉持)
・大きいセールを使って初めて60kmの記録がでました。(スラローム穴見)
・きつかったしかなり疲れた。でもこういうコンテストはおもしろい!(ウイング穴見)
・とても新鮮な気持ちで走れました。ただTTには風が弱すぎました。(TT市川)
・今回のセールはオーバーパワー。セール選択が大事ですね。(フォミュラ楠瀬)

 だんだん暖かくなり、みなさんのセーリング計画も増えてきていると思います。新型コロナウイルスは改善される良い方向へ向かっていますが、コロナ以前のセーリングに戻るにはもう少し時間が掛かりそうです。ヨットレースの参加や遠征はむずかしいというセーラーも多いでしょう。

 今回はハイスピード種目を集めておこなうデモンストレーションでしたが、「流迅 RYU-JIN スピードコンテスト」は同種目のカテゴリーで競うことができます。「スナイプの日本最高速ってどれぐらいだろう?」「レーザーやJ/24は?」。ちょっと気になりますよね? みなさんもスピードコンテストに挑戦してみてはいかがでしょう。

フォーミュラカイト(カイトフォイル)クラス
楠瀬和旺。24歳。拠点:西宮。当日ギア:ボード/Tarifa Foil Boards、フォイル/CHUBANGA V2、カイト/FLYMAAX Boom V2 13㎡。現在の活動:2024パリ五輪フォーミュラカイトクラスに向けて五輪キャンペーン、ディンギーコーチ。ゆうこうマリン所属。当日の最高速【75.0km/h=40.4ノット】
ウインドスラローム 穴見賢太。16歳。拠点:住吉浜。当日ギア:ボード/Severne Starboard セール/Severne mach4 7.8 Starboard 72。現在の活動:スラロームとフォイルが主。スラロームではプロになることを目標として活動しています。フォイルではiQフォイルをメインに五輪を目指す。BUZZ所属。当日の最高速【59.9km/h=32.3ノット】
カイトTTクラス(フリーライド)
市川航平。30歳。拠点:関東。当日ギア:ボード/F-one trax hrd lite tech、カイト/North Evo 7m2。現在の活動:月光セーリングチームでキールボートに乗りマッチレース、フリートレースに出場。今年はチームレース世界選手権が目標。当日の最高速【45.4km/h=24.5ノット】
ウィンドiQフォイル
倉持大也。26歳。拠点:鎌倉。当日ギア:ボード/starboard IQFOIL 95、フォイル/IQFOIL front900/rear255-2/fuselage 115 plus、セール/severne hyper glide go。現在の活動:パリオリンピックキャンペーン、国内プロサーキット、 国体出場など。2020年iQフォイル全日本選手権優勝。福井県スポーツ協会所属。当日の最高速【50.6km/h=27.3ノット】
ウィングフォイル
穴見知典。24歳。拠点:大分県杵築市、国東市等。当日ギア:ボード/starboard HYPER FOIL、フォイル/ZEEKO FOIL Bullet、ウィング/HYDE WING MOWE MK-3 5m2。現在の活動:ウインドサーフィンのプロ選手でウイングやSUP、ウェイクボードなどマリンスポーツ全般のインストラクター、選手としても活動。ゆうこうマリン/ライテック所属。当日の最高速【53.0km/h=28.6ノット】
モス
後藤浩紀。47歳。拠点:葉山。当日ギア:ハル/Bieker、セール/North Bi-8DS。現在の活動:全日本モス選手権優勝8回を記録する日本スピード王。日本モス協会会長で全国にフォイリング艇の普及活動しながらSailGP解説、オリンピック解説など多岐にわたって活躍。所属:セールファスト。当日の最高速【63.9km/h=34.5ノット】
三部泰誠レース委員長。2014年スピードトライアルでは選手として参加。その教訓を生かしてスムースな運営がおこなわれました。「いろんなフォイル艇を集めて、海外のフォイリングウィークのようなイベントができたらいいですね」とのこと。また、このイベントにはウルマーセイルズジャパン社、セールファスト社に協力いただきました
まさに異種格闘技戦となったスピードコンテスト。今年はスピードにこだわってセーリングしてみるのはいかがでしょう? 次回もおたのしみに!
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