マッチレースエキシビジョンに参加して
大学生4名でマッチレース練習会に参加した三重大の佐藤洋一さんからレポートが届きました。大学を卒業してからどのようにヨットに乗っていこうか、と悩んでいるみなさん、同じ大学生セーラーの体験と意見をぜひ参考にしてみてください。(BHM編集部、撮影:川瀬佳代子)
「この先、どのような形でセーリングと関わっていこうか」
年代に関わらず多くのセーラーにとって、一生に一度は自問自答する問題かもしれません。レポート/佐藤洋一(Yoshida Sailing Team、三重大学)
問題、といったらシリアスに聞こえるかもしれませんが、それにはワクワクが詰まっていて、想像力を掻き立てられ、日々妄想に溶け込み、友人や仲間とどんな悪巧みをしようか、とウズウズしてたまらなくなるものです。
僕は20代の学生という身分で、妙な責任や守るものも少ない状況なので、将来への希望や自分の可能性に過剰に期待してしまう年齢なのかもしれません。
けれど、たとえ僕が30歳、50歳、70歳、90歳であったとしても、同じ問いを自分に問いかけます。この先どうしよう、もっと面白いことがありそうだ、と。
どうしても迷ってしまうのは、やはりセーリングの世界には色々な選択肢があるからでしょう。ディンギー、ワンデザイン、ロング、ブイまわり、マッチレース、などなど。どれも面白そうで、実際やってみても楽しい。
根本に“ヨットが好き”という気持ちが心の中にあるからかもしれません。そんなフラットな気持ちで色々つまみ食いをした中でも、「おっ、これは面白い!」と思えたマッチレースについて、記事を書きたいと思います。
志摩ヨットハーバー。中部圏、関西圏の境目にあるその場所は、故・二宮隆雄氏が全国に先駆けてマッチレース活動を本格的に開始した、いわば「マッチレースの故郷」と呼ばれています。
そんな志摩ヨットハーバーで行われた、紀州ヨット少年団主催の「マッチレースエキシビション 最新ドリルスキーム採用による、本格マッチレース練習会」へ10月27、28日と参加してきました。
今回の練習会の主旨が、マッチの裾野を広げることと聞いていたので、これはまわりの仲間にもマッチレースを知ってもらうチャンスと思い、Yoshida Sailing Teamから僕(三重大)と村上(大阪市大)、中部学連時代の仲間の杉山(三重大)、宮澤(愛工大)の4名で学生チームを編成して、練習会に参加しました。
杉山とは、普段からJ/24に一緒に乗り込んでいるため慣れているものの、今年学連を引退した宮澤は初のクルーザーです。マッチレース以前にクルーワークに不安を覚えていました。
初めて組むメンバー、初めてのマッチレース、初めての……、と初めて尽くしの僕らの不安を一蹴したのは、革新的な練習メニュー、そして温かい雰囲気の練習メンバー達でした。
レベルの差を考慮し、あえてクルーは混合で乗艇、初心者から熟練者がひとつの艇に乗り込むことで基礎から学び直します。クルーザーのクの字から始まった練習は、徐々にマッチレース寄りに。
エントリー、ダイアルアップ、ラウンドと段階を踏む練習を経ることで、最終的には自分たちだけでマッチレースを戦い、スタート際などで積極的に攻めてみるなどのプレーも息を合わせることが可能になりました。
帰り際、仲間を駅まで車で送ったあとに仲間から投げ掛けられた言葉が印象的でした。
「誘ってくれてありがとう、本当に楽しかった! 次もぜひ参加したい!」
一般にマッチレースというとルールが難しい、敷居が高そうだ、僕なんかが……なんて思ってしまいがちですが、実際のところはある程度ヨットに乗っている人なら誰でも楽しめる競技だと思います。
特にフリートレースを楽しんでヨットに乗っている方々にとっては、スタートや接戦などの面白味がギュッと凝縮されたマッチレースにきっと魅了されるでしょう。
また、マッチを経験することでルールに強くなり、順位争い中の相手艇のカバーがより効率的にできるなど、フリートレースへ還元できる所もマッチを経験するメリットかもしれません。
学連出身や学生OBセーラーにとっても、ミニトンやハーフトンで行うマッチレースはディンギーに近い感覚で操船することができるため、スムーズにマッチ、そしてキールボートへの世界へ入っていくことができると思います。
なにより、キールボートはチームでひとつの艇に乗り込むことで“仲間”という意識が強まるので、僕は大好きです。
最後に冒頭の質問に戻りたいと思います。
「この先、どのような形でセーリングと関わっていこうか」
僕は提案します。
「マッチレースという選択肢はいかがですか」
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今後のマッチレース日程は以下の通りです。
2012年12月15、16日
クリスマスマッチ 葉山/YAMAHA30S チャーター
2013年3月15〜17日
大学対抗学生マッチ 日産マリーナ東海/J24 チャーター
※追加される可能性あり。JYMAのHPをご覧ください
また、定期的にマッチ練習をしています。この先長くやるもやらぬもまずは試してから。是非一声かけてください!
連絡先
佐藤洋一(facebook)http://www.facebook.com/yoichi.sato.16
練習場所:志摩ヨットハーバーか日産マリーナ東海
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