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アメリカズカップ観戦前に復習。どうしてAC75はフォイリングするのか?

 1月15日からニュージーランド・オークランドで「プラダカップ」が始まります。第36回アメリカズカップの挑戦者を決定するこの大会は、防衛者となるニュージーランド以外の3チームが出場して約1カ月かけて挑戦者(チャレンジャー)を選出します。(BHMj編集部)

水面下のフォイルは飛行機の翼と全く同じです。フォイルの上面、下面に水が流れることで圧力差が生まれ上に向かって揚力(浮き上がる力)が発生します

 アメリカズカップで採用されているAC75の最大の特長はモノハル(単胴艇)によるフォイリングです。2017年バミューダ大会のカタマラン(双胴艇)は現在F50として改良されてSailGPで採用されています。その性能差は並走することがないので比較はむずかしいのですが、ダウンウインドは同等、アップウインドはAC75の方が高性能と噂されています。

 さて、75フィートの巨大な船体がどうして浮き上がって走ることができるのでしょうか? 浮き上がることで水中の抵抗は大幅に減少し、最高速度50ノットの高速を可能にしました。

 フォイリングの秘密はハイドロフォイル(水中翼)にあります。水中で揚力を生み出すフォイルの考え方はセールの原理と同じです。風がセールを流れることで気圧差が発生し、揚力=推進力となります。水中のフォイルも同じで、上方向に向かって揚力が生まれて船が浮き上がります。

 フォイリングの原理はモスやワスプ、ナクラ17、ウインドフォイル、ウイングフォイル、カイトフォイルでも同じです。どうして巨大なアメリカズカップ艇が飛べるのか、そしてスピード差はどこから来るのか、フォイルの形の違いは? などを考えるとプラダカップ、アメリカズカップをより興味深く観戦できるでしょう。

◎第36回 アメリカズカップ・スケジュール
1月15〜2月24日 プラダカップ・チャレンジャー・セレクションシリーズ
3月6〜15日 アメリカズカップ・マッチ

イネオス・チームUKがアメリカズカップ艇の飛ぶ仕組みを分かりやすく解説してくれています
出場チームのフォイル形状の違い。12月のワールドシリーズ・オークランド大会で優勝したのはニュージーランド、1勝もできなかったのはイネオス・チームUKです。ちなみにフォイルの上下操作する油圧システムは全チーム共通のものが採用されバッテリー駆動します。船内のグラインダーからくるパワーはセールの出し入れの油圧システムに使われています
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