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敵は見えない未確認浮遊物。大荒れのヴァンデ・グローブ

 12月4日、世界一周ヨットレース、ヴァンデ・グローブのトップ艇団は南氷洋へ入り、現在南アフリカ沖を通過しています。トップを走るのはチャーリー・ダリン〈APIVIA〉で2位を約150マイル離しています。(BHM編集部)

3度目のヴァンデ・グローブ出場となるベテラン、サマンサ・デイビス。未確認浮遊物との衝突でフォイルを損傷しレースを中断。南アフリカ・ケープタウンへ向かいます。本大会に出場しているロメイン・アタナシオ〈PURE-BESTWESTERN〉は夫で、夫婦で世界一周レースに出場しています

 トップ艇団は南氷洋へ出て南緯40〜45度を東へ。南緯40度から南は「吠える40度 = Roaring Forties」と呼ばれ、大航海時代から強風が吹き荒れる海域として知られています。

 ちなみに南緯50度から狂う50度=Furious Fifties、60度から絶叫する60度 = Screaming Sixtiesと呼ばれています。世界一周する場合、南に下り地球の円周を短くするのが最短ルート。しかし、南極大陸のまわりには氷山があり、本大会では衝突の危険から「アイスゾーン」が設定され、選手は規定の位置(ゾーン)から南に下ることは禁止されています。

 荒れた海域のなか各艇はトラブルを抱えなら走っているのが現状です。そのうち大きな問題は、未確認浮遊物との衝突。女性スキッパーのサマンサ・デイビス〈Initiatives Coeur〉とセバスチャン・シモン〈ARKEA PAPREC〉がフォイルに何かが激突して艇を損傷しました。

 セバスチャン・シモンは艇内への浸水があることを伝え、サマンサ・デイビスは「衝突の瞬間、岩に座礁したかのように20ノットから突然0ノットに止まった」と話しています。

 未確認浮遊物はこれまで何度も事故の事例があります。クジラの大群に遭遇して衝突した例や、コンテナ船から落ちた荷物に衝突した例もあります。序盤でスタート地点へ戻ったジェレミー・ベイユー、3位を走るトーマス・ルヤントも未確認浮遊物と衝突があったことを報告しています。

 現在、船にトラブルのあるアレックス・トムソン〈HUGO BOSS〉、サマンサ・デイビス〈Initiatives Coeur〉、セバスチャン・シモン〈ARKEA PAPREC〉が、避航のため南アフリカのケープタウンへ向かっています。

◎ヴァンデ・グローブ成績 12/3時点
1 Charlie Dalin〈Apivia〉16,557.7 nm from the finish
2 Louis Burton〈Bureau Vallée 2〉148.69 nm from the leader
3 Thomas Ruyant〈LinkedOut〉202.73 nm from the leader
4 Damien Seguin〈Groupe Apicil〉374.36 nm from the leader
5 Yannick Bestaven 〈Maître CoQ IV〉387.34 nm from the leader

サマンサ・デイビスと〈Initiatives Coeur〉
傷を追ったセバスチャン・シモン〈ARKEA PAPREC〉のフォイル
白石康次郎選手はブラジルから南アフリカ向けて南下中。修理したセールも無事で問題なくセーリングできているようです
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