全日本インカレ 展望と解説(470級・前編)
『琵琶湖全日本インカレ 展望と解説 470級・前編』
文/外道無量院・なまちゃん
外道無量院
9月初旬の全日本個選で1〜4位、6位とほぼ表彰台を独占した日本経済大勢の力が、今年も個々では抜きん出ている事は誰もが認める。個選2連覇を果たしたスキッパー・土居一斗(福岡第一・3年)/石井佑典(邑久・3年)は、国体でも五輪代表やナショナルチーム勢を一蹴して優勝した。
9月インカレ個人戦で圧勝した土居/石井。3年の土居は国体でも優勝して破竹の勢い。photo by Junichi Hirai
この艇を筆頭に、今村亮(羽咋工・4年)/外薗潤平(鹿児島商・4年)、岩下哲也(3年・長崎鶴洋)/磯崎哲也(2年・福岡第一)のほとんど昨年と変らないレギュラー陣に、個選4位の山本孝俊(邑久・3年)、同・6位の波多江慶(福岡第一・4年)らのスキッパー陣が控える強力な布陣は例年通り。
今年も、まともな開催場所なら「鉄板」の本命だろう。しかしながら舞台は琵琶湖である。昨年の江の島大会や今年の全日本女子インでの微・軽風下での変り様をみると、そう簡単に今年は? と思うのは私だけではあるまい。
しかし、「課題」ははっきりとしているので、琵琶湖対策を確りと施されていれば、あっさりと優勝するかも知れない。2003年に第一経済大としてインカレにデビュー以来、2005年・2012年の江の島大会と2007年のこの琵琶湖大会以外は全てクラス優勝を果たしているが、果たして江の島に次ぐ「鬼門」となってしまうのか?
しかし、また、なぜ琵琶湖でやるのかね?
なまちゃん
そうですよね〜。今年のインターハイ会場だった「和倉温泉」で開催すればいいのに。夏なのに良いレースができたし、今の時期ならなおのこと良いと思うんですよね。5年前の琵琶湖インカレもたったの4レースでしょう? しかも微風ですからね。そろそろ考えた方が良いかと…。
注目の日経大はというと8月の個人戦で圧倒的な走りをみせ、あれを見たら負ける要素なんかないと誰もが思いますがね。明らかに他とはレベルが違う。それは土居・外薗組が国体で優勝したのがそれを物語っている。しかし昨年の江の島大会のような微風下でのあの苦戦ぶりを観てしまうと、「???」となってしまう。
また前回の琵琶湖大会では、走りが悪かったわけではなく、英語で自滅。そこまで相性が悪いようには見えませんけどね。しかし、琵琶湖では、チームレース力が試されると思います。3艇がそれにに徹することができたなら、ダントツで優勝だろう。どのような作戦でレースに臨むのか? 非常に楽しみですよね。
今年のインカレは琵琶湖開催。コンディション次第では誰も予想できないドラマが待っているでしょう。photo by Junichi Hirai
外道
「地元絶対有利」と過去のデータが物語る琵琶湖大会。迎え撃つその地元勢の筆頭格は、名門完全復活をかける同志社大。
2006年福岡大会のスナイプクラス優勝(この時、470クラスは水域大会落ち)からながらく低迷が続いたが、今年は水域大会で完全優勝、全日本個選にも470・5艇、スナイプ3艇を送り込み、両クラスに入賞、スナイプでは優勝艇を出して、地元開催に向けて完全復活の雰囲気が漂う。
470クラスは、若いスキッパー陣に先輩クルー、という布陣が中心。日経大勢の全個・表彰台独占を阻んだ村田俊彦(福岡第一・1年)/東野竜弥(大阪国際大和高田・4年)。この強力なルーキースキッパーに加え、奈良大樹(別府青山・3年)、豊田華世(別府青山・3年)という1年生時からのレギュラー・スキッパー陣を、このところ力を付けた徳重樹(中村三陽・2年)が脅かしている。
クルーも大学に入ってから始めた一般入学組とはいえ、共に長身の立石和也(高松西・4年)と北川英幸(土佐塾・3年)に加え、西野裕太朗(清風・2年)までが激しいポジション争いを展開する環境となり、昨年までになかった「競争」という作用が働いているのが復活の原動力だろう。
なま
地元での完全復活にかける同志社だけど、スキッパー陣が若いのが若干気になるんですよね。また優勝からもしばらく遠ざかってるのもマイナス要素だと私は思います。優勝するには、いかに上級生クルーがリードできるかにかかっています。
余談ですが、1992年に完全優勝した際、堤伸浩さんがクルーなのにもかかわらず、自艇だけでなく、チームメイトに対しても、常に声をかけ続けていたのが今でも印象に残っているんです。「実力+チームレース」で圧倒的な勝利でした。そういうレースができたなら完全優勝まであるのではないか? と思います。
外道
最近でも、2006年の福岡大会では水域大会で敗退した470チームから主将の今井信行をスナイプのクルーに乗せ、クラス優勝をしたのは印象的だった。しかし、あれからもう6年か経ったか。
さて、昨年の470クラス優勝の関西学院大。優勝メンバー6名から抜けたのは1名のみ。その穴を、部員50名以上の激しい競争の中から、新西宮ヨットハーバー界隈にあふれる女子部員の間では「ジャニーズ系イケメン」との評判が高い、ルーキー・神木聖(県芦屋・1年)が埋める。昨年と比べても戦力ダウンとは見えない。
現実に、同志社大と琵琶湖で直接対決した関関同立定期戦(同時に関西学院・同志社の2大学間の対抗戦・「同関戦」を兼ねる)では、総合では1点差で敗れたものの、470クラスとしては勝利している。
エース艇の西尾駿作(関学高等部・3年)、女子エース・スキッパーの松下結(長崎工・4年)に加え、昨年の優勝メンバーのクルー陣は俣江広敬(関学高等部・3年)、溝上遣斗(中村三陽・4年)、疋田大晟(別府青山・2年)と、全員揃って残るのも強みだ。
6年前の琵琶湖大会では、現在の半分にも満たない部員数ではあったが、現在、全日本選手権2連覇中の市野直毅の活躍に加え、スナイプのエーススキッパーの途中乗せ換え等の「奇策」を用い、誰もが驚いたクラス初優勝を果たしている。プラス、弟分・関学高等部がインターハイ・ソロ優勝や、女子インカレでは総合3連覇達成と、チームとして「勢い」がある点も好材料。
以上が、「3強」を形成して展開していくとみた。
なま
私もやはり昨年優勝の関西学院大ははずせないですよね。470に関して言うと、2007年優勝、2008年準優勝、2009年準優勝、2010年5位、そして2010年優勝ですから、前回の琵琶湖大会以降は、ほとんど日経大と遜色ないような結果を出してる。これは、日経大の影に隠れて目立ちませんが、立派です。
それにしても、葉山女子インの時の「美人のみなみちゃん」発言に続き、今回は、「イケメン・ルーキー」ですか!? またまた、余裕こいてますね〜。
まあしかし、昨年と戦力もほぼ変わらず、また日経大が参戦してからは、日大(1回)と関西学院(2回)しかクラス優勝がない。その点も重要視したいです。うまく戦略がはまれば2連覇まであるのではないか? とは思っていますよ。昨年も72回大会でも英語を叩かずの優勝。そういう意味でも好印象でしょうね。
(470級・後編へつづく)
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