Loading

東京五輪日本代表決定!49er、49erFX、ナクラ17世界選手権最終日

 2月15日、オーストラリア・ジーロングで開催された「49er、49erFX、ナクラ17世界選手権」最終日は、午前中にフリートレース。午後は3種目上位10艇による決勝メダルレースがおこなわれました。(BHM編集部)


49er日本代表に内定した高橋レオ/小泉維吹。ジュニア時代からの良きライバルで仲間、両選手とも五輪初出場です

 日本代表選考最終日の風は20ノット前後。雨の降る中で激しいレースが繰り広げられました。そして日本代表選考は、両クラスとも劇的なドラマが待っていました。

 ナクラ17級の最終日第1レースでは飯束/畑山がスタートをミスして逃げタックから右展開。フリート後方のむずかしい位置につけます。梶本/川田は先行して総合得点を逆転。リードを保つかに見えました。

 しかし、梶本艇は2上マークのアプローチで他艇と接触。避けようと舵を風上に切り、ボートがストップするトラブルに見舞われました。一度、止まった船は走り出すまでに時間を要し、その間に飯束艇が抜き去ります。

 梶本艇はその次のレースでも飯束艇に先行を許してしまいます。ポイントでは両チームとも1つずつ順位をあげましたが、選考得点では同点。タイブレイク(同点の場合は本大会の上位チームが勝利)によりナクラ17級の日本代表は、飯束潮吹/畑山絵里が選ばれました。


ナクラ17級日本代表の飯束潮吹/畑山絵里。最終レースまで分からない緊張の戦いを制しました


最終日は雨、風もあがりましたがフラット海面のフォイリングコンディションです。本大会ではアップウインド・フォイリングするチームが際立ちました。今度ナクラ17を走らせる技術的なポイントになりそうです


梶本和歌子/川田貴章


田中航輝/深沢瑛里

飯束潮吹
「(梶本/川田を)追う立場で挑んだ大会です。自分たちがやってきたことを全部出して、ベストを尽くすしかなかった。相手を気にせず、できるだけ上位に食い込めることを目指しました。フィニッシュ後は獲得ポイントがわからず、すぐに喜べなかった。着艇しても何が起こるのか分からないと思っていたから、いまでも信じられない気持ちです。ぼくは二度目の五輪キャンペーンです。応援してくれるみなさんの期待に応えられてよかったです」

畑山絵里
「最終レースをフィニッシュした時は「やっとレースが終わったー」という気持ちでした。でも、正式な結果がわかるまでは緊張していました。いまも信じられません。わたしたちは、オリンピックまでにもっと成長できます。いまの課題はコミュニケーション力をあげて、チーム力を高めていきたいと思います」


勝利がわかった瞬間、歓びをあらわにする飯束/畑山


両選手は日本経済大ヨット部出身。2人ともリオ五輪では470級の別チームで活動し、最終選考で破れた経験があります。また所属するエス・ピー・ネットワークでは初のオリンピアンとなります


49er級の最終レース。古谷信玄/八山慎司は艇体故障のためリタイアしました


高橋/小泉。OP級時代から幼馴染の2人がオリンピック代表になりました。高橋レオはSailGPでも活躍。今年はオリンピックとSailGPをこなすハードスケジュールとなりそうです

 また、ナクラ17級に続いて49er級でもドラマが待っていました。最終日の第1レースで、古谷信玄/八山慎司のガントリー(ラダーを支える骨組み)が破損。海上で修理交換できない部分ゆえに、リタイアを余儀なくされました。

 高橋レオ/小泉維吹は、最終日の2レースで国枠順位を守りながら無難に走りきり、東京五輪の切符を手にしました。リオ五輪の選考で破れてから4年。目標にしてきたオリンピック出場を決めました。

高橋レオ
「フィニッシュの瞬間、うれしさがこみあげてきました。この4年間、代表になることを考えてきて、それが達成できてうれしい。ニュージーランド大会で(ケガをして)悔しい思いをしました。プレッシャーもあったけれど、トラブルなくレースを終えられてよかった。でも、結果はまだまだです。メダルレースに残れるようになりたい。もっと成長します」

小泉維吹
「レース期間中は緊張していました。いまはホッとしています。(選考が終わって)ようやく安心できたし、力が抜けた感じがします。ジーロングはフラットウォーターですがシフトも多く、むずかしい海面でした。ぼくたちは順位を上げていくパターンが多い。今回もそうでしたが、スタートとアップウインドでリードできたらもっと楽にレースを組み立てられる。その部分を練習してレベルアップしていきたい」

 日本代表選考の結果、49er級は高橋レオ/小泉維吹、ナクラ17級は飯束潮吹/畑山絵里が東京五輪日本代表に内定しました。日本チームのさらなる成長を期待します。


日本セーリング連盟オリンピック強化委員会発表による日本代表選考ポイント(2月15日)

ナクラ17世界選手権 参加34艇 最終成績
1. GBR John GIMSON / Anna BURNET 67.0p
2. AUS Nathan OUTTERIDGE / Haylee OUTTERIDGE 68.0p
3. AUS Jason WATERHOUSE / Lisa DARMANIN 77.0p
19. 飯束潮吹/畑山絵里 177.0p
23. 梶本和歌子/川田貴章 204.0p
32. 田中航輝/深沢瑛里 307.0p

49er世界選手権 参加78艇 最終成績
1. NZL Peter BURLING / Blair TUKE 38.0p
2. ESP Diego BOTIN / Iago LÓPEZ MARRA 58.0p
3. GER Erik HEIL / Thomas PLOESSEL 60.0p
33. 高橋レオ/小泉維吹 113.0p
47. 古谷信玄/八山慎司 141.0p

49erFX世界選手権 参加44艇 最終成績
1. ESP Támara ECHEGOYEN / Paula BARCELÓ 42.0p
2. GBR Charlotte DOBSON / Saskia TIDEY 52.0p
3. USA Stephanie ROBLE / Maggie SHEA 84.0p
47. 山崎アンナ/高野芹奈 108.0p

◎49er、FX世界選手権
https://49er.org/event/2020-world-championship/
◎ナクラ17世界選手権
https://nacra17.org/events/2020-world-championship/

====================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
ベストウインド
リブワークス
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
セイル・オン
エス・ピー・ネットワーク
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
リビエラリゾート
コスモマリン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ

CATEGORY:  DINGHYINSHORENEWSOLYMPICSPECIAL