【コラム】2018年度日本最大級のセーリングイベント、江の島ワールドカップが終わって
9月9〜16日まで江の島で開催された「セーリングワールドカップシリーズ江の島」が終了しました。東京五輪開催地・江の島で開催されるはじめてのW杯で、2020年へ向けたテストイベントの意味もあり、大会期間中はたくさんの方が運営、観戦、応援に訪れました。(BHM編集部)
雨上がり。夜の小田急江の島駅。江の島ヨットハーバーの最寄り駅です。photo by Junichi Hirai
大会の結果は、みなさんご存知のように日本470男女が大活躍して、金・銀・銅メダルを獲得。世界選手権、アジア大会に続いてW杯でも好結果を残しました。メダルを獲得したみなさん、おめでとうございます。
大会期間中の江の島ヨットハーバーは、特設の大型テントがいくつも立ち並び、海外選手が加わったことで、いつもと違った雰囲気になりました。
全国から多くの運営スタッフやボランティアが集まり、陸上はにぎやかを通り越して混雑そのもの。また、土日にはハーバー周辺のイベントもあって、一般の方もたくさん来場してくれました。
メダルレースのライブ中継、特設ステージで音楽ライブを開催したJ:COMによると、土日のイベント来場者は1万人を超えたとのことです。読者のなかにもハーバーに来た方がいたことでしょう。違和感がありながらも、いつもと違ったヨットレースを楽しんでくれたのではないでしょうか。
これがワールドカップの雰囲気なのか? と聞かれると、長年、世界のヨットレースを取材している編集長の感覚だと「ちょっと違う、かな?」というのが正直な意見です。
今年の編集長はすべてのW杯(マイアミ、イエール、マルセイユ)を取材しましたが、これほどまで一般の方が注目し、多くの来場がある大会は江の島の他にありません。
海外のワールドカップはさびしく、日本のW杯は予想以上に人が多すぎた。単純にそんな印象を持ちました。大会をオーガナイズするワールドセーリングのスタッフも驚いたに違いありません。日本の大会が、欧州大会をさらりと超えてしまったのですから。
反対に、初のW杯江の島大会、東京五輪のテストイベントとして、あらたな問題が浮き彫りになりました。江ノ島水族館でおこなわれた開会式のイルカショーに批判意見が出て、世界へ波紋が広がり、地元漁業との調整などニュースとして世間に伝えられました。
個人的には、レース競技そのものの内容がおざなりにされるのも、最近のマスコミらしい安直な取材だなと感じますが、それと反対にいろんな意見があって良い、とも思っています。
メディア関係の裏話を少々話すと。。。W杯は大会前からテレビ、新聞などの報道各社に注目されていて、事前のメディア登録はゆうに100人を超えていました。
江の島ヨットハーバー2階に設けられたメディアセンターは人であふれかえり、海上へ出るプレスボートも足りなくなり、最終的には1社1名という制限をつけなければならなくなりました。
海上撮影していた編集長は、ウエットセレモニー(表彰式)を撮影できませんでしたが、日本選手が壇上にあがった470級男女のセレモニーでは大量のメディアが殺到して騒然となっていたそうです。このようなヨットレースは、日本になかったと思います。
さまざまな問題はありますが、それは今後2年間で解決していけるものと信じています。それよりも、江の島1回目のW杯を成功させたスタッフのみなさんは、自信を持って良いことです。これほど盛り上がったワールドカップ・イベントは世界に存在しないのですから。
さあ、来年は課題を乗り越えて、もっと盛り上げていきましょう!
ワールドカップで金メダルを獲得した中学生の頃の岡田奎樹(トヨタ自動車東日本)。写真は2009年江の島OP級ナショナルチーム選考レースのもので、当時のバルクヘッドマガジンには「最終レースでは最後尾からスタートして42艇ごぼう抜きした(2位フィニッシュ)」と書かれていました。わざわざ書いたということは編集長が相当驚いたのでしょう。当時からすごい。photo by Junichi Hirai
2018 セーリングワールドカップシリーズ江の島 最終成績
470級男子 参加32艇
1. 岡田奎樹/外薗潤平 32.0p
2. AUS Mathew BELCHER / William RYAN 40.0p
3. 高山 大智/今村 公彦 43.0p
4. 土居 一斗/木村 直矢
7. 磯崎哲也/高柳 彬
13. 市野直毅/長谷川孝
25. 出道 耕輔/中川 大河
27. 河合 龍太郎/中澤 太郎
32. 小泉 颯作/松尾 虎太郎
470級女子 参加23艇
1. NED Afrodite KYRANAKOU / Anneloes van VEEN 29.0p
2. 吉田 愛/吉岡 美帆 33.0p
3. ITA Benedetta di SALLE / Alessandra DUBBINI 34.0p
16. 宇田川 真乃/工藤 彩乃
19. 田中 美紗樹/野田 乙心
20. 林 優季/西代 周
49er級 参加27艇
1. GBR James PETERS / Fynn STERRITT 54.0p
2. NZL Logan DUNNING BECK / Oscar GUNN 72.0p
3. POL Lukasz PRZYBYTEK / Pawel KOLODZINSKI 72.0p
10. 高橋 稜/小泉 維吹
22. 古谷 信玄/八山 慎司
49erFX級 参加24艇
1. BRA Martine SOFFIATTI GRAEL / Kahena KUNZE 19.0p
2. NZL Alexandra MALONEY / Molly MEECH 45.0p
3. SWE Klara WESTER / Rebecca NETZLER 48.0p
13. 波多江 慶/板倉 広佳
20. 山崎 アンナ/高野 芹奈
23. 原田 小夜子/永松 瀬羅
RS:X級男子 参加40艇
1. NED Kiran BADLOE 37.0p
2. SUI Mateo SANZ LANZ 51.0p
3. FRA Pierre le COQ 54.0p
28. 富澤 慎
32. 池田 健星
39. 尾川 潤
40. 倉持 大也
RS:X級女子 参加30艇
1. CHN Peina CHEN 34.0p
2. NED Lilian de GEUS 45.0p
3. CHN Yunxiu LU 47.0p
15. 伊勢田 愛
16. 須長 由季
18. 大西 富士子
21. 小嶺 恵美
23. 新嶋 莉奈
26. 松浦 花咲実
28. 原 百花
29. 渡辺 純菜
30. 山辺 美希
レーザー級男子 参加59艇
1. GBR Elliot HANSON 59.0p
2. AUS Matthew WEARN 97.0p
3. NZL Sam MEECH 106.0p
40. 瀬川 和正
47. 南里 研二
50. 北村 勇一朗
56. 樋口 碧
レーザーラジアル級 参加53艇
1. NED Marit BOUWMEESTER 30.0p
2. SWE Josefin OLSSON 51.0p
3. BEL Emma PLASSCHAERT 57.0p
19. 土居 愛実
43. 冨部 柚三子
50. 多田 桃子
フィン級 参加23艇
1. NED Nicholas HEINER 32.8p
2. GBR Giles SCOTT 36.0p
3. GBR Edward WRIGHT 37.0p
19. 藤村 裕二
20. 國米 創
21. 西尾 勇輝
ナクラ17級 参加25艇
1. AUS Jason WATERHOUSE / Lisa DARMANIN 34.0p
2. ITA Ruggero TITA / Caterina Marianna BANTI 35.0p
3. ITA Vittorio BISSARO / Maelle FRASCARI 42.0p
16. 梶本和歌子/川田貴章
17. 村山仁美/渡部雄輝
18. 飯束潮吹/畑山絵里
23. 深沢瑛理/田中航輝
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