リオ五輪候補種目カイトボーディング
リオ五輪の種目候補に上がっているカイトボーディング。撮影 The International Kiteboarding Association
サンケイビジネスアイ・コラム(44)
リオ五輪候補種目カイトボーディング
2010年10月、アフリカ・ナンビアでセーリングのスピード記録が更新された。その記録は55.65ノット(時速103キロ)。種目はサーフボードと西洋凧のカイトを融合したカイトボーディングである。
バルーン状に広がるカイトを操るカイトボーディングが、2016年リオ五輪セーリング競技の候補にあがっている。いまの流れでは、ウインドサーフィンとカイトボーディングのどちらかが採用されることになりそうで、セーラーや関係者の間で注目が集まっている。
セーリングのルールや競技を統括する国際セーリング連盟がこの種目を候補にあげたのは、カイトボーディングが持つパーフォーマンス性能が理由だろう。派手なアクションと分かりやすい競技内容が、多くの観客の注目を集めるという考えだ。セーリング競技の特徴であり問題でもあるが、はるか沖で競技するセーリングは、他競技のように観客席で観戦できない。テレビを通じて観客を魅了する競技は、国際セーリング連盟が求めている条件でもある。
一般的なセーリング競技は、決められたブイを周回するコース競技が採用されている。風上に上り、風下へ下る。このアップダウンを繰り返して着順を競う。しかし、カイトボーディングでは、あらたにスラロームコースが加えられた。このコースは、スキーやマウンテンバイクのダウンヒルのように、風上から風下へ向かうだけのスピード勝負。まさに迫力を最優先した競技内容といえる。
先日、フランスでカイトボーディング競技のデモンストレーションを見学した。「空中でタコ糸が絡んだら大変ではなかろうか」と単純にも考えたが、そのような心配はなく、そのスピードと選手のアクションに目を奪われた。このカイトボーディング世界選手権がドイツで開催される。現在23カ国から60選手が出場する予定だ。(2011.5 文/平井淳一)