2017年度ナショナルチーム25名が決定!オプティミストNT選考最終日レポート
3月21日、4日間にわたる「オプティミスト級ナショナルチーム最終選考会」がすべて終了し、新しいナショナルチームが誕生しました。最終日は寒く冷たい雨が降り続く中、もう少し、もう少しの風が欲しいと願った選手も多かったでしょう。それと同数、これ以上吹くなと願った選手もいたはずです。結局最も吹いたのは、10レース目の12ノットで、7ノット平均のレースでした。しかし、自然のせいにしても始まりません。これがヨットレースというものです。(レポート/2017JODAナショナルチーム最終選考 実行委員会)
ナショナルチーム選考最終日は1日中どしゃぶり。風は予報ほど吹き上がらず軽〜中風で3レースおこなれました。写真は選考1位通過の池田海人選手です。photo by Junichi Hirai
結論から言えば、池田選手は速かった。2位とダブルスコアの圧倒的な速さで最終日も、2位、1位、1位とまとめました。世界選手権の切符を手に入れた5名も、3日目のメンバーが変わらずに6位との差を引き離す結果となりました。まさに軽風下では、間違いなく日本を代表する選手が選ばれた、と言えます。
それでは、池田選手の速さの要因はどこにあったのでしょうか。それを象徴するのが、最終日の走りでした。
最終日の3レースは、110度、130度、60度と風が振れまわった。江の島のこの方位からの風は、葉山や鎌倉からの陸からの風。そして陸に近い位置でのレース海面となり、振れ幅の大きいパフをいかにつかみながら、スピードと上り角度に変えられるかが鍵をにぎります。
池田選手は、タックをするたびにリードを広げました。それは、タックを打った後にパフをつかみ、スピードを増すとともにリフトに乗り遅れることなく上り角度も獲得していく。
前の船のお尻を切って風上側でタックされても、しばらくすると並行の位置まで来ている。下受けされても、しばらくすると真ん前に位置している。そんな場面をトップグループの選手は、池田選手の走りから印象を受けたのではないでしょうか。
最終日は、そんな場面が多く見られるレースとなりました。嶋倉選手は池田選手と同学年で常に競ってきた相手です。今回のレースも第5レース以外はすべてシングルにまとめ、大きく崩すことがなく安定感の走りで2位となりました。
2位の嶋倉照晃選手。photo by Junichi Hirai
しかし、池田選手をあせらせる程の走りを見せるには、今一歩の成長が必要と感じました。ナショナルチーム内でのこの2人の切磋琢磨が、今後のジャパンを大きく前進させることは間違いないでしょう。
今大会最も成長が見られた2人は、3位の幸野選手と4位の重松選手ではないでしょうか。幸野選手は2日目の2回連続、重松選手は第1レースと第6,7レースの2回連続、3回のトップを獲得し、そのダントツぶりは今シリーズの中でも印象に残るシーンとなりました。
勢いに乗れば誰にも止められないスピードの2選手。軽風下でのスピードは素晴らしいこの2人ですが、コース引きは対照的でした。
外へ外へと大きく広げる重松選手は集団から抜け出し、リードをさらに拡広げていくコースを得意し、一方、幸野選手はフリートに対して有利な方を取りながらじわじわとリードを拡げていくタイプ。お互いにこれが裏目に出ると大きく順位を落とす場面が、今レースでも20番台のレースで見られたが、お互いの欠点をお互いの長所で学び合うことができれば大きく成長するでしょう。
初日のトップから2位を守り、最終日に調子を崩し5位となったものの、見事にワールド出場を決めた北原選手は、安定したスピードが上位の要因でした。あとは、乱れた波の中での安定したスピード維持と、最終日まで持続できる集中力が備われば、さらに他の選手を脅かす存在になることは間違いありません。
素晴らしい5名の選手が選ばれ2017年度の日本代表選手となり、7月にタイで行われる世界選手権に出場します。それに続く選手20名が、北米選手権(6月末・カナダ)、ヨーロッパ選手権(7月末・ブルガリア)、アジア選手権(9月末・香港)に出場することとなりました。
それぞれの選手がそれぞれの目標を持ち臨んだ最終選考会。見事に目標を達成した選手、惜しくも逃してしまった選手、結果は異なるけれど、それぞれが目標に挑み全力を出し切った4日間であったことは事実です。
この大会に出るだけでも価値のある日本のトップ選手40名が、これからの長いセーリング人生において、嬉しい思いも悔しい思いも、必ずやプラスとなって、さらに大きく成長してくれることは、この大会を支えたすべての人に共通する願いであると思います。
それぞれの目標に向かって新しいスタートが待っています。今大会に出場したすべての選手が、この大会での学びや経験を活かしてセーリングを一生続けてくれることこそが、この大会の最大の成功となるのではないでしょうか。4日間に挑戦した選手たちをこれからも応援していきましょう。
4回にわたるレポートを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
選考の舞台をつくりあげた運営スタッフのみなさん、おつかれさまでした!photo by Junichi Hirai
午後3時30分からおこなわれた閉会式。photo by Junichi Hirai
世界選手権出場選手:池田海人、嶋倉照晃、幸野翔太、重松 駿、北原頌子。photo by Junichi Hirai
アジア&オセアニア選手権出場選手:岩永燎汰、鷲尾 青、葉山カトル、大澤雄帆、安永昂生、出口愛海、遠藤貫太郎、森 美遥、黒田研一郎、増本晴。photo by Junichi Hirai
北米選手権出場選手:菅澤虎士朗、高山巧太郎、小菅 楓、服部陸太、金子道之介、磯辺壱心。photo by Junichi Hirai
ヨーロッパ選手権出場選手:前田月里、宇田川涼太郎、西村拓真、服部輝海。photo by Junichi Hirai
◎2017年JODAナショナルチーム最終選考会
http://enoshima-ycj.jp/17final/
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