軽風の江の島、3レース実施。オプティミスト級ナショナルチーム選考2日目
3月19日、江の島「オプティミスト級ナショナルチーム最終選考会」2日目は、風待ち後、安定して吹き出した南風で3レースおこなわれました。これまで6レースが実施され、江の島ヨットクラブジュニアの池田海人選手がトップに立ちました。(レポート/2017JODAナショナルチーム最終選考 実行委員会)
江の島OP級NT選考2日目。最終レースが終わって帰着したのは午後5時過ぎになりました。photo by Junichi Hirai
数日間にわたる大会では、レースの中にグッと実力を伸ばす選手が時々現れます。ジュニアの大会では特にその場面が多く、その場合、一度波に乗ると誰にも止められないぐらいの勢いで走り始めます。成績は常に「ナマモノ」で変化の激しいOP界において、今日速い選手が、今最も速い選手なのかもしれません。
日本オプティミスト界の現状
まず、最近のOPを振り返ります。46回、47回大会を制した倉橋直暉(海陽海洋)は最近の絶対王者でした。身体が大きくても、微風でも強風でも速かった。
その姿を追いかけた次の代は、昨年の王者・抜井理沙(兵庫)、菅澤龍佑(江の島)、内貴航路朗(横浜市民)、前田海陽(広島)など、昨年の世界選手権の日本代表が常に上位を確保してきました。
そして、次の世代となる今回のレースですが、それに続くと期待されるのは、服部陸太(江の島)、高山巧太郎(海陽海洋)、鈴木亮太郎(浜名湖)、小菅 楓(広島)。しかし、この世代に過去の絶対的な強さが見られず、この次の世代の現中1、小6の選手に突き上げられている感じが否めません。
ここまで見ると、しばらく続いたOPの勢力図の西高東低が逆転し、どちらかと言うと東が強いのが現状です。
JODA(日本オプティミストディンギー協会)登録人数は、現在360名であり、東210名、西150名。最大は江の島ヨットクラブで43名、次の葉山は26名となっています。
出艇申告に並ぶ選手たち。現在JODAの会員は360名。数年前に比べて減少傾向にあります。photo by Junichi Hirai
ナショナルチーム選考は全日本選手権(第一次選考)を勝ち抜いた上位40艇により競われます。photo by Junichi Hirai
大会2日目
最高学年にいまいちピリッとしたキレが見えない中で、大会2日目も微風の予報でスタートしました。
午前中は風が吹かないだろうと予測され、1時間の延期を2時間に更に延長し、小春日和の中で風待ちが続いた。普段はなかなか会うことができない、OPを通じてできた全国の友だちと、楽しい会話やじゃれあうことができるのも、子供たちにとっては必要な時間。将来のセーリング仲間が作られていく大切な時間です。
計画的な風待ちの末、12時30分にD旗が揚がり出艇となり、大会2日目がスタートしました。海上は朝からの北風から完全に南風に変わり、6〜8ノットが安定して吹いています。
連続トップを取り総合6位へジャンプアップした幸野翔太選手(B&G別府海洋クラブ)。photo by Junichi Hirai
第4レース
13時15分、本日の1レース目となる第4レースがスタート。イーブンなスタートラインの風下側から、3325幸野選手が良いスピードでバウをどんどん出していきます。
フリートはしばらくスターボードで走った後、右に返しはじめ、最も左に位置するのは幸野選手。スタート後すぐに右へ返した集団は、左集団から見るとどんどん遅れていく様子がわかります。
大きく左に出した幸野選手は、左から入る風に上手く合わせ圧倒的なリードを確保し、ダントツのトップで1マークを回航。40秒ほど遅れて今回コース取りにミスのない高山選手が2位で回航。それに、北原選手、嶋倉選手、池田選手が続き、上位陣が堅いレース展開を続けます。
2マークではさらに15秒、3マークでは更に22秒リードを拡げ、下マークでは2位と1分17秒差で回航。結局フィニッシュでも1分43秒差をつけてダントツのトップ。幸野選手は、各レグで差を拡げ圧倒的な勝利を収めました。
第5レース
幸野選手の勢いは止まりません。スタート後、多くの船がすぐにタックを返し、風下側有利なラインでしたが、少しの振れを上手くつかみ、なおかつスピードでフリートから頭を抜け出した幸野選手が、スタート1分後にはすでにリードを拡げて勝負あり。
こんなにも早い理由は、小さな体を大きく使い、弱い風の割に船を揺らす嫌な波に合わせた船のバランスのとり方にあります。
お尻を前に置き、時には後ろに寝るかのように大きく反らせ、ピッチングを押さえてバウが叩かれずスピードを殺さない乗り方は、江の島の波に対応する最も良い乗り方。さらにスピードに乗れば上り角度も取れるため、失速とともに角度が取りにくく、苦労する他の選手をどんどん引き離していきます。
2位は3270磯辺壱心選手で、初日の不振を挽回する走りを見せます。しかし、トップとの差は37秒で第4レースと同じような展開となります。3マークでは磯部選手が2位、池田選手が3位につけましたが、その差が1分10秒と、まるで4レース目を繰り返しているよう。
フィニッシュも幸野選手が余裕でトップホーンを鳴らし、2位磯辺選手、3位池田選手が続きます。4位に服部(陸)選手が入り、5位には3マークを23位で回航した第1レーストップの重松選手が入りました。
第6レースで3位フィニッシュ、出口愛海選手(浜名湖ジュニア)。photo by Junichi Hirai
成績をうまくまとめ、暫定トップに立った池田海人選手。photo by Junichi Hirai
第6レース
第4レース 52分、第5レース 53分で終えている今日のレースは、レース委員長の距離設定が的確でした。レース時間50分を正確に読めている中で、風が少し弱まる中200度・900mのコース長で設定が行われ、17時には帰着させたい気持ちから、15時49分にスタート。
第5レースで怒涛の追い上げを見せた重松選手が風上側からスピードに乗って良いスタート。さらに池田選手も良いスタートを切りました。
フリートは右と左に別れる展開に。大きく別れる中で右の艇団が若干上り角度が良く、リードする展開に。上マークで集団から少し抜けた重松選手がトップ回航。その後の集団は、ほぼ団子状態でフリーの走りへと向かいまいした。
今回のレースで特に目立つのは池田選手のフリーの速さです。1マークを4位で回航後マークタッチによるペナルティを解消するも、2マークでは3位、3マークでは2位に追い上げトップを追う展開に。
重松選手もスピードに乗り弱い風の中で上手く波を交わしセーフティリードでトップフィニッシュ。2位は池田選手が入り、3位は3366出口愛海選手(浜名湖)が入る大健闘を見せました。
大会2日目のトップは、すべて小学6年生の選手が獲得するなど、弱風の中でのレースでスピードを落とさず、どんどんリードを広げる展開で進む3レースとなった。
そのような中でも3-3-2位と安定した走りを見せた池田選手が、6レースを通じてトップに躍り出ました。初日トップの北原選手も第5レースを捨てて暫定2位。それを負う嶋倉選手と高山選手が同点の3位となっています。
レースは折り返しとなり、池田選手がひとつ飛び抜けた感じですが、その後、前田選手、小菅選手までは大混戦です。
最終日の天気予報が怪しくなっていく中、最後の一発逆転もまだまだあり得る今回のシリーズ。明日大会3日目は疲れが出てくる頃です。これは経験豊富な中学生に有利に働くか、それとも勢いのある小学生がこのまま走り続けられるか。
いずれにしても、誰にでもまだ可能性は残されているこの大会。最大の山となるのは3日目になることは間違いありません。
◎2017年JODAナショナルチーム最終選考会
http://enoshima-ycj.jp/17final/
====================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
セイコー
ジャストヨット運送
日本レジャーチャンネル
ベイトリップ セーリング
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
リビエラリゾート
Velocitek
コスモマリン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ