葉山沖大激戦、ナショナルチーム決定
葉山ナショナルチーム選考5日目。レース数を消化するためスタート時間を変更してはじまった大会最終日。選手、運営スタッフは早朝7時台に海面へ。しかし、関係者の思惑とは反対に風は弱く、安定せず。その後、レースができるギリギリの風で、レーザー2、ラジアル1レースを消化しましたが、昼に近くなると風はさらになくなり、長い風待ち時間に入りました。(BHM編集部)
選考レース最終日は、微軽風のなかでおこなわれました。photo by Junichi Hirai
レース海面は鏡のように静かになり、風は南にまわったり不安定。最終レースのスタート予告リミットは午後2時ですが、海上待機している選手たちのなかには、「もはやこれで終わりか」と考えた人もいたことでしょう。しかし、1時半になって風が吹き出し、運営陣は急いでコースを設置。タイムリミットぎりぎりになって、最終レースがスタートしました。選考レースらしいドラマのはじまりです。
最終レース直前のレーザー級の成績は、安田の1位がすでに確定し、残り2枠をイアン(26点)、南里(27点)、永井(28点)の3人が争う1点差の展開。つまり、ほぼ着順勝負となり、勝った選手がナショナルチーム枠を獲得するというストーリーです。スタート後、徐々に風がふきあがり、800メートルというショートレグに設定した第1レグでは左海面からトップグループがやってきました。1上マークでは、イアン、南里が先行し、永井は8位回航。ここから追い上げることはきびしいようも思える順位です。
しかし、2上マークでドラマが待っていました。左海面に展開する先行グループの逆を行った永井が急浮上。「スタート前から右を狙っていた」という永井の読みが当たり、さらにダウンウインドレグでイアン、南里を射程距離に捉えます。
最終レグの直前に永井は南里に追いつき、最終マークをほぼ同時回航。さらにフィニッシュまでのレグが、風が後方に振れたためにランのスピード勝負となりました。先頭を走る、イアン、南里、永井は、ほぼ固まって雪崩のようにフィニッシュラインへ向かってきます。
着順はイアンがトップフィニッシュで2番目のNT枠を確保。すぐに永井、南里と続けてフィニッシュラインに駆け込みました。この着順で南里と永井は同点です。タイブレイク(両選手1位が2回ずつ、2位が永井3回、南里1回)の結果、より好順位をおさめている永井が総合3位に入り込みました。
当然ふたりはこのポイント差を理解していたのでしょう。フィニッシュ後の南里は、こぶしを大きく振り上げてデッキに何度も叩きつけ、くやしさを隠さず。対照的に、よろこびの雄叫びをあげる永井の姿が印象的でした。
午後2時直前になって入ってきた風、上マークを下位回航、ここから着順3位まであげ逆転する物語をだれが予想できたでしょうか。また、大会初日の成績は10位 – OCSで最後尾(12位)からはじまりました。これまで数々の名勝負をみせてくれた選考レースらしいともいえますが、3度目の五輪キャンペーンとなる永井の勝負強さを感じずにはいられない最終レースでした。
レーザー級は、安田、イアン、永井の3選手がナショナルチームに確定です。また、2レースおこなわれたラジアル級は、前日の成績のまま、土居、原田、松苗が、ナショナルチームに決定しました。
劇的な最終レース大逆転でナショナルチーム入りを果たした永井久規。photo by Junichi
同点タイブレイクに泣いた南里研二。しかし、彼はまだ19歳です。この悔しさをバネに大ステップアップを期待します。photo by Junichi Hirai
◎ナショナルチーム選考 最終日成績
レーザー級 (12艇)
1. 安田真之助 3-1-3-1-1-2-4-1-1-(5)-(5) 17点
2. ホールイアン 6-2-2-3-3-3-3-4-(8)-(8)-1 27点
3. 永井久規 (10)-(OCS)-1-2-2-1-5-9-2-6-3 31点
4. 南里研二 1-4-(7)-4-6-4-1-2-5-(7)-4 31点
5. 城 航太 2-5-5-6-5-5-(7)-3-(7)-1-2 34点
6. 粟野和昭 4-8-4-(10)-8-(12)-6-7-4-4-6 51点
7. 真田敦史 7-3-6-5-7-8-(9)-8-(9)-3-8 55点
8. 齋藤大輔 5-5-(11)-9-4-6-8-5-(10)-10-9 62点
9. 北村勇一朗 9-9-8-8-9-(10)-10-10-(12)-2-7 72点
10. 川村 岳 11-10-9-(12)-10-11-2-6-6-(12)-11 76点
11. 平川竜也 (12)-7-10-(11)-11-7-11-11-3-9-10 79点
12. 室松さとし 8-11-(12)-7-12-9-(12)-12-11-11-12 93点
※上位3選手が2012年度ナショナルチーム
◎レーザーラジアル級(11艇)
1. 土居愛実 1-2-1-1-2-(5)-(6)-2-3-2 14点
2. 原田小夜子 3-3-5-(8)-(OCS)-1-3-5-6-1 27点
3. 松苗幸希 5-(8)-3-4-7-(8)-2-1-4-4 30点
4. 冨部柚三子 6-7-2-(10)-6-4-(8)-4-1-7 37点
5. 長谷川哲子 8-1-(10)-7-1-(DSQ)-1-8-5-8 39点
6. 多田桃子 (10)-5-(9)-2-4-3-7-7-9-3 40点
7. 高橋 香 (9)-9-4-3-3-6-4-6-(10)-5 40点
8. 蛭田香名子 4-4-8-(9)-5-7-5-3-8-(9) 44点
9. 村山仁美 2-6-6-5-(10)-9-9-(10)-2-10 49点
11. 石川智香 (11)-10-(11)-11-9-2-10-11-7-6 66点
12. 荒井かおる 7-(11)-7-6-8-10-(11)-9-11-DNE 72点
※上位3選手が2012年度ナショナルチーム
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