2015年バルクヘッド・セーラーオブザイヤー
12月31日、本日は第8回目となるバルクヘッドマガジン・セーラーオブザイヤー(別名:ヨット馬鹿オブザイヤー)の発表です。2015年もたくさんの候補者が挙がりました。ヨット馬鹿大賞を決めるのには、膨大な選考期間を必要とします。今年も候補選手を第一次、第二次、最終の三段階に分けて、きびしい選考会議がおこなわれました。(BHM編集部)
ヨット馬鹿オブザイヤーの発表は、ロレックスISAFセーラーオブザイヤーのように、9月区切りで11月に発表する、という曖昧な区切りにしたくないので、発表は12月31日と決めています。バルクヘッドマガジン編集部では、該当年のギリギリまで活躍したセーラーも候補に入れて選考しています。
このバルクヘッドマガジン・セーラーオブザイヤーに賞品はありません。賞品はありませんが、選ばれたという名誉は永久に残ると信じています。「あいつは◎◎◎年のヨット馬鹿だ」と呼ばれることは、一般の人には通じにくいでしょうが、ディープなセーリングファンの中では伝説になります。選ばれたセーラーが名誉に思ってくれたらうれしいです。
さて、前置きはここまで。さっそく賞の発表にうつります。今年のセーラーオブザイヤーは、ヨット馬鹿史上初めての高校生です。
2015年バルクヘッドマガジン・セーラーオブザイヤーは、高山大智に決定します!
和歌山県星林高3年の高山は、7月に開催された唐津420級世界選手権で、日本人で初めて優勝を果たしました。これは、日本セーリング史に残る快挙です。レッドブル・フォイリングジェネレーション2位、インターハイでは3位、国体では同点2位。さらに年末に開催された420級全日本選手権でも優勝を飾りました。当然ながら高校生のなかでトップクラスのセーラーです。
しかし、編集部が重視したのは成績ではありません。彼のセーリングスタイルが、とても印象に残っているのが選出の理由です。高山の得意風域は「強風」。そして、強風の走りは日本ナショナルチームに勝るとも劣りません。
11月に鳥取県境港で開催された470級全日本選手権では、微風から強風までオールラウンドの風が吹きました。普段、420やFJに乗っている高校生にとって、470全日本は「ひとつ上のステージ」になります。このレガッタで、8〜10メートル強の風が吹いた時に、最高のパフォーマンスを見せていたのが高山大智です。
セーリングというスポーツのなかで「強風で速い=タフなセーラーである」ということは、みんなから尊敬されるひとつの要因ではないでしょうか。海という危険が伴う冒険の舞台で、誰でもできない困難を乗り越えて走ることは、成績や結果とは別の意味を持つと編集部は考えています。
毎年、春にフランスでおこなわれるイエール(数年前までフランス・オリンピックウィーク、現在のISAFワールドカップ・イエール大会)は、アルプス山脈から吹き下ろす強風の「ミストラル」が吹くことで知られています。
レガッタ中にミストラルが吹き荒れることがあるのですが、そうした場合、大会側は、むかしから470級とフィン級を先行してレースさせるのだそうです。
編集部も取材で、このシチュエーションに出くわしたことがありますが、その理由を想像するに、まず、フランス生まれの470級という船をフランス人セーラーが誇りに思っていること。次に、「走れるものなら強風を走ってみろ!」という、レース委員会から選手へ向けたメッセージを感じました。
ミストラルのレースは大荒れとなり、ノーレースになることも少なくありません。そして、ハーバーに戻ると、未熟な選手がマストを折って悲壮感が漂っている姿とは反対に、強風を走り切ったセーラーはみなから尊敬の眼差しを受けるわけです。
話は脱線しましたが、強風で速いセーラーは世界で尊敬されるのです。これは、セーラー世界共通の暗黙のルールといえます。高山選手の強風の走りには、ひさびさにシビレました。明確な目標を持つ高山選手は、これからもっと成長していくことでしょう。
また、彼のように気持ちと身体を鍛え、強風を克服するというスタイルを、全国の同世代や後輩たちが「かっこいい」と思ってくれたら、微軽風志向の日本のセーリングスタイルに変化がおこるかもしれません。
高山選手、ヨット馬鹿オブザイヤーおめでとう。これからの活躍に期待します!
兄の影響もあり小学2年からセーリングを始めた高山大智。B&G別府ジュニア時代は片道2時間かけて毎週土日ハーバーへ通っていました。写真の強風セーリングは境港470全日本選手権より。クルーは日本経済大の高柳彬選手です。photo by Junichi Hirai
佐賀県唐津で開催された420級世界選手権で日本人初優勝を果たした高山大智/中野翔太(和歌山セーリング連盟所属・星林高3年)。photo by Junichi Hirai
※YBエンブレムは、今年も大坪明ヨット馬鹿デザイン事務所に制作していただいたものです。大坪さん、今年もありがとうございました。大坪さんも相当なヨット馬鹿でしたよ!
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