愛媛県新居浜「坊っちゃんカップ」レースレポート
山頂にうっすらと雪化粧を施した四国山脈から吹く風に本格的な冬の訪れが感じられる12月5日、地元で活動している愛媛県セーリング連盟の泉 創選手の宣誓により、愛媛県新居浜ヨットハーバーで「第11回坊っちゃんカップ」が開催された。(文/日置賢人 愛媛県セーリング連盟)
坊っちゃんカップは、夏目漱石の著書『坊っちゃん』の舞台となった愛媛県で行われるレースである。このレースは、OPで活動するジュニアの選手に限らず、ヨットに乗りたての選手やジュニアやユースを卒業した高校生もエントリーができるよう、420級、レーザー4.7級、OP級A、B、Cクラスの5クラスの混成レースになっている。
OP級、420級、レーザー4.7級のジュニア・ユース選手が集まった第11回坊っちゃんカップ。写真提供:愛媛県セーリング連盟
風が吹き上がった坊っちゃんカップ初日
大会初日、レース前の海上では風速が平均10ノット前後、ブローで13ノット程度だったので、レース艇がD旗に合わせて出艇した。
いざレース艇が海面に到着するころになると、風が更に15ノットと強まり、また、波もかなり大きくなったため、レスキュー艇が沈艇の救助に駆けまわり、運営の判断によりOP級Bクラスと420級が一旦ハーバーバック。
風も多少収まり、レスキューが一段落したころで行われた第1レースは、スタート艇数がレーザー4.7級2艇、OP級Aクラスが18艇であった。
レーザー級は、フルハイクコンディションでありながら、終始2艇が互いを意識する白熱したレースが繰り広げられ、結果第1レースを御厩夏颯、続く第2レースを近藤潤一郎がそれぞれ制す。
OP級Aクラスは、経験と体格を生かした上級生がレースを支配し、上位陣はレグごとで順位が入れ替わる混戦だったが、第1第2レース共に前田海陽が勝利を収めた。
第2レースが終わるころには風は平均10ノット程まで落ち、波も次第に収まってきたために陸上で420級、OP級Bクラスに対してD旗が掲揚され、420級3艇、レーザー4.7級6艇、OP級Aクラス19艇、OP級Bクラスが17艇がレース海面へ出艇。
第3レースはある程度風と波は落ち着いたものの、まだまだジュニア・ユースの選手にはタフなコンディションだったようで、波でハンドリングが乱れたりランニングのレグでは度々沈艇が発生していた。
しかし、上位の選手は確実に風の振れをつかんで前へ前へと安定して船を走らせて行き、420級は泉創/谷口慎治、レーザー4.7級は近藤潤一郎、OP級Aクラスは長谷川真大、OP級Bクラスは出来建がそれぞれ勝利を飾り、1日目のレースは終了となった。
初心者のOP級Cクラスは短距離セーリング競争!
一方、海上でレースが行われていたころ、陸上ではOP級Cクラスの熱いレースが行われていた。OP級CクラスはOPに乗り始めたばかりの選手が登録されていて、海岸から3艇が同時にスタートし、50メートルほど沖に打たれたブイを回航後海岸に着艇してそこから海岸を走って先にゴールした選手が勝ちというルールで、総当たり形式で行われた。
ルールが違えどヨットレースはヨットレース、運営側も2日で22レースを行ったということからもCクラスのレースに対する力の入れようが感じられる(予定では1日だけで22レース行うつもりだったそうだ)。とにかくヨットを始めたばかりの選手も、新居浜の海で思うぞんぶんレースを楽しんでもらえたことだろう。
そしてレースが終わり陸上に帰った後はお待ちかねのレセプション。今日一日の疲れも忘れてレセプションは大いに盛り上がり、選手、サポート、運営の各員は明日のレース2日目への英気を養った。
風弱く、瀬戸内海の強い潮に本当された最終日
そして迎えた坊っちゃんちゃんカップ2日目最終日、昨日と打って変わって風向の定まらないような頼りない風だけが吹いていた。この日のレースの最終予告信号は13時30分、陸上では少しでも風が吹いてくる事を願い全クラスD旗を掲揚。
そしてそんな願いが通じたのか南から4ノットほどの風が入り、このチャンスを逃すまいとすばやくマークが打たれ予告信号が掲揚された。しかしブローを逃すと船がピタリと止まるような難しい海面に加えて瀬戸内特有の強い潮が入り始めていたため、420級以外はN旗によるノーレース。420級のこのレースは真鍋優/渡邊美奈が勝利した。
一旦は風が全く収まってしまったがわずかに東方向から風が入り始め、ショートマークによるレースがスタート。海面の状況は変わらず強弱のあるブローと比較的強い潮が流れており、ショートコースではあるが少しでもブローを逃すと艇団から取り残されるような神経戦が繰り広げられる。
加えてセールエリアの小さいOP級は、体の大きい上級生には厳しいコンディションであり、時折体の小さな下級生が前へ出てくるが負けじとブローを掴んで上級生が追い上げるような混戦となっていた。
このような難しいコンディションであったが、S旗による短縮コースで何とかレースは成立し、420級は市川悠斗/今津雄登、レーザー4.7級は御厩夏颯、OP級Aクラスは向井真太郎、OP級Bクラスは中村晃がそれぞれ勝利した。その後は風が安定して入る様子もなく、本部船にAPとA旗が掲揚され最終日のレースは終了した。
陸上に帰るとレーザー4.7級で審問が行われ、最終成績は、420級は真鍋優/渡邊美奈登、レーザー4.7級は近藤潤一郎、OP級Aクラスは長谷川真大、OP級Bクラスは出来建、OP級Cクラスは久保田結花がそれぞれ優勝し、第11回坊っちゃんカップは幕を閉じた。
今回のレースは運営側としても学べる部分が多く、来年のプレ国体、再来年の国体に向けてスムーズな運営が行えるよう体制を整えていくとともに、それ以降も今回坊っちゃんカップに参加したジュニアやユースの選手が再び新居浜に訪れて共にヨットに乗れるよう新居浜、ひいては四国のヨットが盛んになるよう願い、努力をしていきたい。
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