アメリカ杯は、なぜ盛り上がらないのか?
6月28〜7月1日まで、アメリカ東海岸ニューポートでアメリカズカップワールドシリーズが開幕します。デモンストレーション的な意味を持つAC45によるワールドシリーズは、これまでポルトガル、イギリス、アメリカ、イタリア(2回)に続いて6回目の開催となります。(BHM編集部)
米ニューポートで開幕するワールドシリーズ。photo by Gilles Martin-Raget / ACEA
次回アメリカズカップの開催は2013年。7月4〜9月1日までのルイヴィトンカップ、そして2013年9月7〜22日までのアメリカズカップ本戦の予定です。ワールドシリーズではAC45(45フィートカタマラン)、ルイヴィトンカップ、アメリカズカップではAC72(72フィートカタマラン)が採用されます。
アメリカズカップには8チームが名乗りをあげています。そのうち、オラクルとコラボレーションするベン・エインズリーレーシングは、スキッパーであるベンのロンドン五輪活動が終わってから活動開始の予定で、現在7チーム/9艇がワールドシリーズに参戦しています。
◎アメリカズカップ・ワールドシリーズ参加艇
1. Artemis Racing
2. ORACLE TEAM USA – Spithill
3. Emirates Team New Zealand
4. Energy Team
5. Team Korea
6. ORACLE TEAM USA – Bundock
7. Luna Rossa – Piranha
8. China Team(ニューポート大会不参加)
9. Luna Rossa – Swordfish
◎アメリカズカップ
http://www.americascup.com/
ウエブサイト上では毎日特集が組まれ、レースはオンラインで中継されます。これまで、ワールドシリーズのネット中継をご覧になった方も多いでしょう。でも、みなさん、その後見ていますか? ヨットオタクでもある編集部は、いくつかのテーマを持ち、期待を込めて見ています。しかし、なにかが物足りない。。。
編集部は、カタマランを採用したアメリカズカップには、新時代を切り開くという意味で概ね好印象を持っています。迫力あるハイスピードボート、これまでにないクルーアクションとアクシデント、アメリカズカップらしいクラブ対抗、出場選手は超一流ばかり、オンボードカメラの搭載など積極的に新しいメディア技術を取り入れるなど、盛り上げるのに十分な要素が揃っています。
それでも、見ていておもしろくないと感じる理由のひとつは、ゲーム性に欠けているからかもしれません。ワールドシリーズは、マッチレースとフリートレースがおこなわれます。高速ボートによるマッチレースではゲームの駆け引きの部分が削ぎ落とされ、同じく岸近くで行われるフリートレースは、あまりにも風が不安定。大会期間中、風が吹き上がった時に艇同士の接触やキャプサイズなどのアクシデントもありますが、それも1度見てしまえば、観客はお腹いっぱいなのです。
そして、もうひとつ。フリートレースの得点計算が最終レースだけ約3倍になっているのも…。逆転劇を演出するにしても最終レースだけに比重がありすぎます。アメリカズカップをヨットレースショーにするなら、各チームの個性を前面に出すなどチームドラマを盛り込み、徹底したエキシビジョンに仕立てたほうが興味を引きやすいように思えます。ヨットオタクとしては、ゲーム性の改良、レースフォーマットの一部改良を希望します。
日本からは、かなり遠い存在となってしまったアメリカズカップ。正直に言って、編集部独自の取材では、若い日本人セーラーの興味はアメリカズカップにはないようです。でも、今週はじまるニューポート大会を一度見てみてはいかがでしょうか。おもしろいと感じるか、つまらないと感じるか。そして、来年おこなわれるユースアメリカズカップは、日本でいう大学生の年代が主役になります。「自分がAC45を乗りこなせるか?」 そうした視点で見るのもいいかもしれません。世界の同世代のセーラーは、きっとモンスターカタマランを乗りこなすでしょうから。
◎ユースアメリカズカップ情報
次回アメリカズカップの発表から話題になっていたユースアメリカズカップは、レッドブル社のスポンサードを受けて正式に2013年夏にサンフランシスコ湾で開催されることが決まりました。エントリー費は35000ドル(プラス25000ドルの損害補償デポジット)。7月1日からエントリーを開始します。
使用艇:AC45(大会側がメンテナンスして用意)
年齢:19歳以上23歳以下
体重:6人/450kg以下
参加資格:1カ国1チーム
日程:2013年8〜9月(レース開始前の一週間練習できる)
レース:最大7日間
レースフォーマット:フリートレース
レース案内(PDF):http://noticeboard.americascup.com/wp-content/uploads/2012/05/EventNotice-RedBullYouthAC.pdf
問合せ先:YouthAC@americascup.com
先週、サンフランシスコのトレーニングで登場した〈オラクルレーシング〉のテストボートは、L字型のダガー、T字型のラダーを備えたハイドロフォイル(水中翼)カタマランでした。モスのように浮き上がって走ります。いったい何ノット出たのか。スピードが気になりますね
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
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