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大きく振れるオーフスの風。日本代表選考470ヨーロッパ選手権初日

 6月29日、デンマーク・オーフスで「470級ヨーロッパ選手権」がはじまりました。この大会はリオ五輪日本代表を決める最終選考レースであり、日本男子4チーム、女子2チームのナショナルチームのなかから日本代表が選出されます。ヨーロッパ選手権は、欧州諸国の選手を対象とした大会で、他地域の選手はオープン参加になります。ただし、470級の場合、欧州のトップ選手が出場することから(世界選手権と同等の)ハイレベルな戦いになるので、地域に関係なく、オリンピックを狙う世界中の選手が出場します。(BHM編集部)

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デンマーク・オーフスで開幕した470級ヨーロッパ選手権。2018年ISAFワールドが予定されているオーフスでは、ISAFワールドに向けて大会を誘致していて、この470と連続してナクラ17世界選手権、レーザー級ヨーロッパカップが開催されます。photo by Junichi Hirai

 地元のセーラーが「今年はノーマルじゃない。特別に寒いんだよ」と話すほど、オーフスの風は冷たく、朝晩はストーブが欲しくなるぐらいに冷え込みます。海も日本の冬と同じようで、ドライスーツを着こむ選手もいて完全冬支度。しかし、太陽が顔を出せば一気に暖かくなるので、ウエアの着こなしがむずかしい。レガッタなかばには暖かくなるという予報もあるので、前半戦は寒さをがまんする辛抱のレガッタになりそうです。

 また、オーフスの風も特長的です。冷たい陸風(西風)が吹くときは、15〜30度でシフト。完全フラットウォーターで、北風の葉山沖や琵琶湖のよう、と言ったらわかりやすいでしょうか。こうしたトリッキーな海面は、日本選手は嫌いじゃありません。

 ヨーロッパ選手権大会初日は、男女2グループにわかれて予選シリーズがおこなわれました。予選は5レースが予定され、その後、上位と下位グループに分けられ決勝シリーズへうつります。まず、日本チームの第一関門は予選突破です。本日初日は男子2レース、女子3レースをおこないました。

 選手たちにとってはオリンピック活動の集大成となる大会です。平常心でいられることの方がむずかしいものですが、気を吐いたところで長丁場のヨットレースでは効果ありません。しかし、シリーズレースでは初日の入り方が重要で、大きな失敗なく理想のポジションにつけることが求められます。

 風に強弱があり、シフト幅も大きいので、成績を安定させるのはむずかしく、王者オーストラリアにしても第2レースでほぼ最後尾で回航するシーンも…。今年に入って調子を崩しているとはいえ、ロンドン五輪の金メダリスト、世界選手権5回優勝の怪物が、これほど後ろで回航する姿を初めてみました。

 これほど上位陣は風に翻弄されています。大会初日の男子の成績は次の通りです。松永鉄也/吉田雄悟(スリーボンド)が日本選手最高の10位ですが、3レース目からカットレースが入るのでまだ評価する段階ではありません。ただ、日本男子も他国と同様に、成績を安定させることはむずかしそうです。

470級ヨーロッパ選手権 初日男子成績 参加60艇
1. USA Stuart Mcnay / David Hughes 2-2 4p
2. GER Ferdinand Gerz / Oliver Szymanski 5-1 6p
3. SWE Johan Molund / Sebastian ostling 3-3 6p
4. TUR Deniz Cinar / Ates Cinar 2-5 7p
5. NZL Paul Snow-Hansen / Daniel Willcox 4-5 9p
6. SWE Anton Dahlberg / Fredrik Bergstrom 7-6 13p
7. GBR Luke Patience / Elliot Willis 7-6 13p
8. GRE Panagiotis Mantis / Pavlos Kagialis 6-8 14p
9. RUS Pavel Sozykin / Denis Gribanov 1-14 15p
10. JPN 松永鉄也/吉田雄悟 11-4 15p
20. JPN 土居一斗/今村公彦 9-11 20p
35. JPN 市野直毅/長谷川孝 13-23 36p
47. JPN 飯束潮吹/八山慎司 24-21 45p

 胸のすくようなヨットレースを見せてくれたのは、日本女子の山口祥世/畑山絵里(ノエビア)です。第1レースではスタートミスからタックで右海面に逃げますが、リカバリーが早く、第1マーク、第2マークをトップ回航。ダウンウインドで抜かれてしまいましたが、その後のレースでもコース選択がよく本日7-9-2位、総合9位につけています。また、470女子はイスラエルが3連続トップを決めました(カットレースによりNZLと同点1位)。

470級ヨーロッパ選手権 初日女子成績 参加48艇
1. ISR Gil Cohen / Danielle Maman (1)-1-1 2p
2. NZL Jo Aleh / Polly Powrie 1-1-(2) 2p
3. GBR Sophie Weguelin / Eilidh McIntyre (3)-2-3 5p
4. NED Afrodite Kyranakou / Anneloes Van Veen 2-4-(8) 6p
5. USA Sydney Bolger / Carly Shevitz 6-(9)-1 7p
6. GBR Amy Seabright / Anna Carpenter 4-3-(7) 7p
7. FRA Camille Lecointre / Helene Defrance 3-(8)-5 8p
8. SLO Tina Mrak / Veronika Macarol (5)-4-4 8p
9. JPN 山口祥世/畑山絵里 7-(9)-2 9p
10. GER Annika Bochmann / Marlene Steinherr (6)-5-4 9
17. JPN 吉田 愛/吉岡美帆 (11)-5-8 13p

 明日30日も引き続き予選シリーズがおこなわれます。

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レースオフィス前に張り出されたグループ分けの表(出艇申告)を見て、該当する色のリボンを受け取ります。photo by Junichi Hirai

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第2マークをトップ回航する山口/畑山。「クローズでスピードがあったのでいいポジションを走れました。ダウンウインドは課題です」と畑山絵里。photo by Junichi Hirai

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オーストラリアのベルチャー/ライアン。今年は、序盤に凹んでも必ず上位に入ってメダルを獲得するという展開が多く見られます。photo by Junichi Hirai

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運営艇。デンマークの船は小さくてかわいいデザインが多く、古いウッドの船も丁寧にメンテされて乗られています。photo by Junichi Hirai

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5月6月は海外チーム(クロアチア、アルゼンチン、イタリア、スペイン他)と合宿生活でみっちり練習したという市野/長谷川。現在35位。photo by Junichi Hirai

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空にはちぎれた雲が点在し、流れが速くなったり遅くなったり、曇ったり晴れ間を見せたり天候がめまぐるしく変わりました。photo by Junichi Hiraiphoto by Junichi Hirai

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初めての代表最終選考に挑む土居はレース前に「いい感じですよ」といつもと変わりなし。2度目の最終選考となる今村「前の選考は眠れなくて…。いまは寝れています」photo by Junichi Hirai

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ベネッセの吉田/吉岡。子どもたちに人気のキャラクター「しまじろう」がスピネーカーに登場しました。photo by Junichi Hirai

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日本にも来たことのあるイスラエル女子が本日3連続トップのハットトリック!photob y Junichi HIrai

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攻めのスタートを見せますが、上マークまでのアップウインドレグで引き離されてしまう飯束/八山。photob y Junichi HIrai

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レース本部の対岸にある小さくて美しいヨットクラブ。ウッド艇がきれいに並んでいました。photob y Junichi HIrai

◎470European Championship
http://2015europeans.470.org/en/default/races/race

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