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【特集】リオ五輪出場を掛けて世界へ挑む、日本49erFX女子

 リオ五輪セーリング競技は8艇種10種目でおこなわれます。その種目は、470級男女、RS:X級男女、レーザー級(男子)、レーザーラジアル級(女子)、フィン級(男子)、ナクラ17級(男女混合)、49er級(男子)、49erFX級(女子)。これらは、2020年東京五輪でも変更されず、継続採用されることが決定していて、追加種目としてカイトボーディングが候補になっています。(BHM編集部)

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江の島オリピックウィーク49erFX級。日本がリオ五輪に出場するためには、11月世界選手権、2016年3月ASAFカップで出場国枠を獲得しなければなりません。photo by Junichi Hirai

 6月9日まで江の島で開催された「江の島オリンピックウィーク」で、ひときわ目を引いたクラスがありました。それは、5チーム出場していた49erFX級です。49erFX級は、リオ五輪から新規採用される新種目で、49er級のハルをそのまま使用してリグ、セールを縮小し、女子向けに改良したサイズダウン版スキフです。

 リオ五輪からはじまる新しいクラスなので、世界各国が選手育成強化を急ピッチで進めている種目でもあります。ロンドン五輪で活躍した470級女子やマッチレースから転向する選手もあり、49erFX級は一気に華やかな人気種目となりました。

 日本では昨年より豊田自動織機チームが海外遠征に出るなど活動してきましたが、トップグループとの差が開いていることは否定できません。このような状況と、来る東京五輪を視野に入れた活動として、JSAFオリンピック強化委員会は「スキフプロジェクト」を計画しました。

 この計画は、日本に根付いていないスキフ種目(49er級、49erFX級)の強化、選手育成を目的としたものです。今回は、シドニー五輪の49er級金メダリスト、ユルキー・ジャルビ(FIN)をコーチに迎えて、和歌山と江の島で14日間の強化練習がおこなわれました。

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ユルキー・ジャルビコーチ(左)、鈴木國央JSAFコーチがスキフプロジェクトの現場指導を担当します。第1回目となる今回の強化練習では、ラダー使用を最小限に八の字コースをひたすらまわる等、ボートコントロールの基礎を練習しました。photo by Junichi Hirai

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2915江の島オリンピックウィーク優勝の松苗/原田。福岡を拠点に活動しています。ラジアル五輪キャンペーンで鍛えた根性だけは負けません。photo by Junichi Hirai

リオ五輪日本代表の戦いに名乗りを上げた4チーム

 今回のスキフプロジェクトに参加したのは、女子4チーム、男子1チームです。唯一の男子、高校3年生の矢野伸一郎/藤木一誓(和歌山工高/向陽高)は、目標とする東京五輪のトレーニングとして出場しました。彼らは、4月に和歌山で開催されたレッドブル・フォイリングジェネレーションの優勝チームで、来年開催される世界大会へ日本代表として出場することが決まっています。

 女子4チームは、昨年、または今年から新しく結成したチームです。いずれも個性的で、やる気も十分あり、未知数の可能性を秘めた選手ばかりです。オリンピックウィークでは、ガルフネット所属の松苗幸希/原田小夜子が優勝。この大会が、新生日本FX軍団による初の手合わせとなりました。

 編集長は2日間の戦いを観戦しましたが、この結果から実力を図るのは適当ではないと判断しています。小フリートのレース、強風がなかった、国際大会ではあまりないショートコースだった等の理由もあります。まずは、強豪ひしめく海外大会に出場してみないことには始まりません。

 日本49erFX級がリオ五輪に出場するためには、2つの国際大会に出場し、権利を獲得する必要があります。

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(1)11月・アルゼンチン49erFX級世界選手権
2015年世界選手権は、リオ五輪出場国枠獲得大会となっていて、出場権利を持っていない日本は、この大会で得られる残り「3カ国」の国枠を獲得しなければならない。獲得した場合は日本最上位チームが日本代表となる。
(2)3月・アブダビASAFカップ
ワールドで国枠が取れなかった場合、最終選考となる2016年3月アブダビASAFカップでアジア出場枠「1カ国」を掛けて戦うことになる。獲得した場合は日本最上位チームが日本代表となる。この大会で取得できなければリオ五輪出場の道は絶たれる。
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 この2大会が49erFX級の天王山です。その前に各日本チームは、ポルトガル・ヨーロッパ選手権(7月)などに出場し、本当の実力を把握する機会があります。さあ、あらたに動き出した49erFXチームを紹介しましょう。

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松苗幸希/原田小夜子(ガルフネット)
 鹿屋体育大ヨット部出身の先輩・後輩。ロンドン五輪までレーザーラジアル級で活動していましたが、先輩である松苗(写真左)が原田を誘う形でチーム結成。会社に所属していますが、活動費用を自分たちで捻出することを条件に昨年11月より活動スタート。クラウドファウンディング(ネット募金。詳しくは下記をご参照ください)で活動資金を集めながらリオ五輪を目指しています。オリンピックウィークの優勝で、8月リオ五輪テストイベントの出場権利を得ましたが、遠征費だけでなく、船や道具が揃っていないなどの不安材料を抱えています。
◎松苗幸希・原田小夜子
http://www.athleteyell.jp/matsunae_saki/sports_funding/9/

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宮川恵子/高野芹奈(和歌山セーリング連盟)
 日本大を卒業後、470級五輪活動や、29er級、国体選手(2014年長崎国体・成年女子セーリングスピリッツ級優勝)で活躍してきた宮川(写真右)と、関西第一高3年の高野(2014年仁川アジア大会420級日本代表クルー)のコンビ。和歌山で活動する深沢、大熊、矢野、藤木とは、練習を共にするトレーニングパートナーの関係にあり、宮川は5月にイタリア・ガルダ湖で開催されたオリンピックガルダに大熊典子と出場しました。

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波多江慶/板倉広佳(豊田自動織機)
 日本経済大ヨット部出身の波多江(写真右)が昨年より、今年4月より板倉が正式加入してできた新チーム。レーザーラジアル級、スナイプ級の活動で知られる豊田自動織機の49erFXチームは昨年まで日本で唯一活動するチームで、サンタンデールISAFワールド(世界選手権)にも出場。しかし、一日の長と呼べるまでの実績はなく、7月ポルトガル・ヨーロッパ選手権で初の腕試し海外遠征に出ます。

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深沢瑛里/大熊典子(早稲田大/福井県連)
 470級クルー、49erFX級クルーで海外遠征の経験も豊富な大熊典子(写真右)は、今春より新天地・和歌山を拠点に活動開始。先に書いた通り、チームは固定しない形で練習量を増やし、実力をつけています。早稲田大の深沢は強い目標意識で五輪活動するなかで、レッドブル・フォイリングジェネレーション準優勝を機に、仏・フライングファントム社にスカウトされ、6〜7月までの約1カ月間、ひとり渡欧してスイス、フランス、イタリアのフライングファントムのサーキットに参戦します。がんばれ!
◎Flying Phantom
http://www.phantom-international.com/flying-phantom/

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ジュニア時代から好成績を残している宮川恵子と水泳出身の高野芹奈は、持ち前のコース読みが冴えて江の島オリンピックウィーク2位。セナにはお姉さんがいて名前はモナコだそう。photo by Junichi Hirai

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唯一の男子出場となった高校生コンビ、矢野伸一郎/藤木一誓(和歌山ユースセーリングクラブ)は3位。矢野は唐津420級世界選手権代表、国体ではレーザーラジアル級の和歌山代表選手(長崎国体優勝)。2人はレッドブル。フォイリングジェネレーション日本代表で、時々ナクラ17でも練習しています。日本一器用な高校生セーラーかもしれません。photo by Junichi Hirai

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