ワールドカップ出場を目指し、オランダ・デルタロイドレガッタ開幕
5月26〜30日まで、オランダ・メデンブリックで「デルタロイドレガッタ」が開催されます。この大会はオリンピック、パラリンピック種目を中心となる国際ディンギーレースです。デルタロイドレガッタは、2013年よりISAFワールドカップから離れてユーロ圏のサーキット「EUROSAF チャンピオンセーリングカップ」に組み込まれ、3月スペイン・マヨルカ島で開催された「プリンセスソフィア杯」と同じ位置づけになります。またこの大会は、6月はじめにイギリスで始まる「ISAFワールドカップ・ウエイマス大会」の予選を兼ねています。(BHM編集部)
メデンブリックで開幕したデルタロイドレガッタ。日本から14艇が出場します。写真は前年度大会より。photo by deltalloyd regatta 2014
ヨットレースの成功は多くの参加艇を集めることにある
ISAFではワールドカップを上位大会として、その下にヨーロッパ圏の「EUROSAF チャンピオンセーリングカップ」、アジア圏の「ASAFカップ」を置き、エリアごとで活性化を狙う構想があります(ASAFカップは年3回予定され、日本では6月に開催される江の島オリンピックウィークが該当大会になっています)。
しかし、活性化という意味では、参加艇数が限定されるワールドカップ(イエール、ウエイマス)よりも、予選大会となるプリンセスソフィア杯やデルタロイドレガッタの方が大会規模は大きく、これは現場を取材した感覚ですが、レガッタとして“成功”しているように思います。
ヨットレースは参加選手を集めること(エントリー費)で、大会運営費、レース運営費を捻出します。スポンサーから費用を得ることは大切なことですが、それは短期間のもの。数年先まで継続を考えた場合、選手に「次回も出たくなる」大会を提供し、リピーターを募ることが重要になります。
こうしたことから、編集部は艇数限定のISAFワールドカップ(メルボルン、マイアミ、イエール、ウエイマス、青島、アブダビ)は、今後変更されていく可能性があると危惧しています。なぜなら参加艇を限定したことで大会収入が激減し、スポンサー頼りのイベントになるからです。
反対に、プリンセスソフィアやデルタロイド、6月にドイツで開催されるキールウィーク等は、きっと10年後も継続されているでしょう。ちなみに、デルタロイドレガッタは約700艇が参加、先におこなわれたワールドカップ・イエール大会は425艇が参加したというデータが公表されています。ウエイマス大会はそれよりも参加艇は少なくなり、青島大会ではさらに減少することが予想されます。
ワールドカップ出場権利を得るための予選レガッタ
反対にプリンセスソフィア、デルタロイドレガッタの価値を下げる要因があるとすれば、ランキング制度でワールドカップの出場権利(シード権)を持つ選手が出場しなくなったことでしょう。レースと練習を繰り返す遠征の流れに組み込めれば出場しますが、シード権を持つ選手たちは、「あえて出場する必要のない大会」となり、大会内容と練習を天秤にかけながらスケジュールを組んでいます。
例をひとつ挙げてみます。デルタロイドレガッタで470級男子には41艇がエントリーしています。しかし、世界の実質トップ3と呼ばれる、オーストラリア(ベルチャー/ライアン)、クロアチア(ファンテラ/マレニック)、イギリス(ペーシャンス/ウィルズ)は、エントリーしていません。日本勢では、シード権を持つ松永/吉田、土居/今村はデルタロイドレガッタには出場せず、シード権を持たない飯束/八山、市野艇がエントリーしています。
ロンドン五輪の金メダリストである、ベルチャー/ライアンは、現在リオに滞在して現地トレーニングをおこなっているという情報があります。(クラスによっては)デルタロイドレガッタに出場せず、ほかでのトレーニングを重要視している例も多く、「ワールドカップ予選」という意味が強い大会になっているようです。
参考までに、現在ワールドカップ・ウエイマス大会の470級男子にはシード権を持つ29艇がエントリーしています。ワールドカップ・ウエイマス大会は40艇で競うため、デルタロイドレガッタの成績から11艇にワールドカップ出場権が与えられることになります。
さあ、ワールドカップ出場を目指し日本から14艇が出場します。すでにワールドカップ出場権利を持つ選手もトレーニングとして出場していますが、みんな、がんばれ!
◎デルタロイドレガッタ出場日本選手
レーザー級 南里研二、安田真之助、瀬川和正
レーザーラジアル級 土居愛実、冨部柚三子、蛭田香名子、
RS:X級男子 富澤慎
RS:X級女子 小嶺恵美、伊勢田愛
470級男子 飯束潮吹/八山慎司、市野直毅/長谷川孝
470級女子 山口祥世/畑山絵里
ナクラ17級 後藤浩紀/田畑和歌子
49er級 牧野幸雄/高橋賢次
◎デルタロイドレガッタ
http://www.deltalloydregatta.org/
======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
ポールスチュアート
日本レジャーチャンネル
リスクマネジメント・アルファ
ベイトリップ セーリング
ベストウインド
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
日本ORC協会
Velocitek
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ファクトリーゼロ