アメリカズカップは今どうなってるのか!?
バルクヘッドマガジンが発信するひさびさのサンフランシスコ・アメリカズカップ情報です。ただいまアメリカズカップは本番直前。今週末からはじまる本戦では、防衛艇のオラクルチームUSA(オラクルUSA)とルイヴィトンカップを勝ち抜いたエミレーツチームニュージーランド(ETNZ)の戦いがはじまります。(BHM編集部)
ピーター・バーリング、ブラー・チュークの49erメダリストを中心とするチームニュージーランド(ユースチーム)。彼らはニュージーランドヨット協会の五輪ナショナルチームでもあります(日本のナショナルチームと同じ位置づけです)。日本のメルジェス24スリーボンドチームに在籍するジェイソン・サウンダースもメンバーです
ニュージーランドがユースアメリカズカップを制する
9月1〜4日、本戦に先駆けてアメリカズカップのもうひとつのビッグイベント「ユースアメリカズカップ」が開催されました。この大会は、AC45を使用しておこなわれる年齢19〜24歳までのユースイベントで、この2月までに選考され10チームが出場することになりました。
大会は全8レース中7レースおこなわれ、ロンドン五輪49er級銀メダルのピーター・バーリング(22歳)率いるニュージーランドチーム(NZL Sailing Team with Emirates Team New Zealand)が優勝しました。ダブルスコアとなる最終レース(第8レース)が強風のためおこなわれなかったのは残念ですが、未熟ながらも見応えのある大接戦を見せてくれました。
ライブ映像で観戦していたBHM読者も多かったと思います。「ユースの方がルイヴィトンカップより面白かった」という意見が出るのも仕方ないでしょう。実際に編集部もそう思いました。ルナロッサの出場ボイコットではじまったルイヴィトンカップ。敗者復活戦にかけましたが遠く及ばなかったアルテミス。勝敗の答えが分かっていたETNZとルナロッサの決勝戦。なんとも興味をそがれる内容であったのは事実です。
反対に同等にトレーニングしてきたレベルの選手が同型艇に乗ってフリートレースで競うユースアメリカズカップは、実に単純明快のヨットレースの魅力が詰まっていました。彼らの多くはディンギー系の選手たちで、当然オリンピック活動と並行している選手もいます。
ユースアメリカズカップは、1位ニュージーランド、2位ニュージーランド(マッチレースで活躍するフルメタルジャケットチーム)、3位ポルトガルという結果になりましたが、レースを見ている限りさほどの差があるようには見えません。ユースアメリカズカップを経験した若手セーラーの今後の活躍が楽しみです。
Red Bull Youth America’s Cup
1. NZL Sailing Team with Emirates Team New Zealand (NZL) 2-RDG-7-3-1-1-4 57p
2. Full Metal Jacket Racing (NZL) 7-1-4-6-6-3-5 45p
3. ROFF/Cascais Sailing Team (POR) 3-6-1-8-8-5-2 44p
4. Team TILT (SUI) 8-5-2-2-9-7-1 43p
5. American Youth Sailing Force (USA) 1-7-3-5-7-4-8 42p
6. Swedish Youth Challenge (SWE) 6-2-9-1-4-6-10 39p
7. Objective Australia (AUS) RDG-10-6-10-2-3 38p
8. Next World Energy (FRA) 4-4-8-4-5-9-6 37p
9. All In Racing (GER) 5-8-5-9-3-8-9 30p
10. USA45 Racing (USA) 9-9-10-7-10-10-7 15p
10艇が出場したユースアメリカズカップ。大会直前に全艇がレッドブルカラーになり激戦を繰り広げました
暗雲立ちこめる?7日開幕アメリカズカップ本戦
ちょうどユースアメリカズカップが開催されている最中、インターナショナルジュリーから発表されたオラクルUSAへのペナルティーは、ファンをがっかりさせる内容でした(これで何度目のがっかりでしょうか?)
この問題は約1カ月前にさかのぼります。アメリカズカップのデモンストレーションをつとめたワールドシリーズに出場していたAC45(ユースアメリカズカップ使用艇)を計測していた際、2艇のアメリカ艇に不正改造されているのが発覚したのです。
その改造とは、クラスルールで取り付けてはいけない位置(キングポスト)にウエイトを取り付けたというもので、インターナショナルジュリーの選手へのヒアリングで故意に取り付けたものだということも分かりました。
この不正改造によりワールドシリーズの総合優勝は剥奪。さらにアメリカズカップへのペナルティーとして、3名のメンバー除外、レース時に2点減点、25万ドル(約2500万円)の罰金の判決が発表されました。
これによりオラクルUSAは、本来なら先に9勝した方がカップ奪取となるところを11勝しなければなりません。これは相当な痛手であり、ETNZが一歩カップに近づいたことは間違いありません。
アメリカズカップ第1戦は、現地時間9月7日午後1時過ぎにスタートします。
マイナスからの戦いとなり、いきなりの逆境に立ったオラクルチームUSA。どうなる?アメリカズカップ
◎アメリカズカップスケジュール
9/7 : Race 1 (1:15 pm PT), Race 2 (2:15 pm PT)
9/8 : Race 3 (1:15 pm PT), Race 4 (2:15 pm PT
9/10 : Race 5 (1:15 pm PT), Race 6 (2:15 pm PT)
9/12 : Race 7 (1:15 pm PT), Race 8 (2:15 pm PT)
9/14 : Race 9 (1:15 pm PT), Race 10* (2:15 pm PT)
9/15 : Race 11* (1:15 pm PT), Race 12* (2:15 pm PT)
9/16 : Reserve Day
9/17 : Race 13* (1:15 pm PT), Race 14* (2:15 pm PT)
9/18 : Reserve Day
9/19 : Race 15* (1:15 pm PT), Race 16* (2:15 pm PT)
9/20 : Reserve Day
9/21 : Race 17* (1:15 pm PT)
9/22 : Reserve Day
9/23 : Reserve Day
(*If necessary. Note: By order of the International Jury and pursuant to Protocol Article 15.4(d)(iv), ORACLE TEAM USA shall be penalized one point for each of the first two races of the Match in which they would otherwise score a point.)
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