サルでもわかる?アメリカズカップ(1)
バルクヘッドマガジン編集部は、成田空港から約10時間のフライトを経てサンフランシスコに到着しました。ここで、7月4日からアメリカズカップがはじまります。アメリカズカップについて、ほとんどの読者は、「名前を聞いたことはある…」「ヨットがすごいことになっているのは知っているけど…」という程度の知識かと思います。(BHM編集部)
実際、アメリカズカップに日本選手は出場していないし、ヤンマー社がオラクルチームのスポンサーになりましたが、わたしたちセーラーに身近なニュースとはちょっと違うような…。それでは、なぜバルクヘッドマガジンは、アメリカズカップのために、わざわざサンフランシスコへ行くのか?
理由はこれだけです。日本でこのモンスターボートを見ることはできません。今回のアメリカズカップで使用されるカタマランAC72は、全長22メートル、重量5.9トン。この船に水中翼が取り付けられ、モスのように浮かんで走るんです。みなさん、この状況を理解できますか? 自分にはワケがわかりません。だから実際に自分の目で見ておきたい、と思ったわけです。
サンフランシスコの海岸道路にはアメリカズカップのフラッグが並んでいます。開幕は7月4日独立記念日。ヨットレースだけでなく、コンサートやエキシビジョン、イベントも予定され『海辺のフェスティバル』といった感じです。photo by Junichi Hirai
さて、それではアメリカズカップについてカンタンに説明します。この大会は一般のヨットレースとは違います。前回の優勝艇(防衛艇)が挑戦を募り、挑戦艇が複数いた場合、そのなかで勝ったチームと対戦します。ようするにヨットレースが二段階でおこなわれるわけです。挑戦艇を決める戦いをルイヴィトンカップ。1対1の最終決戦をアメリカズカップと呼ばれます。
◎アメリカズカップはいつ開催される?
7月4日 開会式、7月5日 タイムトライアル
7月7日〜ルイヴィトンカップ・挑戦艇決定戦
9月7日〜アメリカズカップ・防衛艇vs挑戦艇
アメリカズカップ・スケジュール。参加艇が確定せずスケジュールは数回変更されました
◎アメリカズカップには、どんなチームが出場するの?
挑戦艇
1. アルテミスレーシング(SWE)
2. エミレーツ・チームニュージーランド(NZL)
3. ルナロッサ・チャレンジ2013(ITA)
防衛艇
4. オラクルチームUSA(USA)
挑戦艇の3チームが戦い、勝ち残ったチームが、オラクルと対戦する、というのが今回のアメリカズカップの流れです。「えー!前哨戦には中国とか韓国とかフランスがいたのに、たった4艇だけ?」という方もいると思います。AC45によるワールドシリーズに参戦していたチームは、昨年8月、AC72への移行の場面でキャンペーン成功までに至らず、途中で脱却してしまいました。
ようするにAC45で資金集めの算段をしたけれど、お金が集まらなかった、というのが実情です。一説では今回のアメリカズカップでオラクルは、80〜100億円を使っていると言われています。
◎アメリカズカップ、ルイヴィトンカップ出場チーム紹介
防衛艇:オラクルチームUSA
ヨットクラブ:ゴールデンゲート・ヨットクラブ
代表者:ラリー・エリソン
CEO:ラッセル・クーツ
スキッパー:ジミー・スピットヒル
重要人物:ベン・エインズリー(アフターガード)、ジョン・コステキ(タクティシャン)、ディック・デ・リダー(ウイングトリマー)、ジョー・ニュートン(ヘッドセールトリマー)、トム・スリングスビー(アフターガード)
オーストラリア・シドニー生まれのジェームス(ジミー)・スピットヒル
挑戦艇:アルテミスレーシング
ヨットクラブ:ロイヤル・スウェディッシュ・ヨットクラブ
代表者:トルビョン・トーンクウィスト
スキッパー:イアン・パーシー
CEO:ポール・ケイヤード(タクティシャン)
重要人物:ネイサン・アウタリッジ(ヘルムスマン)、ロイック・ペイロン(ヘルムスマン)
スター級の金メダリスト、イアン・パーシー。アルテミスは、5月にアンドリュー・シンプソンを事故で亡くしたことで参加が危ぶまれましたが、遅れて参加する予定です
挑戦艇:エミレーツ・チームニュージーランド
ヨットクラブ:ロイヤル・ニュージーランド・ヨットクラブ
代表者:マテオ・デ・ノラ
スキッパー:ディーン・バーカー
マネージング・ディレクター:グラント・ダルトン(グラインダー)
重要人物:ブレン・アッシュビー(ウイングトリマー)、アダム・ビーシェル(ストラテジスト)、ジェームス・ダグ(トリマー)、レイ・デイヴィス(タクティシャン)
ニュージーランドを代表するセーラー、ディーン・バーカー41歳
挑戦艇:ルナロッサ・チャレンジ2013
ヨットクラブ:サーコロ・デル・ヴェラ・シチリア・オブ・パレルモ
代表者:パトリジオ・ベルテリ
スキッパー:マッシミラノ・シレナ
重要人物:フラチェスコ・ブルーニ(タクティシャン)、ポール・キャンベル・ジェームス(ヘルムスマン)、クリス・ドレパー(ヘッドセールトリマー)、マニュエル・モデナ(ヘルムスマン)、アリスター・リチャードソン(ウイングトリマー)
2000年のアメリカズカップからルナロッサの中心人物として活躍してきたマッシミラノ(マックス)・シレナ
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ