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新体制発足、オリンピック強化委員会・後編

 オリンピック強化委員会・西岡委員長インタビューの最終回です。日本はオリンピックでメダルを取ることはできるのか? そのためには何が必要なのでしょうか?(BHM編集部)


ロンドン五輪開催会場ウェイマスに灯された聖火。photo by Kazushige Nakajima

『メダルに近づくために重点種目を強化する』

BHM編集部:五輪種目のなかで470級とウインドサーフィン(RS:X級)だけに、専門のコーチを置いた理由はどうしてでしょうか?

西岡委員長:現実的に考えて、五輪入賞、そしてメダルに近いのは470級とRS:X級、そして49er級だと考えています。いま現在、このなかで49er級はトヨタ自動車東日本で活動する牧野/高橋の1チームのみ。彼らには同社ヨット部にプライベートコーチがいます。それならば、五輪で活躍が期待されるがコーチのいない470級、RS:X級に担当コーチを置いて重点的に強化していこうとするものです。

ただし、シングルハンドのレーザー級は、これから何の種目に乗っていくにせよ、セーリングの基本になる大切な部分です。この部分は、一環した選手育成プログラムを作って、選手、コーチとともに成長していこうと考えています。これは、リオ五輪で470級、RS:X級以外(レーザー級、ラジアル級、49er級FXなど)を避けると言っているのではありません。

わたしたちは目標を達成する組織であり、JSAFナショナルコーチには思い切りやってほしい。わたしは「リオで結果を残せなかったら、セーリング競技は地盤沈下する。なんとしても結果を出す」という意気込みでいます。

BHM:今年3月、全日本柔道連盟では暴力指導問題に続き、日本スポーツ振興センターの助成金の受給問題が公になり混乱を招いています。

昨年、日本セーリング連盟は、日本スポーツ振興センター助成金の不適切受給問題(専任コーチへの報酬の一部を、日本セーリング連盟のJOCに対する費用負担とした)でニュースになったことは記憶にあたらしいものです。

西岡委員長は、この新組織について「透明性を持ちたい」と発言されてましたが、具体的にどのような対策を考えていますか?

西岡:いまJSAFの不適切受給問題は解決し、クリアな状態です。オリンピック強化委員会では、あらたに諮問委員会を設置して、ここを通して計画が進められることになります。第1回の諮問委員会は今年2月に開催され、オリンピック強化委員会の基本方針は、ここでの承認を受けて進められています。

また、これから広報活動により力を入れていきたいと考えています。この(今回のインタビュー)ように、オリンピック委員会の活動について取材を受けるのは大歓迎だし、わたしたちも広報活動を積極的におこない、オープンな組織であることをアピールしていきます。

BHM:オリンピック強化委員会の活動が、セーリングファンにわかりやすく、正確な情報として伝わることは、バルクヘッドマガジンも賛成します。本日はありがとうございました。オリンピック強化委員会の活躍に期待しています。

新体制発足、オリンピック強化委員会・前編
新体制発足、オリンピック強化委員会・中編

オリンピック強化委員会の取材を終えて

 3回に分けて紹介した新体制について。いかがでしたでしょうか。あたらしくなった体制へ期待は大きく、強くなっていく日本をぜひ見てみたいと考えています。(BHM編集部)

 それと同時に、昨年のJSAF不適切受給問題と、ロンドン五輪本番までの過程とその結果から、セーリングファンが組織に対して信用を失ったのも事実です。

 読者のみなさんも、どこかにモヤモヤした気持ちが残っているのではないでしょうか。このイメージを払拭することは大変な作業だと思いますが、ぜひ乗り越えてほしいものです。

 また、わたしたちファンは選手たちを応援する一方、冷静な目で判断し、特に組織に対して意見を伝えていくべきだと考えています。バルクヘッドマガジンの読者は、みんな相当なヨット好きで造詣も深い。しっかりした意見を持っている人も多くいます。

 日本のオリンピック・セーリングに対する意見があれば、編集部までお寄せください(editor@bulkhead.jp)。可能ならバルクヘッドマガジンを通して発表するし、記事にできないものはオリンピック強化委員会へ直接伝えます。

 みんなで、オリンピック、そして日本のセーリングを盛り上げて行きましょう!

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