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470欧州選手権2026、磯崎/関9位。LA28へ向け新シーズン始動

 3月9日〜14日までポルトガル・ビラモウラで「470ヨーロッパ選手権」が開催されました。本大会にロサンゼルス五輪(LA28)を狙う53艇が出場。昨秋から欧州でトレーニングを積んだ磯崎哲也/関友里恵にとっては、復帰第一戦となるビッグレガッタとなり、総合9位で大会を終えました。(BHM編集部)

ポルトガル・ビラモウラで開催された470ヨーロッパ選手権。表彰台に立つ1位イギリス、2位イタリア、3位スペイン。LA28まで主役となるだろうチームです

 欧州圏で五輪を目指す選手にとってヨーロッパ選手権は重要な意味を持つ大会です。世界選手権に次ぐハイレベルな大会になるというだけでなく、勝利の価値がオリンピック・キャンペーンと直結するチームもある、という特長があります。

 日本でいえば、国際大会での結果よりも、国内大会(国体、国スポ)での結果が今後の選手活動につながる、という意味に似ているかもしれません。欧州でのアピールは大きく、そのため、この大会を目標にするチームは少なくありません。

 今年の470ヨーロッパ選手権は欧州のセーリング・シーズン初めに行われたということもあり、これからLA28まで続く戦いを占う目安となる大会になりました。

 パリ五輪が終わり活動休止したり、コンビを変更したチームが明確となり、また、磯崎/関のように復帰したチームなど、新しい勢力図が見え始めています。

 2026年の470級は、セーリング・グランドスラム(プリンセスソフィア杯、フランス・オリンピックウィーク、キールウィーク、ロングビーチ&サンペドロOCR、ダッチウィーク)が主要レガッタとなります。さらに夏には江の島で世界選手権が予定されています。

 レースは風に恵まれ予定されていた全レースを実施。決勝シリーズ最終日に1-1位で波に乗ったMartin WRIGLEY / Bettine HARRIS(GBR)が、メダルシリーズで1-4位を取り、初優勝を飾りました。2位にはGiacomo FERRARIa / Alessandra DUBBINI(ITA)、3位はJordi XAMMAR HERNANDEZ / Marta CARDONA ALCÁNTARA(ESP)が入りました。

◎470ヨーロッパ選手権2026 最終成績 参加53艇
1 Martin Wrigley / Bettine Harris (Great Britain)
2 Giacomo Ferrari / Alessandra Dubini (Italy)
3 Jordi Xammar Hernández / Marta Cardona Alcántara (Spain)
4 Elena Berta / Giulio Calabrò (Italy)
5 Beatriz Gago / Rodolfo Pires (Portugal)
6 Silvia Mas Deparés / Alejandro de Maqua Xalabarder (Spain)
7 Theresa Löffler / Christopher Hoerr (Germany)
8 Diogo Costa / Carolina João (Portugal)
9 Tetsuya Isozaki / Yurie Seki (Japan)
10 Matisse Pacaud / Lucie de Gennes (France)

秋から冬にかけてスペイン・カナリア諸島へ遠征し、海外チームとトレーニングを積んだ磯崎/関。現在、日本で五輪活動する唯一の470チームです。次回は今月終わりに始まるプリンセスソフィア杯に出場します

◎470欧州選手権で採用された新スコアリングシステム

 また、本大会で採用された新フォーマットによる得点方式にも注目です。現在、五輪セーリング競技10種目では、LA28に向けて「よりセーリング競技がオリンピックで魅力的になる」ため、パリ五輪からの変更(改良)が考えられています。

 470級の得点方式の変更もそのひとつで、このヨーロッパ選手権で初めて採用されたものです。ヨーロッパ選手権のレース公示で発表されたスコアリング方式は次の通りです。

470級の新スコアリングシステム
【予選シリーズ】
 5レース終了後、順位を得点として決勝へ持ち越す。3レース以降にカットレースが入る。予選終了時の得点(順位)は決勝シリーズでカットできない。※これまでのように予選の全得点を決勝シリーズへ持ち越さない。
【決勝シリーズ】
 ゴールド・シルバーに分かれて7レースで実施。3レース以降にカットレースが入る。上位10チームがメダルシリーズへ進出。
【メダルシリーズ】
 2レースで構成。上位3チームの得点差が9点以内の場合は得点をそのまま適用する。9点を超える場合は得点差を9点に調整する。3位から10位までは、特別なポイントシステムで、最大18点差に調整して行われる(全チームにメダル獲得のチャンスがある)。

 本大会を例に見ると決勝シリーズ終了時の得点で1〜3位までは、それぞれ9点差以内なので得点調整なし。3位から10位までは最大18点差以内に調整された、ということになります。

 パリ五輪まで行われたメダルレースでは、最終日のメダルレース前に得点差が開いたため、金メダルが決まってしまう(=盛り上がりに欠ける)、という問題がありました。2レース行われるメダルシリーズと新スコアリングシステムでは、10位までメダル獲得のチャンスを残すというメリットがあります。

 もっとも得点が調整される方式は、これまでのセーリング競技にはなかった試みであり、競技の緊張感を保つ一方で、セーリング競技の難しさ、複雑化する可能性もあります。

 わたしたちセーラーに受け入れられるのか、一般の人たちに伝わりやすいのか。これから判断が問われていくでしょう。今後の展開に注目です。

新スコアリングシステムでヨーロッパ選手権のメダルシリーズ前に行われた得点調整例
CATEGORY:  DINGHYINSHORENEWSOLYMPIC