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【MINI2027】東大ヨット部から始まった外洋レースへの挑戦

 来年9月にスタートする大西洋横断「ミニトランザット」に2人の日本人セーラーが挑戦します。DMG MORI セーリングアカデミーに所属する澤田皓希(26歳)、遠藤功大(23歳)です。今回登場する遠藤選手は昨年の全日本インカレを終え、大学を卒業し、これからフランスで修行を積んでいきます。バルクヘッドマガジンでは、彼らの挑戦をリレー形式の連載でお送りします。(BHM編集部)

遠藤功大は全日本インカレではスキッパーとして活躍。この3月に大学卒業して、フランス・ロリアンを拠点に大西洋横断ミニトランザットを目指します。写真は昨秋開催された関東インカレより

◎大学でヨットに出会い、外洋を目指すことになったきっかけ

 初めまして、遠藤功大(えんどう・こうだい)と申します。大学でヨットを始め、昨年まで東大ヨット部でスナイプのスキッパーをやっていました。今回は僕がどういう経緯でミニトランザットを目指すことになったのか、簡単に紹介したいと思います。(文/遠藤功大)

 そもそもヨットを始めたきっかけですが、僕は高校までバスケに熱中していたため、大学まで部活をやる気はなく、海外に行くサークルに入ったり留学したりして過ごすつもりでした。

 そんな時、遊び半分で参加した新歓で、年配のOBの方に大きなヨットに乗せていただき、「ヨットに乗ればどこまでも行けるんだよ」と説明され、そのロマンに魅了され入部を決意しました。そこからヨットの魅力にどんどん引き込まれていきました。

 そして大学2年の春に葉山港でアカデミー研修生募集のポスターを見つけ、「これは応募するしかない」と運命を感じて応募しました。

 ヨットを始めたばかりで実績も何もない状態でしたが、とにかく「大西洋を横断したい」という熱意と達成に向けた今後の計画を伝えて、アカデミー生として活動させてもらえることになりました。

 まさか自分が外洋ヨットを始め、海でいろいろな国を目指すことになるとは、大学入学時には想像もつきませんでした。

 大学3年からは部活と並行して外洋ヨットのトレーニングを続けてきました。また大学ではヨットに活かせるよう地球科学を学ぶ学科に進学し、気象や海洋物理などを勉強しました。

 外洋レースはインショアレースに比べて走る時間が長く、場所によって風が大きく変わります。さらに僕が挑戦する「ミニ6.50」というクラスでは、電波を受信する機器を持ち込めないため、海上で天気予報が見られません。そのためスタートまでに得た情報だけを頼りに、最適なルートを選択しなければなりません。

 気象の知識はその判断に大きく役立ちます。実際過去のレースでは気象学者が優勝したこともあります。

ヨット部でセーリングと出会い、これから外洋レースへ挑戦する遠藤功大(写真左)。昨年の6月には國米 創選手と一緒にミニファストネット(600マイル)に出場。このレースがミニで出場した初めての本格的な外洋レースでした
1051号が遠藤選手のミニです。シリーズ艇と呼ばれるプロダクション艇で、澤田選手が乗るプロト(1048号)と設計・構造・素材など異なりますが、多くの選手が挑戦するスタンダードクラスです

◎ヨット部引退、大学卒業。そしてミニトランザットへの挑戦が始まった

 そして、昨年11月の全日本インカレで部活を引退し、大学も何とか卒業することができ、これからはフランスでミニトランザットに向けて全力を注いでいきます。

 僕はヨットの経験が浅く、単純な帆走能力では他の経験豊富なセーラーに劣ってしまいます。しかし、外洋ヨットは人間の総合力が試される競技だと思っています。

 長期間のレース中、パフォーマンスを維持する持久力。電気系統など船の修理方法を理解し、海上で自力で素早く対応する能力。このような様々な能力をこの2年間で最大限向上させ、少しでも上の順位を目指せるようにがんばります。

 また僕は、昨年「ミニファストネット」(フランスからアイルランド沖のファストネット灯台をまわる600マイルの外洋レース)に共に出場した國米 創さんの1046を引き継ぐ予定でした。しかし昨年のミニトランザットでの事故により、その船は失われてしまいました。

 事故の報告を受け、それまで外洋ヨットの華やかな部分ばかり見ていたことに気づき、改めて外洋ヨットが命懸けの競技であることを感じました。

 一時はプロジェクト存続も危ぶまれましたが、チームの協力のおかげで、1051という中古のシリーズ艇(1046などのプロト艇に比べて設計上の制限が多いベーシックなクラスです)を借りていただけることになりました。

 これまで様々な機会をくださった上、ミニトランザットへの挑戦が続けられるよう支援してくださったDMG森精機の方々には感謝してもしきれません。せっかくいただけたチャンスなので、大西洋横断という冒険を精一杯楽しみたいと思います。

 僕は「何か挑戦をしていたい」と思う性格ですが、このような性格を形作ったのは、今まで僕が様々な媒体で挑戦する人の話を見聞きしたからだと思います。

 これからもこちらの連載やSNSで活動を発信する中で、また別の人に「挑戦するのって面白そう」と感じてもらえたらうれしいと思います。

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