【MINI2027】大学ヨット部から単独大西洋横断レース挑戦へ
2年に一度開催される大西洋横断「ミニトランザット」。このヨットレースに挑戦する2名の連載が始まります。普段海にいる大学生なら、澤田皓希(26歳)、遠藤功大(22歳)のことを知っていると思います。澤田は同志社大、遠藤は東京大ヨット部で活躍しました。今春、彼らはフランスへ渡り、ミニトランザット出場を目指して活動を開始します。バルクヘッドマガジンでは、彼らの挑戦、そしてフランスでの奮闘をリレー形式の連載でお送りします。お楽しみに。(BHM編集部)

◎大学に入った時はヨットの知識は全くなかったけれど、ヨットレースの面白さに引き込まれた
自分は多くの皆さんと同じように、大学に入るまでヨットに触ったことは一度もありませんでした。海が嫌いだったわけでも、特別好きだったわけでもなく、ヨットは自分とは関係のない世界のものだと思っていました。(文/澤田皓希)
同志社大学に入学し、体育会ヨット部に入った当時も、外洋ヨットという言葉すら知りませんでした。琵琶湖で行う短いレースの先に、外洋という世界が広がっていることを想像することはなかったと思います。
それが今、私は2027年の単独大西洋横断ヨットレース「ミニトランザット」出場を目指し、フランスでの予選レースに向けた準備を進めています。これから2年間、ミニトランザットまでの過程を定期的に連載させていただく予定です。
今回は、なぜそんな場所に立つことになったのか、そして今後の目標について書いていきたいと思います。
改めまして、DMG MORI セーリングアカデミーの澤田皓希(さわだ・こうき)と申します。
私は同志社大学に入学し、大学から体育会ヨット部でセーリングを始めました。入部した当時は、セーリングに関する知識は何もありませんでした。
それでも、風を読んで艇を走らせるヨットレースの面白さに、あっという間に引き込まれていきました。気がつけば、日常の中でもヨットのことを考えるようになっていました。
練習やレースを重ねる中で少しずつ結果も出るようになり、全日本学生個人選手権で4位、団体戦でも総合3位という成績を残すことができました。ただ、その結果が何かを大きく変えたかというと、そうではありませんでした。勝ちきれなかった悔しさの方が、強く残っていました。
大学を卒業した後は、社会人として働き始めました。学生時代のように毎週末練習に通うことはできなくなりましたが、それでもセーリングをやめることはありませんでした。
船をご好意でお貸しいただきながら、同期のペアと一緒に大会に出場し、できる範囲でレースを続けていました。このまま細く長く続けていくのだろうと、漠然と思っていました。


◎不安を感じながらも会社を辞め、大西洋横断ヨットレースへの挑戦を決意
そんな生活を送っていた中で、たまたまハーバーで目にしたのが、DMG MORI セーリングアカデミー生の募集ポスターでした。正直に言えば、その時点で自分が外洋レースに挑戦することになるとは、まったく思っていませんでした。ただ「面白そうだ」という気持ちのままに、応募したのを覚えています。
選考を通して、外洋セーリングが、これまで自分がやってきたセーリングとはまったく別物だという現実を知りました。
初めてミニ650を目の前にしたときは、その小ささに驚きました。これで大西洋を渡ると言われても実感は湧かず、不安を感じながらも、働いていた会社を辞めて挑戦することを決めました。
2024年から本格的にミニ650に乗り始め、現在は2027年のミニトランザット出場に向けた準備を進めています。今年の2〜3月からはフランスに渡り、4月からは現地での予選レースが始まります。
この2年間の目標は、ミニトランザットを完走できる力を身につけ、その中で優勝を狙える位置でレースができる状態を目指すことです。
そして、外洋セーラーとしてミニトランザットへの挑戦の後も続けていくためには、レースの結果だけでなく、周囲から信頼され、一緒に挑戦したいと思ってもらえる存在になることが欠かせないと感じています。この2年間で、そうした土台をひとつずつ積み上げていきたいと考えています。
この連載では、うまくいったことだけでなく、思うように進まないことや迷いも含めて、できるだけそのまま書いていくつもりです。外洋セーリングというと、どうしても特別で遠い世界のように感じられがちですが、私自身もまだ、その入口に立ったばかりです。
この連載を通して、外洋セーリングを少しでも身近に感じてもらえたり、次の海を想像するきっかけになればうれしく思います。