強風、雪、極寒の新門司でキールボート・トレーニング「FE28R SAILING BOOTCAMP」
2月7、8日、1月に開催を告知した「FE28R SAILING BOOTCAMP」が、福岡県北九州市・新門司マリーナで実施されました。本企画は単なる強化合宿ではなく、日本のキールボート界に新しい風を吹かせたいという思いから立ち上げた取り組みです。(文/藤田武己 ECL AGENCY, LTD)

当初参加予定であった神戸大学チームは諸事情により辞退となりましたが、九州大学より2チームが急遽エントリーし、全6艇での実施となりました。
参加艇および各艇の体制は以下の通りです。
◎参加艇・艇長・ヘルムスマン一覧
01号艇 チーム夏子(2025 全日本ミドルボート選手権 総合優勝艇)
艇長兼ヘルムスマン:舩澤 泰隆
02号艇 慶應義塾大学(混合)|チーム Papillon
艇長:加藤 賢人、 ヘルムスマン:佐藤 帆海
03号艇 九州大学|チーム 帆友会A
艇長兼ヘルムスマン:高山 達矢
04号艇 同志社大学|チーム 若鯨
艇長兼ヘルムスマン:山田 海統
05号艇 九州大学|チーム 帆友会B
艇長:高橋 神風、ヘルムスマン:牧野 碧依
06号艇 日本経済大学(混合)|チーム Enterprise Lily
艇長:樋高 陽之助、 ヘルムスマン:村上 義龍
全艇が同一仕様のFE28Rを使用する完全ワンデザイン形式で実施しました。艇やセールの性能差ではなく、判断力、連携、そしてチームとしての総合力がそのまま結果に反映される環境です。
初日は、まず全艇での走り合わせから始めました。タックとジャイブを繰り返しながら艇の特性や挙動を確認し、それぞれのチームがFE28Rという艇に順応していく時間としました。
午後からはレース形式のトレーニングへ移行し、ベテランのチーム夏子と若手セーラーたちとの真剣勝負が展開されました。世代を超えたガチンコ対決は、このBOOTCAMPの象徴的な場面となりました。
途中から風速は30ノット近くまで上がったため、参加者全体のレベルと安全を最優先に考慮し、ハーバーバックを判断しました。着艇後は海上で撮影した映像をクラブハウス内の大画面で共有し、各艇長による振り返りを実施しました。
それに対してコーチ陣が解説を加え、さらに参加者からの質問も交えながら議論を深めました。結果として2時間を超える、非常に密度の高いセッションとなりました。

2日目は朝から暴風雪となり、出艇は断念せざるを得ませんでした。しかし前日の続きとして映像を見ながらのレビューとディスカッションを継続し、コーチ陣と若手セーラーたちの対話は途切れることなく続きました。海に出られない時間もまた、思考を深める重要な機会となりました。
大学ヨット部で活躍した多くのセーラーが、卒業と同時に競技から離れてしまう現状に対し、その先に続く舞台を具体的に示せないかという問題意識が、この取り組みの背景にあります。
470やスナイプで磨いた技術は、そのままキールボートへと接続できる、と考えています。その接点を偶然に委ねるのではなく、環境として用意することができればと考えています。
私はヨット業者ではなく、葉山を拠点に海と向き合ってきた一人のセーラーです。その立場から、自社所有の新門司マリーナに艇を導入し、フリートレースが成立する環境を整えました。ハーバーや艇を所有すること自体が目的ではありません。若手が本気で挑戦できる土台を整えることこそが本意です。
今回のコーチ陣は、その思想を体現する存在です。現JSAF副会長の舩澤泰隆、そしてSAILFAST代表の後藤浩紀。国内レースはもちろん、海外レースでも活躍してきた2人が、経験に裏打ちされた視点と若手に寄り添う言葉で、参加選手にとって次の一歩を考える大きな刺激を与えてくれました。
若手セーラーがヨットを一過性の競技で終わらせるのではなく、生涯スポーツとして向き合える可能性を示すこと。その具体的な選択肢の一つとして、FE28R SAILING BOOTCAMPをこれからも積み重ねていきます。新門司から、日本のキールボート界に持続的な流れを生み出していければと願っています。
本BOOTCAMPは、SAIL ON社とECL AGENCY, LTDの共同主催により開催されました。本企画の趣旨に賛同し、若手セーラーの挑戦を支えていただいていることに深く感謝申し上げます。
