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【コラム】iQFOiL、ウイングフォイル・オーストラリア選手権を観戦してきた

 1月22日〜25日まで、iQFOiLナショナルとウイングフォイルのオーストラリア選手権が、レイクマッコリーのワンギ・アマチュア・セーリングクラブ(Wangi RSL Amateur Sailing Club)で開催されました。私は24日と25日の2日間、陸から観戦してきました。(レポート/梶本和歌子 ワカコ・レーシング)

iQFOiL、ウイングフォイルが合同で開催されたオーストラリア選手権。ウイングフォイルはオーストラリアでも人気で年々増加中です。オーストラリア選手権にはiQFOiLが54選手、ウイングフォイルは34選手が出場しました

 iQFOiLとウイングフォイルのナショナルを同時開催するというのはユニークな試みで、開催が決まった時から興味を持っていました。

 私自身もウイングフォイルでの参加を考えていましたが、昨年のケガの回復が思ったよりも芳しくなく、今回はレース参加を見送りました。ただ、レイクマッコリーは自宅からそれほど遠くないため(車で約2時間ぐらいです)、観戦に行くことにしました。

 現地に到着して最初に感じたのは、会場の盛り上がりです。iQFOiLもウイングフォイルも、ジュニアやユース世代の選手が多く参加しており、オリンピックを目指すレース志向の選手から、純粋にレースを楽しむ層まで幅広い選手が参加していることがわかりました。一昔前のモスの大会に似た雰囲気を感じました。

 iQFOiLでは、パリ五輪で銀メダルを獲得したグラエ・モリス(22歳)が順当に走る一方、昨年U19ワールド優勝、ユースワールド3位のロリー・ミーハン(18歳)が2位で後ろにピタリとつけていました。3位はフィリップ・クリプシー(18歳)でした。

 ウイングフォイルはニュージーランドから来たジェレミー・マクドナルド(24歳)が優勝、2位がバンジョー・ニコールソン(17歳)、3位がコナー・ラドフォード(16歳)でした。今回の大会はオープン大会ではなかったため、オージーナショナルの優勝はバンジョーでした。

 バンジョーとコナーは共にベルモント出身で、普段は学校が終わった後、ウイングフォイルの練習をしているそうです。二人で切磋琢磨しながら腕を磨いていることが話からも伝わってきました。ウイングフォイルがオリンピック種目にならなかった場合でも、単純に楽しんでいるので続けるだろう、とも話してくれました。

ワンギ・アマチュア・セーリングクラブ。広々とした芝生とスロープがあり、木陰でのんびり出来るゆったりとしたヨットクラブ。ネーサン・アウタリッジ、イアン・ジャンセンのホームヨットクラブであり、今大会のレース運営はネーサンの父であるトニーでした
ウイングフォイルのスタートの様子。ゴールドフリートはレベルが高く、スタートも揃っています
レース中にジャンプしている様子。こんな感じで、度々ジャンプをして、藻を取ったり、避けたりしています

◎ギアについて
 iQFOiLはワンデザインクラスで、決められたサプライヤーのスターボードとパトリックを使用します。パリ五輪後、男子・女子共にセールサイズが変更され、男子は9m²から8m²、女子は8m²から7.3m²になりました。以前は体重増加を強いられる選手も多かったですが、今回はその負担が緩和されているように感じました。

 ウイングフォイルはインターナショナルフォーミュラーウイングフォイルのクラスルールに基づき開催されました。このルールでは、ハルは1つ、フォイル(水中翼システム:フロントフォイル、ヒューズラージ、リアフォイル)は最大2セット、マストは1つ、ウイングは大きい方(5.5m²以上)と小さい方(5.5m²以下)の2枚まで登録して使用可能です。

 つまり、自分の体格や体重に合わせて水中翼やウイングのサイズを選べる一方で、多くの選択肢から選ぶ必要があり、ギア選びが選手の悩みの一つにもなっています。

 水中翼はチュバンガ、レビタス、F4など、ウイングはオゾーン、PPC、ゴングなど、ボードはノースなど、様々なブランドが使われています。特に水中翼では、カイトフォイルで既に強豪となっているチュバンガとレビタスが現時点でも優勢です。ウイングフォイルはカイトフォイルと水中翼が似ているため、カイトフォイル用のチュバンガやレビタスの中古水中翼を使う選手も多く見られました。

ダブルスキンのウイング。リーディングエッジからトレーディングエッジまで表側と裏側の2層構造になっています。レース用はダブルスキンが一般的ですが、前半分のみハーフダブルスキンを使う選手もいます
出艇の様子。遠浅なので、ボードを裏返して腹ばいになり、サーフィンのように手で漕いでいます。フォイルマストが1メートルを超えるので、思ったよりも遠くに漕いでいかないといけません

◎レース観戦
 観戦した日は大会3日目と最終日で、風速は10〜15ノット程度でした。陸からでしたが、スタートラインに近く観戦には最適でした。

 レース中、iQFOiLもウイングフォイルも時折ジャンプしていました。最初は遊びでやっているのかと思ったのですが、実際に自分もウイングフォイルで同じ海面を走ってみて理由が分かりました。レースコースには藻が多く、必ず2回ほど藻の列を横切らなければならないのです。

 水中翼には非常に邪魔な存在で、それを回避する手段がジャンプでした。ジャンプの技術も必要で、下手にやると風下に流されたり、クラッシュして沈したりするため、選手は慎重に技術を磨いているのだなと思いました。

 また、iQFOiLもウイングフォイルも、純粋に楽しみで出場している選手がいて、そうした選手同士のレースバトルはとても楽しそうでした。多くの方から「次は出場しなさいよ!」と声をかけていただき、次回は挑戦してみようかな、と改めて思いながら帰路につきました。

出艇していくボウ・アウタリッジ。いつもはセーリングカメラマンとして撮影する側の彼ですが、今回は地元のレースということで久しぶりにレースに参加したそうです。ウイングフォイルには他にも、ウィル・ライアン、ターシュ・ブライアント、ナタリー・ブルガー、ビクター・パヤなどお楽しみでレースに参加していて楽しそうでした
カイトフォイルのレビタスフォイル。今からウイングフォイルのレースを始めようとするなら、中古のカイトフォイルでも十分だよって参加していた少年に教えてもらいました。ギアを揃えるならば、まずフォイルとボードを買って、ひたすらタックとジャイブの練習をして、それができるようになったら、ダブルスキンのウイングを買った方が良いとアドバイスをもらいました。最初は練習でウイングを破損するから良いウイングは要らないよと、経験を教えてもらいました。質問したら快く教えてくれるのも、モスクラスの環境と似ている印象でした
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