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江の島を舞台に「第90回全日本学生ヨット選手権」はじまる

 10月30日、江の島ヨットハーバーで「第90回全日本学生ヨット選手権」が開幕しました。全日本学生ヨット選手権は1933年(昭和8年)に第1回大会が東京品川で開催されました。1943年から45年まで戦争で休止しましたが、日本で最も長い歴史のあるヨットレースのひとつとして知られています。(BHM編集部)

江の島ヨットハーバーで開幕した「第90回全日本学生ヨット選手権」。開会式は午後4時15分からヨットハウス前でおこなわれました

 江の島では2年連続の大会で、今年は90回の記念大会となっています。江の島ヨットハーバーには、全国水域予選を勝ち抜いた470級24校/72艇、スナイプ級24校/72艇が集結。前週には約200艇を集めて行われたプラクティスレースもあり、江の島は学生セーラーで大混雑しています。

 レース前日は午後4時過ぎから開会式が行われました。明日からはいよいよレースが始まります。10月の江の島は急激に気温が下がり、秋というよりも冬を感じることも少なくありません。

 明日レース初日は冷たい北風が吹くことが予想されますが、2日目、3日目は南の風が入る予報になっています。インカレのドラマを演出するのは風です。どんな風が吹くのか。願わくは、選手たちの実力が発揮できる公正な風が吹くことを期待します。

夕方は夕陽と富士山がきれいでした。江の島はぐっと冷え込み、冬の気配が濃くなってきました。日が落ちるのも一段と早くなっています

◎インカレはなぜ観戦者を熱くさせるのか?

 江の島ヨットハーバーにやってきているのは選手だけではありません。監督、コーチ、卒業生たち、保護者らも応援に駆けつけています。

 バルクヘッドマガジン編集長が、全日本インカレを取材撮影するようになってから20年以上が経ちます。取材したどの年もそれぞれ思い出があり、いくつかのシーンを鮮明に覚えています。

 レース前日、江の島で今村公彦・日本経済大監督(リオ五輪470級日本代表)と立ち話をしました。彼は開会式で教え子が並んでいるシーンを見て、「一年間、がんばってきた彼らを見ていると泣いてしまいそうです」と言いました。

 実は編集長も開会式を見ていて胸が熱くなったので、同じように感傷的になっていたことに少し驚きました。もしかしたら、開会式を見ていて同じようにこみ上げるものを感じていた方もいたのではないでしょうか。

 どうしてレースが始まってないのに(それも開会式を見ていただけで)、見ている人たちを熱くさせるのでしょうか? これはインカレだけに特別に宿る感情のような気がします。

 思うに全日本インカレは、学生セーラーが目標にしている集大成の舞台だからかもしれません。オリンピックを目標にしている選手はオリンピックが頂点です。同じように大学生にとっては全日本インカレが頂点となる舞台です。セーリングという競技はそれほど関係がないものかもしれません。オリンピックもインカレも、選手の気持ちは同じという気がします。

 選手たちは、この舞台に立つために4年間がんばってきました。そして、4年生にとって全日本インカレは最後の舞台でもあります。翌年に繰り越すことはできません。これから続く長い人生のなかで、最後の4日間が始まるのです。

 さあ、今年も全日本インカレが始まります。どんな戦いが始まるのか、これほど胸が高ぶるヨットレースはありません。みんな、がんばれ!

「もっと速くなれ」と気持ちを込めてハルにワックスを掛けます。毎年、編集長が大好きなシーンです。バウナンバー15番、本当に速くなっているといいですね
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