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【コラム】日本へ1年半ぶりに帰ってみて感じたこと

 ロンドン五輪470日本代表、470世界ランキング1位、ナクラ17、SailGP、モスで活躍してきたワカコレーシング(梶本和歌子さん)は、現在オーストラリア・シドニーを拠点に活動しています。そんなワカコ選手が1年半ぶりに帰国しました。江の島ヨットハーバーに行ったり、小松一憲さん、三船和馬さんといった名コーチと話して、以前と違った日本の雰囲気を感じたようです。(BHM編集部)

ワカコレーシングが470で活動していた北京五輪、ロンドン五輪時代は江の島ヨットハーバーはまだ旧建物でした。セーラーたちが入り口前にある円形のベンチに集まってよく話してましたね。写真は2009年10月に撮影したものです

 2月の後半から3月の前半を日本で過ごしていました。今回の帰国の主目的のひとつは、私が使っていたコーチボート用の風向風速計を磯崎哲也・伊藤綾香組に提供することになったので、コーチの小泉颯作さんに引き渡すことでした。(レポート/梶本和歌子 ワカコ・レーシング)

 GPSコンパスをアップグレードしたり、SAIL FASTさんに協力してもらってブラケット類を作り直したり、数日間、江の島ヨットハーバーで設置作業をしていました。

 寒波の影響もあったのかもしれませんが、江の島ヨットハーバーは、ILCA(レーザー)の高校生が平日練習に取り組んでいる一方で、小田急ヨットクラブのレッスンの方たち以外はほとんど人がおらず、閑散としていました。

 江の島のジュニアクラブの艇庫が新しく建設されて立派になっていましたが、肝心の江の島ジュニアの数が減っているというお話を聞きました。

 思い出してみれば、私が470級に乗り始めた2002年頃は470級だけでも男女合わせて10チーム以上がオリンピックを目指していて、ハーバーに来ると大抵は誰かが海に出ているというような感じでした。

 今ではフルタイムで活動するチーム/選手が各クラスに1、2チーム/名といった感じなので、当たり前といえば当たり前なのですが、なんだか少しさみしく感ました。

2010年、2011年プリンセスソフィア杯で2位を獲得したチームアビーム時代の吉田 愛選手、梶本和歌子選手。ロンドン五輪前には470世界ランキング1位まで上りました。この背景には誰にも負けない練習量があります

◎ヨットの上達にいちばん大切なこと

 今回はYOUTUBE用に若い時にコーチをしてもらった小松さんと三船さんにお話を聞かせてもらいました。詳しくはYOUTUBEを見ていただきたいのですが、おふたりとも伸びる選手の資質として「セーリングが好きなこと」を挙げていた点が特に印象に残りました。

 私は三船和馬さんに見てもらっていた福岡時代、小松一憲さんに見てもらっていたアビーム時代も、よく練習させてもらいました。私がコーチになってから4年ほど経ちますが、同じくらい練習している選手達に出会ったことがないぐらいです。

 ジャックやライアンといったウラーラ(オーストラリア・シドニー)の若いセーラーを見ていると、私自身は彼らほどの才能に恵まれていなかったことはよく分かります。

 それでも、なんとかかんとか世界で戦えたのは、若い時にしっかりと練習量を確保できたからだと思っています。そして、もしセーリングがそれほど好きじゃなかったら、同じような練習はできなかっただろうとも思います。

 企業チームはどんどん減ってきていて、スポンサーが見つけにくくなっているのも事実だと思います。その一方で、予算はつきそうなのにコミットしてくれる若い選手が見当たらないなんて話も聞いたので、望みは捨てないで、一緒に世界を目指してくれるような若者が出て来るよう、もっともっとセーリングの楽しさをアピールしていきたいと思いました。

チームアビーム時代の小松一憲コーチへのインタビュー。第4回まであります
福岡第一高〜日本経済大(旧:第一経済大)、470キャンペーン時代にお世話になった三船和馬コーチのインタビュー
CATEGORY:  DINGHYNEWSOLYMPIC