【コラム】シドニー・ダブルベイで18ftスキフ「JJギルティナン」を観戦!
オーストラリア・シドニーは夏から秋に変わり、セーリングシーズンは本番を迎えました。今月のワカコレーシングはシドニー湾で人気の18ft skiff(エイティーン・フッター・スキフ)によるヨットレース「JJギルティナン」を観戦してきました。18フッタースキフは、3人乗り+トラピーズ、巨大なセールを持ち、40ノットを超えるスピードのモンスタースキフです。(BHM編集部)

今回はいつものローズベイ(シドニー湾の東)の隣のダブルベイに行って、シドニー湾名物18フッタースキフのワールドにあたる「JJギルティナン選手権」最終日を観戦してきた様子をお伝えします。
以前も簡単に紹介しましたが、18フッタースキフは3人乗りのハイパフォーマンスディンギーです。トランポリンを張ったウイングからさらにトリプル・トラピーズすることで得られる復元力を使い、スポンサーのロゴの入った30フィート級のクルーザー並の巨大なセールを展開して、アップウインドでもダウンウインドでもかっ飛んでいきます。ハルはもちろんカーボンファイバー製で、最低総重量は170キログラムと超軽量です。
10月から3月までのシーズン中は、ほぼ隔週でクラブチャンピオンシップ、NSW(ニューサウスウェールズ)州選手権などが行われ、シーズンの最後にはこのJJギルティナン選手権が開催されます。
ほぼ全レースYouTubeで中継され、観戦フェリーも用意されます。ちなみに、モス仲間のジョン・ハリス(2001年)、ロブ・グリーンホージ(2004年)は若い時にJJのタイトルを獲得しています。小さいながらもヨーロッパやニュージーランドにもフリートがあって、今回の大会にはニュージーランド、イギリス、ドイツからの参戦がありました。
今回もいつものように観戦フェリーの出航時間(午後2時)の30分程前にダブルベイに到着して、ボートパークで艤装の様子を眺めたり、写真を取ったり、知り合いに挨拶をして過ごしました。
出航の10分前くらいに桟橋に移動して、フェリーの乗船を待ちます。ここでも、知り合いにあったりするので、立ち話をしたりします。
今回はニュージーランドチームの応援団にエリカ・ドーソン(パリ五輪ナクラ17銅メダル)がいたいので、挨拶をしたりしました。といっても、マンリーで会ったばっかりだったんですけどね。彼女は私がオーストラリアに住んでいるのを知らなかったので、ニュージーランドの次はオーストラリアの旅行しているのかと聞かれました(笑)。
自分たちの番が回ってくると、事前に購入していたチケットのQRコードを確認してもらい乗船します。観戦フェリーが出航してゆっくりと海面へ向かのと同時に18フッターも出てくるので、並走する18フッターの写真を取ったりもできます。
シドニー湾の入江の多くはそうですが、ダブルベイにもヨットが多数係留してあり、桟橋から出ていく水路はかなり狭く、そこに路線フェリー、観戦フェリー、その他の観覧艇、メディアボートがいる中を18フッターは縫うようにして出艇していきます。
観戦フェリーの中は2階建で、それぞれの階にバーがあり、アルコールを含む飲み物やスナック菓子が買えるようになっています。
また、船首の方にオッズ表が置いてあって、これはと思ったら、やはり札束を持ったおばあちゃんのブックメーカーが隣に座っていました。
当日のコンディションは軽風コンディションだったので、「この風ならハリー(プライス)でしょ!」ということで〈ラグ&ファミッシュ・ホテル〉に50ドル賭けてみました。船内では実況中継や18フッターにまつわるトリビアクイズ(景品あり)なんかもあり、賑やかな雰囲気です。





この日はシドニー湾の奥から吹く西の風でSailGPでもお馴染みのシャークアイランドと高級住宅街のポイントパイパーの中間地点くらいからスタートして上、下を3周するコースでした。
フェリーのスピードではレースを追いきれないので、フリートが離れてしまった時はYouTubeのライブ配信を携帯電話や船内のモニターで状況を確認しながら観戦します。
オリンピッククラスと違うのは、レースエリアの中をフェリーやプレジャーボート通り抜け、レース艇がそれを避けたり、風が大きく変化して沈してしまうなど、障害物競争の側面もある点です。
そもそもシドニー湾は入江が多く周りを丘で囲われていて、ガスティーでシフティーな海面なのに、その上、障害物まで現れるなんて、もうカオスと言っていいほどです!
この日のレースはスタートから飛び出した〈ラグ&ファミッシュ・ホテル〉が〈フィンポート・ファイナンス〉の挑戦を退け、見事1位でフィニッシュしました。ということで、私の読みは的中して、見事3倍の払戻金をゲットしました!
総合成績はと言いますと、出場選手達が口を揃えて速い速いと言っていた〈ヤンドゥー・チーム〉(トム・ニーダム、ファン・ウォーレン、ルイス・ブレーク)が9レース中、6レースで1位を獲得して文句なしの優勝でした。
この日もスタートでは下位に沈んでいたものの、マークを回航する毎に徐々に前に追いついてきて6位でフィニッシュする強さを見せました。
このチームの本来のヘルムは18フッターリーグのプレジデントでもあるジョン・ウイニングさんなのですがケガのためこの数年は代理ヘルムを立てて出場しています。
今回ヘルムを担当したトムはユースアメリカズカップの関係で知り合いだし、ミドルのファングの方も10年近いモス友達ということで、フェリーから降りた後は優勝チームのところに行ってお祝いの言葉をかけてから帰路につきました。


- 【コラム】ワカコ・レーシング(連載記事) https://x.gd/hlcJv