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明暗を分けた最終1レース。和歌山インターハイ2024最終日

 8月16日、和歌山で開催された「令和6年度全国高等学校総合体育大会ヨット競技大会 第64回全国高等学校ヨット選手権」(インターハイ)最終日は、北西の風を待ち、10〜13ノットの風で最終1レースがおこなわれました。(BHM編集部)

風に恵まれ全7レースを実施した和歌山インターハイ。今年は全マークで自走式(ドローン)マークを使用しておこなわれました

 420男子は前日までに2位に逆転できない得点差をつけた重松 陽/本多 剛(霞ヶ浦高)が、最終レースをカットレースにして優勝を飾りました。

 3年の重松は一昨年にILCAで2位、昨年は420で4位。2年の本多は昨年ILCA3位の成績を残しています。両選手ともOP時代からの実力選手ですがチームを組んだのは2カ月前。インターハイ優勝を目標に練習を積んできました。

「第1レースでトップを取れました。でも、次のレースで8位になってちょっと崩してしまい、2人で話し合いながら立て直しました。それからは1か2位を取り続けて、最終日になる前に優勝を決めることができました」(重松 陽・3年)

「1年の時からクルーをやっています。スキッパーが陽先輩だったので、走りに関しては何も心配しないで信頼できていました。あとは自分のミスさえなければ優勝できると思っていたので、安心して走れました」(本多 剛・2年)

420男子優勝の重松 陽/本多 剛(霞ヶ浦高)。霞ヶ浦高は3年ぶりの420男子優勝です。シングルハンド、スキッパー、クルーをこなす多彩な選手が育っています
420女子優勝の森山伊織/林 深姫(鳥取県立境高)。7月は約3週間の海外遠征に出ていました。イタリア・ガルダで開催されたユースワールド7位、420ヨーロッパ選手権35位

 420女子は森山伊織/林 深姫(鳥取県立境高)を2点差で追う鈴木しおん/實松莉歩(霞ヶ浦高)が2位で上マークを回航。森山/林はやや離され3位で上マークを回航します。

 両チームの得点差は2点。同点になるとタイブレイクにより1位の数が多い鈴木/實松の優勝となる場面です。鈴木/實松はトップを走る棟近日菜/池田 楓(山口県立光高)を抜くこと。また、森山/林は鈴木/實松の次にフィニッシュすることが優勝の条件となりました。

 鈴木/實松は1位に迫るものの追い抜くことはできず。また、森山/林は3位を守り切り420女子優勝を決めました。森山/林は7月にユースワールド、420ヨーロッパ選手権を経験して、ひとまわり成長できたと話します。

「今回は絶対に優勝したいという気持ちで挑みました。どこまでに自分たちの実力を発揮できるかが勝負だと思っていました。去年の成績は22位でした。この1年はがんばって練習しました。来年も挑戦できるので連覇を狙いたいです」(森山伊織・2年)

「昨日と今日のレースは緊張しました。わたしたちのヨット部は女子2人、それと1年生の男子2人だけなので練習は走りが中心です。普段は他校と一緒に練習したり、冬は光高校の練習に参加させてもらいました。7月、国際大会に出て海外選手と戦えたことも成長につながったと思います」(林 深姫・2年)

33艇出場したILCA男子は遠藤海之流(鎌倉学園高・神奈川ユース)が優勝しました。優勝は中学2年の4.7全日本以来とのこと

 ILCA男子は遠藤海之流(えんどうみのる。鎌倉学園高)が最終レースをトップで飾り、後続を寄せ付けず優勝を決めました。遠藤は藤沢青少年セーリングクラブでオプティミストをはじめ、現在神奈川ユースに所属しています。昨年の5位からジャンプアップしました。

「去年のインターハイの後、目標にしていたアルゼンチンワールドに向けて練習。今回はインターハイ直前に猛特訓しました。正直、自分の得意な風ではなかったんですが、去年に比べてミスが減ってきたことが優勝につながったと思います。この1年は成長を感じられる1年でした」(遠藤海之流・2年)

 今後は冬のオーストラリアの遠征に向けてトレーニングを続けていきたいと話します。ILCAに出場する選手は、仲間(ヨット部員)がいる部活動と違って個人活動する選手が多く、遠藤の場合、神奈川ユース(江の島)を活動の拠点としながら国際大会をも視野に練習していくとのことです。

ILCA女子は服部春花(山手学院高)が逆転優勝、ILCA連覇を達成しました。全員がインターハイを制覇した服部三兄妹で連覇は春花のみ。「これで(兄に)ちょっと優位に立てます」と笑顔

 ILCA女子は服部春花(山手学院高)が最終レースでトップを取り、占部心美(福岡第一高)を逆転。服部は種目が変わってから初めてとなるインターハイ連覇を飾りました。

「風が弱いと身体の小さい選手が前に出てきます。今回は軽風で3位以内、風があがったら1位を取ることを目標にしていました。 それが実際にできてよかったです。去年は初日から1位で、相手を意識しながら順位を守るという戦い方だったので緊張しました。今年は1位じゃなかったら、少しリラックスして自分の走りができたと思います」(服部春花・3年)

 服部3兄妹は、長男の陸太が2019年大会で、次男の輝海が2022年大会で優勝、長女の春花が2023、2024年大会で優勝するという結果を残しました。

 熱く暑かった今年のインターハイが幕を閉じました。台風の影響もなく全種目で予定されていた7レースがおこなわれ、風も軽風〜中風まで実力を発揮するには十分のコンディションでした。来年のインターハイも和歌山で開催されます。選手たちが来年の夏までに練習を積んで、大きく成長した姿に出会えるのを楽しみにしています。

午後3時30分から厳かななかで開催された閉会式。きっちり1時間おこなわれました。アスリートファーストかと言われると疑問の残るセレモニーですが、高校総体としては正しいのでしょう
コンバインド(複合)女子二連覇を達成した山口県立光高
コンバインド男子優勝の霞ヶ浦高。霞ヶ浦高はコンバインド三連覇です
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