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単身豪州で世界一の外洋レースに挑戦!シドニーホバート参戦記

 2023年12月26日スタートの「ロレックス・シドニーホバートヨットレース」に参加しました。このレースは世界一過酷なレースとも言われ、オーストラリアのシドニーを出発し、タスマニア島ホバートへフィニッシュする628マイルの外洋レースです。今年、日本人で唯一の参加となった私、守屋有紗より、参戦経緯とレースの様子をレポートをさせていただきます。(レポート/守屋有紗)

12月26日にスタートしたロレックス・シドニーホバートヨットレース。第78回大会には103艇が出場しました。シドニーホバートヨットレースはオーストラリア最大規模の外洋レースで、シドニー湾には数千人が観戦に訪れます

 私はセーリングスキルを高めるため、2023年10月に単身でシドニーに渡りました。そして、シドニーホバート参加を目標の一つに設定し、乗艇できるチーム探しを始めました。現地でもシドニーホバートに出たい人は多く、チーム探しは難航しました。

 現地に知り合いがいなかった私は、毎日様々なヨットクラブに通い、自分を売り込み、毎日セーリングを続けました。その中のひとりが今回の参加艇 〈Denali〉(TP52)のオーナーにつなげてくれ、3回のトライアル後、正式にレースクルーに選ばれました。シドニー渡航後約1カ月が経とうとする頃のことでした。

 念願だったレーススタート日を緊張と興奮の中で迎えました。100艇を超える艇が、シドニー湾内の4つのスタートラインから一斉にスタートを切ります。その様子はテレビやネットで全世界に中継され、世界中が注目。ヘリコプターの音が鳴り響く中、チームの皆も緊張している様子でした。

 今年のレースは、コースを横断しようとする低気圧の影響で予測が難しい気象でした。1日目は風が安定せず、風向も風速も予測不可能にコロコロと変わる中、少しでもボートスピードを維持するために多くのセールチェンジが続きました。

コースはオーストラリア・シドニーからタスマニア島ホバートまで628マイルを走ります
守屋有紗選手が乗艇した〈Denali〉(TP52)。単身オーストラリアに渡り、ヨットクラブに通い出場艇を探してレースに出場しました
作業はキャビン内(写真)のセールパッキングに始まり、セールトリム、ヘルム、ナビゲーションまで多岐に渡りました

 私の役割は、主にダウンビロー(船内)の仕事。次々と起こるジェネカー、ジブチェンジに対応するため、パッキングや次の準備をし続けました。

 また、船内に絶えず入ってくる水を汲み出し続けます。夜中にジェネカーがバーストしたり、一晩中雷雨が続いたり、リーフトラブルによりメインを下ろしたりとトラブルも続きました。荒れた海での船内作業は過酷でしたが、レースに乗れることが本当にありがたく、自分の役割を果たし、チームに貢献したいという思いで必死でした。

 2日目、3日目はリーチングからアップウインド。クルーが笑顔でいられる時間も少し出てきました。私の取り組みも認められてきて、トリムやヘルムなど、任せてもらえる仕事も増えていきました。

 4日目、フィニッシュ目前に迫る中、ジブのタフラフが壊れ、適したジブが上げられず、並走していた艇に大きく離されてしまいました。それでも最後まで諦めまいと、走りを続け、また最後にはナビゲーションもさせてもらい、夜22時頃、無事にフィニッシュをすることができました。

 あれほど念願だったシドニーホバートレースでしたが、レース中はとにかく辛くて辛くて、正直もう二度と外洋には出たくないと思った程でした。

 しかし、レースが終わった後、参加者たちが続々と集まってくるパーティーで、レースの話をし、乗り越えたことを讃え合っているうちに、私達はやり遂げたんだという気持ちが強くなっていきました。

 世界一過酷なレースと呼ばれるレースですが、フィニッシュ地での参加者、応援の一体感はなんとも言えないものでした。きっとこの感情を味わいに、多くのセーラーが何度も参加し続けているのかもしれません。

 この度は、本当に貴重な経験をすることができました。日本からも多くの方にご協力いただき、そして沢山の方から応援の声をいただきましたこと、心より感謝しています。今回の経験で学んだことを、今後の活動に活かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

シドニーホバートレースを完走した守屋有紗選手と〈Denali〉の仲間たち。守屋選手は1年間、オーストラリアでヨット修行するとのことです。次回のチャレンジもがんばって!(編集部)
ロレックス・シドニーホバートヨットレース、スタートの様子
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